外国人観光客と「喜賓会」について 6760
昨日は終日ご挨拶まわり。GW中、都内へのご挨拶まわりの際、東京都北区にある渋沢栄一記念館の企画展「渋沢栄一と喜賓会 ―明治時代のインバウンド―」へ。先人から学ばせて頂きました。
渋沢栄一が力を注いだ外国人観光客誘致団体「喜賓会」(きひんかい/英語名 Welcome Society of Japan 1893年(明治26)創立)。外国人観光客誘致と旅行者の支援を目的として活動した非営利の民間団体。国際交流を重視する渋沢栄一は、創立から1914年(大正3)に解散するまで同会の活動に力を注ぎました。喜賓会の活動は主に旅館・ホテルへの助言、通訳や旅行ガイドの監督奨励、見学先の調整、案内書や地図の発行など、近代的な旅行業のさきがけとも言えるものでした。
先日、日経新聞コラム「春秋」が記していました。
「明治も半ばになると、新興国家・日本を旅したいと思う外国人が増えてきた。しかし今と異なり交通手段は限られ見物も宿泊も簡単ではない。失望する人を減らそうと非営利団体を立ちあげた2人の実業家がいた。大河ドラマにもなった渋沢栄一と三井物産の益田孝だ。
その組織「喜賓会」は財界人らの賛同を得て1893年に発足した。都内の渋沢史料館で活動史を展示している(5月11日まで)。旅館に改善を指導し通訳を育成した。編集した外国語の地図やガイドブックは英字紙で便利だとほめられたそうだ。地図作りなどを提案した弘岡幸作という人物を展示は詳しく紹介している。
今の山口県出身で、教員をしながら夜学などで英語を学んだ。上京後も教職に就くかたわら外国語を学び続け、喜賓会の趣旨に賛同し合流したという。後年は客船の運航会社に移り、外国人客への接遇に従事したそうだ。さまざまな現場で多くの人材が外国人とふれあい、日本の地位向上のため汗をかいてきたことだろう。
いま年間3700万人近い外国人が観光や仕事で日本を訪れる。先日、旅行関連のイベントで高校生や大学生を取材した。将来は観光分野に就職し、外国人を迎えたいという。訪日客というと経済効果が話題になりがちだが、まずは訪れる人と迎える人とのいい出会いが生まれてほしい。旅の一番の醍醐味は、そこにある。」
以前、お茶の水女子大学の石井クンツ昌子名誉教授が公明新聞に寄稿されていました。「これだけ増えてくると、訪日外国人との「共生はあり得るのか」という問いが生まれそうだが、既に的外れだ。むしろ、「共生はどのようにすれば可能なのか」の方が、より現実的ではないか。つまり、訪日外国人と日本の地域住民が互いに理解を深め、多様性を尊重する多文化共生社会を築くことが重要だ」
5月11日までの企画展。よろしければ、どうぞ。