地域交通問題解決への取組について 5487
昨日、新たな都市活力推進特別委員会の視察で香川県多度津町へ。自治体の大小では測れない、地域交通問題解決への一歩前進を拝見しました。
横浜市でも超高齢社会にあって、特に免許返納後の外出支援は大きな課題。様々な高いハードルがある中、多くの都市があの手この手で対策を打っています。先端の取組として、群馬県で広く介護事業を展開する「エムダブルエス日高」の「福祉ムーバー」を以前ご紹介し、議会でも何度か取り上げていますが、今回は地域の力を引き出し、カタチにした地域交通への取り組み。
買い物や通院などへの移動に困っている高齢者を支えようと、住民ボランティアによる送迎サービスを実施。町の社会福祉協議会や生活支援コーディネーターらで作る協議体「たどつ支え合い笑顔の会」が運営する「移動サービス チョイ来た」。車両のリース代や保険料などの事業費、約210万円は県と町の補助金を活用し、運転は養成講習を受けたボランティアが行っています。ここまでなら他の自治体でも似た例があります。しかし、多度津は地域の力を引き出した。
下記はメモです。
多岐にわたる地域課題を解決するための協議体を作ったのが平成27年。地域に出向き、勉強会を始め、話し合いを進めてきた。
「自分たちで自分たちの街を作っていこう」「自分たちの困りごとを自分たちで何とかしていこう」。しかし、最初は「行政が解決してくれればいい」との話ばかり。それでも4地区で話し合いを続け、自分たちに何が必要かの議論を重ねる。そうした中、「自分たちでできることは、自分たちでやろう」との声が出始める。
協議体で「居場所づくり」の検討を始めた。しかし、そこに行くのも「移動手段」が必要。
会を重ねるうちに「意識改革」が進む。ここでも難しかった。「役場がコミュニティバスを作ってくれればいいことだ」との意見が多かった。しかし、粘り強く話し合う中、平成30年、協議体から「自分たちから出来ることしなくては!」という人が出てきたことから変化が始まった。紆余曲折の積み重ね。今でも反対の声はある。自分たちで自分たちの街を作ろうと動くことになった。
話し合いの中で、今困っているの移動をどうするか。協議体の中では安全面、車の確保などはハードルが高かった。そこで、町が補助を出し、保険に加入し、安全性を確保した環境を作りながら、丸亀市でコミュニティバスを学び、多度津スタイルをつくるべく住民が自ら動いた。(コミュニティバスはコストもかかり、また小回りが利かないこともあり日常の足にするのは難しいとの判断)
先月10月からステップ付き5人乗り乗用車をリースし運行開始。(現在1台が運行中) 運転ボランティア養成講座を開催し、現在14名が運転可能の状態。また、28名の受付対応ボランティアもいる。
現場で話を伺うと「いつか自分たちもお世話になるから、出来る時にボランティアしようと思いました」「次の世代に残したい多度津の仕組み」。だから皆が助け合う。自治体の大小では測れない、住民の中から出た声を(行政が我慢強く、時間をかけて引き出した声を)、行政がサポートしながら形にしていった地域移動サービス。
ここには現役を退いた人ばかりでなくは、働きながらボランティアに加わる人もいる。
「協議体はサービスを提供することだけでなく、課題を考え解決していく役目があると考えています」とのこと。
役場と町民の皆さんが一緒になって変化している姿が印象的。同じ方向に向かって、大変積極的に取り組まれている。
とはいえ、まだまだ課題はある。ひとつはタクシーとの「すみわけ」。
サービスエリアは多度津町内のみとしたこと。行き先が公共施設、買物、病院、金融機関といった絞り、すみわけることで合意。今のところ「タクシー営業を阻害するものではない」となっている。納得はしていないが、反対だけでも良くないということで折り合いついているが、今後行き先が多様化したり、台数が増えると、心配事になるとのこと。
また、町として75歳以上の町民にタクシー券・年1万円を支給していることも折り合いをつける後押しになっている。タクシー業界としても、ドライバー自身が高齢化しており、将来的に対応しにくい状況になっているとの話も。
コミュニティバスの方がコストがかかり、反対の声が多い。
法的には、平成30年の高齢者齢者移動に関する道路運送法改正でクリア。
地域の助け合い、移動制約者を支え、実費のみを徴収することであるなら、タクシーのような免許がなくても可とするとの内容。しかし、コスト設定が厳しい。補助金がないとやっていけない。現在のままでは独立採算は難しいものがあります。
具体的には、徴収料金は当初片道100円で考えていたが、結果的に片道50円、往復100円となった。出発地の社会福祉協議会(社協)→ピックアップ→目的地→社協戻り。
しかし、四国運輸局「100円は高すぎる」「実費(ガソリン代)以上になる」「一番近いところを前提にするべき」とのことで、「50円なら妥当」となった。実際は実費以下の徴収状況。今は補助金で何とかなっているが今後の課題。
自分で乗り降りできる方、要件を済ませて自分で戻ってこれる方が条件。54名が登録中。
(運転手はボランティアなので、荷物を運ぶなどの多様な動きは難しい)
仮に1回100円だとして、運行実費が50円とし、50円は謝礼と先に決めておくのはダメ。ただ、運行上、例えば介助料(付き添いなど)としていくらか受けとる分にいいと運輸局は示しているとのこと。面倒なことになると困るし、あくまでボランティアであり(将来自分もお世話になることも考え)多度津では「受け取らない」ことを決定している。
今はリース車1台のみ。2台目を検討中。増やしたときの運用、運行方法を協議体に話し合い、発展させていきたい。
今のところ祝日を除く火曜日と金曜日に1日4便運行。利用は事前に登録した65歳以上の町民が対象で、予約は先着順。多度津町では町民の3割以上が65歳以上。
10月初旬のNHKニュースで、同町の「チョイ来た」事業代表者の渡邉美喜子さんは、「みなさんが頼れる、頼りになる、そんな自動車になると思っております。(外出できることで)生きがいにつながる。この地域で長く安心して生活できるための一部とも思っています」とされていました。
行政があれもこれも出来る時代ではなくっている昨今。場所は規模の違いはあれども、納税者、住民が求めるものは似たり寄ったり。そこで、住民の力を引き出す行政の力=忍耐力が作り出した同町の取り組み。
まだ燻った声もあるそうですが、総論賛成各論反対を乗越えながら、結果に結び付けている。コロナ禍のバス路線減便、廃線などと共に、免許返納などの後、タクシーを日常の足にできる年金生活者は極めて少ない現実の中、いかにして地域交通を守るか。
横浜市の今年度予算における最初の項目が「地域交通」。そして調査費が計上されています。これまでも様々な取り組みにトライしてきましたが、年齢を重ねても安心できる移動手段の確立に向け、加速していかねばと思います。








