昨日は終日市会で断続的な会議、打ち合わせ等。今日から定例会が始まります。建設、介護、サービス業等々、どの業界も値上げと人手不足に悩んでいます。外国の皆さんの力を借りなければ、すでに日本の社会は成り立たない現実があるものの、未だ他人事のような空気を感じます。
先日、日経新聞「経済教室」に「移民政策のいま(下) 現実直視し社会統合進めよ」と題し、国士舘大学の鈴木江理子教授が、鋭い、納得の指摘をされていました。ご興味ありましたらどうぞ。
「2024年6月、技能実習制度を発展的に解消し、育成就労制度を創設する改定入管法などが成立した。深刻な人口減少・労働力不足を踏まえれば、労働力確保として活用されている技能実習制度の実態から目を背け「国際貢献」という目的を掲げ続けることの限界に、ようやく向き合った制度改定といえる。
だが一方で、法案審議の参院本会議で、岸田文雄首相は「政府としては、国民の人口に比して一定程度の規模の外国人およびその家族を、期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする、いわゆる移民政策をとる考えはない」と答弁している。成長戦略の一つとして「外国人材の活用」を打ち出した安倍晋三元首相の発言を継承する見解だが、一般的な移民政策の定義からすると奇異である。
移民政策には、国境通過にかかる移動局面の政策と国境通過後の居住局面の政策の2つがある。前者は好ましい移民(外国人)と好ましくない移民の線引きによる出入国政策であり、後者は領土内に居住する移民に対する社会保障や政治参加、住居や言語、労働や教育などの政策である。
日本では長く移動局面の政策が中心で、外国人労働者、とりわけ「単純労働者」受け入れの是非が論点であったが、00年代に入りようやく居住局面の政策が始動する。05年には総務省が「多文化共生の推進に関する研究会」を開催し、06年3月に報告書を公表した。「骨太の方針2006」では「多文化共生社会構築を進める」ことが明記された。
なお、居住局面の政策は一般的に「統合政策」と呼ばれるが、「多文化共生」という言葉を使用することが日本の特徴でもある。
同時期には、専門的・技術的労働者以外の外国人労働者を巡る移動局面の議論も活発化した。05年、日本は国勢調査開始から初めて1年前の人口推計を人口統計が下回り、07年以降自然減が継続、拡大している。08年6月には自民党のプロジェクトチームが人口危機を救うため、単なる労働者ではなく「移民」として受け入れるよう提言した。
移民政策に向けた本格的討議が期待されたが、08年の金融危機後の景気後退により、移動局面の議論も居住局面の政策も停滞する。
再び外国人に対する政策的関心が高まるのは、第2次安倍内閣発足以降だ。18年12月には、深刻な労働力不足への対応として在留資格「特定技能」を創設する改定入管法が成立した。また同月には「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」が公表され、地域づくり、生活サービス、日本語教育、子どもの教育、労働など居住局面に対する支援を中心に、100以上の施策が示された。22年には、26年度までを対象期間とするロードマップも策定された。
しかしながら、移民政策はいまだ不在である。
経済財政諮問会議の下に設置された専門調査会で、将来推計のシナリオの一つに「出生率回復+移民受け入れ」ケースが検討されたこともあった。だが「骨太の方針2014」では「外国人材の活用は、移民政策ではない」として、移民に頼ることなく50年後に1億人程度の安定的な人口構造を保持することが閣議決定された。けれどもその後の合計特殊出生率の推移は、1億人シナリオの仮定数値を大幅に下回っている。
直近の将来推計人口(23年4月)によれば、70年の総人口は8700万人で、外国人が1割を占める(出生中位・死亡中位)。改善の見通しが示された公的年金の財政検証(24年7月公表)は、当該将来推計人口をベースとしたものだ。将来推計の前提通りに外国人の入国超過が継続するかどうかは不確実だが、日本がより多くの外国人を必要としているのは間違いない。
では、なぜ政府は移民を否定するのか。
移民の明確な定義はないが、通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12カ月間居住する人を「(長期)移民」とする国連定義に照らせば、技能実習生も留学生も移民となる。
日本は「期限を設けることなく」外国人を新規に受け入れてはいないが、家族帯同が可能で、永住や国籍取得への道が開かれている定住型の外国人を移民ととらえれば、日本で暮らす約340万人の外国人(23年末時点)の8割強が移民だ。日本生まれの2世や3世も増えている。
にもかかわらず、移民ではなく「外国人材」という言葉にこだわるのは、有用性を強調することで、欧米諸国が直面している移民問題とは無縁だと、人びとの警戒心や不安を払拭する意図があるとも推測される。
だがかえって誤ったメッセージを与え、人びとの理解を妨げているのではないか。受け入れ後発国である日本は移民社会の現実と向き合い、欧米の教訓を学ぶ必要がある。「われわれは労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった」というスイスの作家マックス・フリッシュの言葉が示唆する通り、居住局面の政策が極めて肝要だ。移民政策の国際比較(20年)によれば、日本は56カ国中35位で「統合なき受け入れ」グループに分類される(表参照)。
前掲の総合的対応策は、改訂を重ねるなかで「活用」が「活躍」に変わり、「支援」に加えて「担い手」として位置づけるなど、外国人をより主体的にとらえるようになっている。しかし管理強化を前提とし、有用性を基準とする評価に変化はない。
日本語学習機会の提供など、取り組みの多くが自治体任せであることも変わっていない。19年6月に日本語教育推進法が施行されたが、ドイツやフランス、韓国などで実施されている公用語学習の公的支援制度はいまだ導入されていない。
日本語学習環境の整備や情報の多言語化など、言葉の壁を越える取り組みが地域で実践されている一方で、権利の拡大にかかる施策はなく、制度の壁の解消は進んでいない。
外国籍の子どもの就学実態全国調査が実施されるようになったが、外国人は義務教育の対象ではないとする政府見解は変わらず、今なお学びの権利が奪われている子どもがいる。第2世代以降の社会統合が重要な鍵であることは欧米の経験に照らせば明らかだろう。
入居差別や就職差別など心の壁への対応も、啓発や相談にとどまり、差別禁止法は制定されていない。
加えて、高い間接雇用比率や低い賃金水準、不就学、低い高校進学率や高い高校中退率など、労働市場や教育における格差が統計的に明らかであるにもかかわらず、格差縮小に向けた実効的な施策もない。
差別や格差、不平等は社会の分断を拡大させ、時に暴力を生み出す。
日本と同様に受け入れ後発国で低出生率に悩む韓国は、在韓外国人処遇基本法や多文化家族支援法を制定し、社会統合プログラムを実施している。韓国に学ぶことも多いはずだ。持続可能で公正な共生社会の実現に向けて、移民社会・日本の現実を直視し、移民政策に踏み出すことが急務だ。」
外国から来る人々のためにも、そこに住む横浜市民のためにも、安心して定住できる環境づくりを目指しています。
ここのところ報道が続く党首選。だれがこの問題を真剣に語るか。
庶民の生活現場を守るため、極めて重要な施策として注目しています。