「チーかま」55年の七変化について 6946
昨夜、帰宅して一杯。手元には「チーかま」。安定の一品。これに限らず、ロングセラー商品には、似たような物はあるものの、乗り越えられない「何か」があります。
先日、日経新聞コラム「ヒットのクスリ」がまさに「チーかま」を取り上げ、「チーかま 55年の七変化 流通革命で子供から大人へ」と題して記していました。いつも興味をそそるコラム。新聞記事ですので長いですが、ご興味ありましたらどうぞ。
「1970年の大阪万博を起点に、様々な発明品や人気商品が登場した。スマートフォンの元となったワイヤレステレホン、電気自動車、エアドーム、そしてリニアモーターカーなどが有名だ。
食生活ではロイヤル(現ロイヤルホールディングス)の出店でファミリーレストランが話題を呼び、回転ずしも知名度を高め、今ではグローバル食だ。ほかにはヨーグルトや缶コーヒー。2025年の大阪・関西万博から広がるのは、ハイテク以外で言うと猛暑で利用が目立った男性用日傘だろうか。
ちなみに1970年にはロングセラー商品として、タカラトミーのミニカー「トミカ」や花王のシャンプー「メリット」が〝同期〟として顔をそろえるが、いぶし銀の同期を忘れてはいけない。食品メーカー、丸善(東京・台東)の「チーかま」だ。
前身である水産加工品会社、丸善商店が東京・上野の「アメ横」に進出。魚肉ソーセージやハム、ちくわを扱っていたところ、付加価値品が増えてきた時代の流れに応じ、当時の社長が新製品の開発を提唱する。すると、開発担当社員がある文献から「ドイツにはチーズ入りのソーセージがある」との事実を知り、社長に報告。開発に動き出した。
ソーセージではドイツと同じで芸がないので、日本由来のかまぼこにチーズを入れる案が浮上。当時はチーズなど乳製品を食べる習慣は根付いておらず、チーズ含有量を7%に抑え、1968年に「おらが幸」として売り出した。
もっとも、消費者は見たことがない商品を警戒する。市場を創造したロングセラー商品あるあるだが、個性が強いせいか、最初は理解されず、全く売れなかった。
そこで営業部隊が食べやすく、栄養価が高いことを掲げると、学校給食用に売り込むことに成功。これに合わせて子供が食べやすいスティック状にモデルチェンジし、1970年に商品名を「チーかま」に変更した。食べやすさと当時の豊富な子供人口がチーかまを強力な定番ブランドに押し上げた。
1970年代半ばにはスーパーでの販売が始まった。子供の「口コミ」もあって親も食べるようになる。日本人の食習慣も変わり、当初7%だったチーズの含有率は、現在は12%。丸善の原壮太社長は「チーかまの味は祖業でもあるかまぼこが生命線。不思議と(チーズの含有量が)20~30%になるとおいしくならない」と話す。10%前後がチーかまの黄金律のようだ。
次の変化は1980年代のコンビニエンスストアの台頭だ。店舗網はまだ弱く、1店舗当たりの納入量も少ない。採算性に疑問を持ちつつも展開を始めると再びチーかまの立ち位置が変わる。当時のコンビニ利用者は男性が圧倒的に多く、しかも夜の利用が中心。このため需要がファミリーからおつまみへシフトし、顧客基盤が固まることになる。
2000年代になると消費者の志向は多様化し、フレーバーも広がっていく。かに、からし明太子、カレー、瀬戸内レモン味などを展開するが、枝豆風味が1番人気という。練り物と枝豆の親和性が高いからとか。かまぼこ、チーズ、枝豆と3大つまみの融合だ。
近年はプロテインブームとしても注目を集める。とりわけ魚肉系は割安で需要を底上げしている。丸善もアラスカ産シーフードであることをパッケージで強調。セブンイレブンの経営の合言葉ではないが、定番の強さは変化対応が生命線になる。」
定番も変化の対応が生命線、とは進化論そのもの。自分自身に勝ち続けた者だけが生き残る。
「チーかま」、こんなに頑張っていたとは知りませんでした。