昨日、令和4年横浜市会第1回定例会が閉会しました。本会議では各種議案等の採決を行い来年度予算が成立。議決にあたり、公明党を代表して福島直子議員(中区)が登壇。予算議案に対する賛成討論を行い、会派としての考えや要望について申し述べました。原稿作成にかかわってますのでご紹介します。
「私は、ただいま議題となっております予算議案及び予算関係議案につきまして、公明党横浜市会議員団を代表し、原案に賛成する立場から意見を申し述べます。
令和4年度予算は、長きにわたる新型コロナウイルスとの闘いが続く中、本市の人口が戦後初めてマイナスとなる局面で、社会が大きく変化する渦中での予算編成であると認識しております。
市長も、同様の認識に立ち、来年度中につくる財政ビジョンを踏まえ、行政運営の基本方針、次期中期計画を策定することを視野に予算を編成されたことは、適切な判断をされたと考えております。
その上で、持続可能な市政運営を実現するため、「多くの皆様から、住みたい・住み続けたい、と思っていただける横浜」、「事業者の皆様から選ばれる横浜」を目指すため、子育て支援・教育・DX・脱炭素に重点を置いて予算を編成した、とされており、その予算案に対しても概ね評価すると共に、我が党の主張が盛り込まれた施策に対し意見を申し述べます。
はじめに、「コロナ対策」です。
この瞬間も、最前線で懸命なご尽力を頂いている医療、介護、福祉関係などのエッセンシャルワーカーの皆様、そして、感染症対策にご協力いただいている市民の皆様、事業者の皆様に心より感謝申し上げます。
来年度予算案においては、現在進められている3回目のワクチン接種事業や、我が党が強く申し入れてきた、医療提供体制の確保、自宅療養者の見守り支援体制の強化策などが盛り込まれています。
しかし、世界的にもまだ終息を見込むまでに至っておらず、まだ感染拡大が続いている地域もあります。コロナ禍にあって、環境の変化に対し敏感に反応しながら、適宜適切な判断と行動をお願いします。
次に「子育て支援」についてです。
我が党はこれまで、安心して子どもを産み育てられる社会の構築に一貫して取り組んで参りました。来年度予算案においては、我が党が長年取り組んできた特定不妊治療費の保険適用が本市においても始まることとなり、また不妊・不育に関する相談体制の強化が盛り込まれております。希望する方が利用しやすい施策の実施を要望致します。
子育て支援の観点からは、保育所の整備と並んで、保育・教育人材の確保及び質の向上のための取り組みは、市民から大変期待の大きい施策です。来年度予算案において、施設の新設や医療的ケア児受け入れ態勢のための看護師経費加算と共に、資格取得支援や宿舎借り上げ支援事業の拡充などの取組みを評価しておりますが、子ども達の安全安心、保護者の声を勘案しますと、さらなる人材確保の取り組みが必要であることを改めて申し述べます。
また、放課後児童の居場所については、放課後キッズクラブの開所時刻が原則8時に前倒しされるなど、多くの市民の声を生かした予算編成がなされました。コロナ禍にあって、難しい状況が続きますが、現場の声を聴きながら、引き続きの改善をお願い致します。
次に「教育環境の充実」についてです。
2年目に入る中学校給食は、新入生に給食利用を推奨する「さくらプログラム」の実施校を、今年度の86校から全145校に拡大し、喫食率を30%にするとしています。実施校では1年⽣の喫⾷率が40 %近くを推移しており高い評価を受けております。
さらに「給食を利用しやすい環境づくり」を進める上でも、教育委員会や学校から給食の利用を推奨することと併せ、学校内でも、生徒に給食を受け渡す配膳体制も強化する必要がありますので、改善を続けて頂くよう要望致します。
また、不登校児童生徒支援事業として、校内ハートフル事業が20校から35校へと拡充されました。我が党では、本定例会において、不登校から引きこもりへと変化していく過程と対策についても議論致しましたが、この支援事業は社会全体にとっても大変重要な施策であり、児童生徒に寄り添いながら、しっかりと取り組んでいただくことを期待しております。
次に、「地域包括ケア・介護」についてです。
これまで、団塊の世代が75歳を迎える2025年に向け、住みなれた地域で自分らしく暮らしを続けることができる地域包括ケアシステムの構築に取り組んできましたが、あと3年でその時を迎えることになります。
認知症対策について、来年度は、認知症疾患医療センターの運営等と共に、若年性認知症支援コーディネーターの増配置が予定されており、若年性認知症の方への支援の充実に期待しております。
さらに、認知症の早期発見・早期治療は、本人・家族にとって重要であることはもより、介護や医療の費用削減につながり、市の財政に大きく寄与する施策でもあります。我が党から要望しておりますが、血液検査で「認知症」や「がん」がわかる時代に入っておりますので、最新の技術や知見に常にアンテナを張り、また、国の動向を注視しながら、早期導入を目指し、取り組みを進めて頂くよう要望致します。
