火葬後の「灰」売却について 6529
昨日は市民相談対応、質問調整等。夜は横浜市医師会の会合へ。横浜市には4か所の公営火葬場があります。故人や家族が横浜市民の場合、安価に火葬ができます。火葬後の「灰」の扱いには自治体ごとにルールがありますが、日経新聞が「火葬後の「灰」売却額3.4倍」と題し、独自調査をもとに興味深い記事を掲載していました。
「年間157万人が亡くなる多死国家の日本で、遺体を火葬し骨つぼに収めた後に残る「残骨灰」の扱いが揺れている。含まれる貴金属などの売却に動く自治体が目立ち、日本経済新聞の全国88都市への調査では2023年度の売却額が19年度比3.4倍になった。一方で住民感情に配慮し売らない例もあり、対応は割れた。国に売却ルール整備を求める声が上がる。
火葬場に残る残骨灰には、故人が生前に歯科治療したときに使われた金やパラジウム、人工骨に含まれるチタンなどの有価物が含まれる。一部の自治体はこれらを売却し、火葬事業を支える収入源としている。墓地埋葬法には残骨灰の取り扱いに関する規定がなく、残骨灰が誰のものかが曖昧な状況が続く。
調査は7月、政令市や県庁所在地、中核市のほか、東京都や複数の自治体が共同運営する組合を対象にアンケート形式で実施した。回答率は100%だった。
残骨灰を売却し収入を得ていたのは48%にあたる42都市。23年度までの5年間に計64億9千万円を得ていた。10年度以降に売却を始めた都市が7割超を占めた。
死者数の増加や貴金属の価格上昇に伴い売却額は上昇傾向だ。北海道旭川市と松山市が売却を予定しているほか、検討中の都市も16あった。
23年度の売却額が最も高かったのは京都市の3億円。横浜市の2億3千万円、名古屋市の2億2千万円が続いた。
22年度に売却を始めた京都市は「残骨灰から抽出した貴金属の売却益を火葬場の修繕などに活用し、利便性を向上させることが適切と判断した」(医療衛生企画課)と説明する。
売却を市民に周知している都市は45%にとどまり、「周知していない」と「分からない」の合計が半数以上を占めた。
一方、残骨灰を売却せず、業者に処分を委託したり、市有地に埋葬したりしている都市は46あった。相模原市は年間4万4千円を業者に支払って処分を委託している。担当者は「残骨灰は人体の一部であり、供養の対象と考えている」と説明した。有価物を売却するかどうかは業者に判断を委ねているという。
全国の火葬場の97%を公営が占める中、特殊な状況にあるのが東京23区だ。域内9カ所の火葬場のうち7つが民営。うち6つを運営し、年間約7万件の火葬を担う東京博善は残骨灰の処分状況を明らかにしていない。
今回の調査では、3割の都市が国にルール整備を求めた。残骨灰を売却していない札幌市は「各自治体で残骨灰の取り扱いが変わることで、市民とのトラブルが発生することも考えられる。国による指針づくりが望ましい」と回答した。
1割超は「地域ごとに埋葬及び火葬に関する文化が異なる」(さいたま市)などとしてルール整備は不要と答えた。
88都市の火葬件数は23年度に65万5千件に上り、5年間で1割以上増えた。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、国内の死者数のピークは40年(約167万人)で残骨灰は今後も増え続ける可能性が高い。
名古屋学院大学の玉川貴子准教授(現代社会学)は「法律がないため、残骨灰が誰のものか曖昧な状況が続いている。売却する場合は売却額や使途を『見える化』し、市民に理解を求めるべきだ。民営火葬場での取り扱いを含め、国主導でルールづくりを進める必要がある」と指摘する。」
横浜市では「灰」のすべてを遺族が持ち帰ることになっていますが、床にこぼれ落ちたり、壁面に残ったものについて収集し、入札をかけて売却しているとのことです。売却益は市内4施設の維持管理等に利用されています。
見えにくいところも、理解の得られる、納得の仕組みづくりを、と思います。