アジア人女性初のノーベル文学賞について 6553
昨日はご挨拶まわり、地元での会合、市民相談対応等。今年のノーベル文学賞が韓国の作家ハン・ガン(韓江)さんに決まりました。アジア人女性初の受賞。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「われわれの現代史の深い傷を偉大な文学作品に昇華させた」とお祝いのメッセージ。歴史の風化に抗い、韓国が歩んできた歴史の恥部や社会の暗部を描いた作品が多いそうです。
日経新聞コラム「春秋」が記していました。
「韓国は民主化してからまだそれほど間がないんだよね」。学生時代、韓国人留学生の言葉にハッとしたことがある。明るく気のいいやつで、知り合ってすぐ仲良くなった。むこうの文化や習わしもたくさん教えてくれたが、政治の話になると表情にすこし影が差した。
いま思えば、祖国での重い記憶を思い起こしていたのかもしれない。韓国で民主化が実現したのは1987年のことだ。ソウル五輪の前年である。それより前、人々は激しい弾圧に遭った。軍は市民に銃口を向け、子供を含めた多くの血が流れた。はなやかな音楽やドラマがあふれる現代からは、すぐには想像がつかない。
韓国の作家ハン・ガンさんがアジア人女性初のノーベル文学賞に決まった。軍に射殺された少年の魂が語り出し、子を失った母の慟哭(どうこく)が響く。人の暴力や獣性を描きつつ、それを乗り越える可能性を探る作品群である。「歴史的トラウマに立ち向かい、命のもろさをあらわにした力強い詩的散文」。授賞理由が胸に落ちる。
日本人が選ばれず残念がる人もいよう。が、隣人の文学に改めて目が向くきっかけを得たことは、掛け値なしにすばらしいことだ。昨今、前へと進んでいる日韓である。書物の世界でもさらに互いの関心が高まり、理解が深まったらいい。会社近くの書店をのぞいてみた。聞けばハンさんの本は瞬く間に売り切れたそうだ。」
選挙が終わったら読んでみたいと思います。