一方、深刻な問題のひとつに、本市における介護職員の不足が挙げられます。3年後の2025年に約6500人が不足すると推計されるなど、大変厳しい状況です
本市では、介護ロボットやICTの導入支援を拡充して、業務の効率化や職員の負担軽減を進め、定着を支援いくとしていますが、目の前の対策はもとより、中長期的な視点に立ち、小・中学生のころから命の大切さや、人に関わる仕事の重要性や魅力を伝えることが重要です。本定例会では、将来介護分野で活躍する人材を増やすとの観点、また、保育・教育分野の人材確保の観点からも、教育委員会ともしっかりと連携し、戦略を持って横浜の未来を担う人材の育成を進めるとの答弁を頂きました。具体的な行動で、結果に結びつけていけるよう要望致します。
次に「地域交通」についてです。
我が党では定例会ごとにこの問題を取り上げていますが、生産年齢人口の減少、働き方の変化などにより、路線バスの減便が進むなど、地域の足に大きな影響が生じています。特に運転免許返納、バス停まで歩くのがつらい高齢者の方にとっては、買物や通院もままならず、日常生活における死活問題になっています。
地域交通施策を強力に推進するためには、施策全体の中で敬老特別乗車制度も含め、総合的に検討することが必要であり、早急に部局を横断し、本市が一丸となって推進していく最適な体制を構築すると共に、地域に適した移動サービスの創出に、一層のスピード感を持って、取り組むよう要望します。
次に「災害対策」についてです。
東日本大震災から11年が経過しました。震災の教訓を風化させてはならない、二度と悲劇を繰り返さないとの思いを絶やさず、防災・減災の取組を進めなければなりません。近い将来に危惧されている大規模地震の発生や気候変動の影響による局地的な大雨の増加など、市域を取り巻く環境は常に変化を続けています。
来年度予算案では、「インフラ防災機能の強化」や「まちの防災性向上」など強力な取り組みが盛り込まれております。
例えば、我が党が強く要望している、下水道管の耐震化についてですが、国の「国土強靭化5か年加速化対策」の予算を最大限活用し、これまでの整備の2倍のスピードで事業を推進して、令和7年度までの完了を目指すと市長が表明するなど、本定例会でも積極的な防災への意思を確認する事ができました。只、防災・減災対策に終わりはありません。これまでの自助・共助の取組推進に加え、あらゆる災害への対策強化に期待しております。
最後に「国際平和の実現」について申し述べます。
ロシアのウクライナ侵攻は断じて許すことのできない蛮行であります。今世紀最大とも言える人道危機に対し、本市は、政府や国際機関などと連携し、必要な人道支援に努めていかなければなりません。
政府では、我が党からの提言を受け、ウクライナ人の安全確保に向け、住まいや食料・衣料品など生活必需品の確保、精神ケアを含めた医療体制などの強化すること。また、性暴力から女性を守るための対策、妊婦が安全に出産できる環境整備を進めること。子どもの健康支援を検討すると共に、避難民の日本国内受け入れでは、日本に親族や知人がいない場合でも、身元保証人を不要とする新たな制度構築も含め、準備に入っています。
こうした国の動きに連動し、オデッサ市と姉妹都市として50年を超える友好を育んできた本市が、難民の受け入れを検討するなど、積極的に取り組んでいることを高く評価しています。ウクライナの皆さんのために、適宜適切な対応をお願い致します。
一方、我が国と中国との関係は現在非常に難しい状況にありますが、公明党は、日中国交正常化をはじめ、節目節目で大きな役割を果たしてきました。中国の人権状況に対する国際社会からの懸念については十分承知しており、基本的人権はいかなる政治体制でも尊重されるべきと考えます。
只、国同士がいかなる状況であれ、両国市民の願いは、平和な社会であり、自身や家族の幸せであります。
本年2022年は日中国交正常化50周年、来年2023年は横浜市と上海市の友好都市提携50周年という大きな節目の年を迎えます。この機会に都市レベルでの友好親善を一層推し進め、アジアの平和と安定への貢献に活かしていくべきであると強く申し述べると共に、本定例会で、我が党の質問に対し、市長が「両国・両市の節目に当たり、過去の周年事業のように友好の証が見える形での記念事業を検討する」とされたご答弁に、大いに期待しております。
国同士の関係が難しいときこそ、ピースメッセンジャー都市としての使命感を持って、自治体ならではの国際交流を進め、世界の平和に貢献していくことを期待し、公明党横浜市会議員団を代表しての討論を終わります。」
来年度予算は決まりました。円滑な執行を求めて参ります。