「減税ポピュリズム」について 6817
参院選スタート。「減税」を訴える政党が多い中、見比べると最大は参政党の国民負担率46%→35%。負担減66兆円。日本の国家予算は115兆円。神谷代表の第一声を確認すると、消費税(28兆円)も社会保障費(146兆円)も大幅に減らして国民が使えるようにし、5年、10年やるとのこと。財源は「積極財政」とか。間違いなく国民生活は立ち行かなくなり、日本は破綻すると思います。
先日、作家の佐藤優氏が指摘されてましたが、仮に消費税を10%引き下げるとすれば、28兆円の財源不足が生じます。(66兆円の半分にもならない)令和2年度の国債発行予定額が33兆円。国債で埋めるとしたら、これが61兆円にはねあがることになります。為替市場、国債市場は大混乱し、大幅な金利上昇、円、国債の深刻な下落が起きることが容易に想定されます。
当然ながら、現在の医療介護、子育て支援策などは提供できなくなります。何とかなるかのように話しますが、何ともなりません。
他方、これをもし仮に富裕層への課税でうめるとすれば、1237万円超の所得税を50%引きあげ、法人税をさらに40%ほど引きあげる計算となる。これらの大幅な税率引きあげが経済にあたえる影響についても真剣に考えなければならないともされていました。できないことを前提に言っているようも感じます。
改めて、国民負担率を46%から35%に引き下げた場合の影響について、AIで確認してみました。
国民負担率の計算は、(租税負担額 + 社会保険料額)÷ 国民所得 × 100
日本の国民所得、現在約600兆円とされるものを前提とした場合、
1. 国民負担率の差:46% – 35% = 11%
2 .負担減の金額:600兆円 × 11% = 66兆円
したがって、国民所得が600兆円の場合、国民負担率は11%減少し、66兆円の負担減。消費税換算で27%相当になります。
医療介護福祉等々あらゆる行政サービスを5年、10年止めて、日本をよくすると言ってるのと同じ。一体、誰が耐えられるのか?これで国民生活がどのように良くなるのか具体的に示す責任があると思います。
こうした当たり前の、常識的な話がなぜ通用しないのか。佐藤氏は「デフレに30年慣れていたところに、突然、物価上昇が起きたので、手許に可処分所得を少しでも多く残しておきたいと考えるのであろう。責任をもって国家を運営するエリートは、世論からどれだけ反発を受けようとも、減税ポピュリズムにおもねないでほしい。」とのこと。
男女、年齢、お金のあるなし、健康かどうか等々、立場によって人それぞれ考え方は異なります。日本のような成熟した民主主義社会にあって、それぞれが安心できる環境をいかに作っていくか。それが政治の責任だと考えますが、誰かを犠牲にすることを前提にするような話をするならば、その影響も示すべきだと思います。個人的には究極のポピュリズムのようにも感じます。
その後、参政党の主張を見てみました。個人的な意見です。
経済が悪くなっているのはグローバル化のためであり、もっと内向きになって「日本人ファースト」を進めるべきとのこと。
「アメリカ・ファースト」との言葉は、資源大国であり、カロリーベースの食料自給率132%などの基盤の裏付けをもって主張されていますが、食料自給率38%で資源も乏しい我が国が、グローバルとの言葉を使わなくとも、他国との友好関係の構築なしにやっていけるのか。日本の立ち位置を理解されているのかどうかわかりません。
また、外国人について。日本の現実を知れば、農業漁業などの第一次産業、建設業、サービス業等々、外国の方の活躍なしに、今の日本社会を語ることができません。介護士をしているうちの妻も、以前はインドネシア、今はミャンマーのスタッフをサポートしていますが、日本人のために懸命に頑張られています。同党には観光客はいいが、それ以外は制限するかのような話もあります。生活現場の現実を知らないか、見ようとしていないのかも知れません。
今は外国人が働く国を選ぶ時代とされており、人材獲得競争が激しくなっていることはよくニュースでも取り上げられています。そうした中、日本の人手不足の問題を具体的にどう解決するかを示した方がいいと思います。目の前の問題を解決するための説明なしに、無責任であったり、他人の不幸の上に自らの幸せを築くようなことがあってはならないと思ます。
他方、結婚する人が少なくなり、少子化となっている原因は経済が悪いからとのこと。これも説得力に欠けます。少し外の状況を見ればわかりますし、それだけで内向きになる理由にはならないと思います。
2024年の日本の名目GDPランキングは世界4位ですが、一人当たり名目GDPランキングを見ると、日本(38位)はシンガポール(5位)、韓国(33位)に抜かれています。よくニュースになりますが、両国の婚姻・少子化問題は日本より数値が低く深刻。他の経済発展をしている国においても似た状況で、経済だけでなく、様々な要因があるとされています。それをグローバリズムで貧困が増えたから少子化になったとするロジックは、単純でわかりやすいですが、的確に表現しているとは思えません。
翻って、参政党の主張する財政の話、外交の話。それらを実現するための具体的なプロセスの明示はありません。それ以外の政策も中身の説明はなく、都合のいい言葉が並んでいる印象。だからシンプルなのかも知れません。説明すれば、長くなる。それでは見てもらえなくなる、ということかも知れません。
ネットの見出しで情報は十分、という層を対象にしているようにも見えます。
YouTubeの「ああすれば こうなる」との空想に期待したい現実も、世の中にはあるのかも知れませんが、どこまで行っても政治は現実。
一人の人間の人生と似て、財布に入っている中身を見ながら、どのように使うか。どのように生きていくか。現実をどのようにしてより良くするか。
現在の置かれた状況を変えたい場合、どのようにしたいのか。そのために必要なことは何か。それによる影響はどのようなものか。損なことがないように、具体的に考えて行動すると思います。
選挙は公約で目標とそのプロセスを示す機会。実現可能性を競う機会でもあります。