安全・安心の横浜へ 「何を言ったかでなく、何をやったか!」

公明党 横浜市会議員(青葉区) 行田朝仁 (ぎょうた ともひと)

「事前復興」の取組について 6487

未分類 / 2024年8月9日

減災対策推進特別委員会の視察で和歌山県湯浅町、和歌山市へ。同委員会では今年度「大地震により想定されるあらゆる被害実態に応じた事前復興の取り組みについて」をテーマに調査・研究を行っています。事前復興とは災害が発生した際のことを想定し、被害を最小化する都市計画やまちづくりを推進すること。長いですが下記はメモです。ご興味ありましたらどうぞ。

湯浅町では、南海トラフ地震に備えた事前復興計画の策定に積極的に取り組んでいる。国は関係する都市に策定を求めているが、横浜市ではまだ策定されておらず、早急な対策が求められる。そこで先行して進める湯浅町で具体的な取組みを伺った。

和歌山県と連携し令和4年から着手、作成。上山町長は湯浅町では南海トラフ地震により9mの津波を想定。町役場を駅前から海抜25mの場所に移転。避難タワーの代わりに避難ビルとしての役割を果たしている。すべての公共施設を高台に移転させた。常日頃から避難訓練、情報周知等々、災害対策を進めていると挨拶。

当日、防災キャンプを実施している町立山田小学校に場所を移し、現場視察と共に復興計画の事前策定について種々伺い、やり取り。被災後の復興まちづくりの基本方針や具体的なイメージを事前に作成しておくことで、迅速な復興が可能となる。地区別の復興計画策定により、町全体の復興計画に加え、地区ごとの詳細な復興計画も同時に策定している。この最大の目的は、災害後にも町民が故郷に定住できるようにすること。

避難対策の整備として、避難道路の計画的な整備や水門・陸閘門の閉鎖体制の強化など、被災後の初動対応の備えを実施。 課題山積するも、復興にあたる際の自治体の姿を、災害以前に住民へ示すことの重要性を学ぶ。

和歌山市の中消防署へ。和歌山市(人口35万人)は今後30年内に発生する確率が70~80%とされている南海トラフ地震を想定。近年の顕著な大雨による被害への対応と共に、東日本大震災の教訓を踏まえた、発災後の迅速な復興計画に取り組めるよう事前に検討した事前復興計画を策定。

東日本大震災では、復興方針の決定や復興計画策定に時間を要し、人口流出が進むなどの問題が顕在化。人材不足、合意形成の長期化、生活再建の遅延、用地確保困難等々により復興の見通しが立たないという困難に直面。そうならないための取り組みを強力に推進。

「和歌山市事前復興計画」はコンサルティング会社を使わず、市職員を中心に策定し、計画に市民の声を反映させるため、市のインターネットモニターへの調査、大学生対象のワークショップなどを実施した。また、女性職員を対象としたワークショップも行い、多様な視点の把握に努めている。

計画の内容は5編で構成しており、第1編「総則」(最大クラスの地震想定(M9.1)を対象に策定)と第2編「本市の『いま』と『未来』」では、市民の意識について取り上げ、必要となる取り組みや基本的な方針、活用法などを掲げた。第3編「復興ビジョン」で基本理念と目標(住まいの確保とくらしの確保)や事業の早期再建と地域経済の活性のため産業の復興、生活再建のニーズを踏まえた市街地の復興などを示し、第4編「復興プロセス」で住環境、産業、市街地の分野別の復興プロセスを策定し、行政の対応行動などを整理。第5編「復興事前準備」で早期復興に向けて事前に取り組むべき項目を列挙。

事前復興計画を令和5年10月に策定した後、市役所全体で図上訓練を実施。全国初の取り組み。

・医療提供体制の整備や市内の医療機関の開設状況に関する情報収集・周知など、具体的な取組を示している。

苦労したところは、様々な部局が関わるため、「どこが何をやるか」に対応するための意識醸成など大きな時間をかけた。

事前復興計画を示すにあたり利害が絡む。市民との合意形成。市は、復興は過去の課題解決も含めた新たなまちづくりと考えているが、市民の声は約7割が「今のところがいい」と考えている。(ネット調査)庁内の調整は他都市にはないほど前に進んだという印象だが、市民意識の醸成にご苦労されている印象。議会との関連が重要なると考えるが、どのような議論があったのか。また本計画は議決されているのか。

災害対策特別委員会で議論してきた。事前復興計画素案について議員から意見を聞きつつ進めている。議決はしていない。

合意形成、用地確保が最も重要で、明確化したが、今の課題は。

仮設住宅の建設予定地の確保など明確になっていない。倒壊家屋想定55,000棟に対して仮設住宅をどうするか。予定地は今のままでは2千棟しか建てられない。そもそも、高台移転がいいのか、今のところの基盤を強化するか。市民お声にどう応えるか。悩ましいところ。

大変勉強になりました。