「がんリスク、酒飲みに逆風」について 6782
昨日は地元の障害がい者支援施設での打合せの後、市会での作業等。健康を維持し、治療する力の進歩は大変なものがありますが、人間の頭や心は進歩しているのかどうか。
先日、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」を読みました。以前も似たような感想を持ちましたが、書かれた400年前と今、人はあまり変わってないような気がします。古代ローマの物語を読んでも変わらない。「一人では生きていけない」とわかれば、他者への思いにつながり、「自分さえよければ」は減るようにも思いますが、欲望を満たすためのモノの進化が続き、寿命を延ばす技術は成熟しても、心の進化は難しいものがあるように感じます。
ところで先日、日経新聞コラム「がん社会を診る」に東京大学の中川恵一特任教授が「がんリスク、酒飲みに逆風」と題して寄稿されていました。
「私を含めた世の酒飲みに、逆風が吹いています。この連載コラムでも、2022年10月に「酒は百薬の長」は死語になるか?と書きました。24年3月には「酒は百薬の長」は否定されています、と断じています。
わずかな量のお酒でも、がんや高血圧などの病気のリスクが上がることが明らかになってきたからです。「一滴も飲まないのが最も健康によい」というのが、厳しく、悲しい結論というわけです。
日本人を対象とした最新の評価でも、飲酒によるがん全体のリスク上昇は「確実」とされています。臓器別にみると、肝臓がんや大腸がん、食道がん、喉から首のがんは、お酒で確実に増加します。男性の胃がん、閉経前の女性の乳がんもほぼ確実に増えます。
特にお酒で顔が赤くなるタイプ(フラッシャー)は食道がんに要注意です。フラッシャーが毎日、日本酒を3合以上飲むと、食道がんのリスクが50倍にも跳ね上がります。
国立がん研究センターは日本人に向けて科学的ながん予防法を提案しています。先月、飲酒に関する記載を変更しました。新しい提言には「がんの予防には飲酒をしないことがベストで、飲酒量を減らすほどがんのリスクは低くなります」と書かれました。
変更前はざっと以下のような内容でした。「日本人男性の場合、1日あたりの平均飲酒量が1合の人に比べ、2合になると4割、3合では6割、がんのリスクが高くなります。お酒は1日あたり1合までにしましょう」
「飲み過ぎ」はこれまで、男性に多い問題でした。がんによる死亡原因のうち、飲酒が占める割合は男性の9%に対し、女性は3%にすぎませんでした。
ところが女性が本格的に社会進出し、状況が変わりました。仕事も飲み会も男性並みにこなしてきた50代を中心に、女性の「不健康な飲酒」が問題になっています。
50代の女性の「問題飲酒者」の割合は17%に達し、男性の2倍近くに上ります。東京都の調査でも、不健康な飲み方をする人の割合は21年度に女性全体で18%となり、初めて男性全体を上回りました。
女性は男性に比べて、一般的にアルコールの分解速度が遅く、同じ量でも男性より健康へのダメージが出やすい傾向があります。日本人女性のがんで最も多いのは乳がんで、9人に1人が罹患(りかん)します。閉経前の乳がんは、1合強の飲酒でもリスクが上がるため、注意が必要です。
ストレス社会で、飲みたい気持ちは分かります。各人がうまい付き合い方を見つけていくしかないと思います。」
長い歴史を彩り、形を変えながらも、今も変わらず飲み続けられる酒。楽しいことも、失敗も、、、。
今のところ、やめる予定はありませんが、これはかなり厳しい指摘だなと感じました。