昨日は地元自治会の防災訓練が行われ、消防団員ではなく、避難者の一人として参加しました。いつもは地域防災拠点となる小学校での連合自治会による開催ですが、今年はコロナの影響で単位自治会での開催。一時避難場所となっている公園に集まり、消防団員のリードで、消火器訓練、AED訓練を実施。AED訓練では、消防団からコロナ禍にあって大人への人工呼吸を行わないよう基準が変化していることの説明があったり、胸骨圧迫(心臓マッサージという言葉は、医師がメスを入れ心臓を直接マッサージすること)についての難しい質問が出た際、自治会員の一人として参加されていた女医さんからアドバイスがあるなど、小規模ながらも充実した訓練となりました。
危機管理教育研究所代表の国崎信江氏は、「近年の災害から感じること」として、次のように指摘されていました。
「日本はもともと災害が起きやすい国。国土のおよそ4分の3は山地で、深い峡谷が多く、山間を流れる川は急こう配で、季節風の影響により雨や雪も多い。こうした地形や気候、地質的な特性もあり、狭い国土にもかかわらず火山噴火、竜巻、雪害、地震、台風や豪雨に伴う津波、土砂災害、洪水など、あらゆる災害が発生します。これは世界的にも珍しいことです。
加えて近年は、海面温度の上昇もあり、毎年、豪雨や台風による甚大な被害が出ています。今後も地球温暖化による気候変動を受けて、猛烈な台風や豪雨の発生回数と降雨量が増加するでしょう。つまり、災害は減ることはなく、むしろ増え、パワーも増してくるということです。このことから、私たちは、いつかは被災するという覚悟を持った方がよさそうです。」
いつ来るかわからない災害に備え、今できることをやっておかねばと思います。
今月行われた、決算特別委員会・総務局審査で、コロナ禍における災害対策について、現場の声をカタチにすべく、分散避難や防災拠点運営などについて取り上げました。質疑のやり取りをご報告します。
<コロナ禍における災害対策>
わが党では、「防災・減災を政治の主流に」と訴えておりますが、その観点から、はじめに、コロナ禍における災害対策について伺います。まず、分散避難について伺います。
コロナ渦においては、避難所・避難場所における感染防止を防ぐ意味で、分散避難を実施することが重要であります。先の令和2年第2回市会定例会において、私より、分散避難について質問させていただいたところ、市民の皆様に対する分散避難の実施に向けた働きかけを強化するといった答弁をいただきました。
そこでまず、(1)分散避難の周知・啓発状況について、(危機管理部長に)伺います。
[答弁] 「《危機管理部長答弁》防災情報Eメールの配信や広報よこはま6月号、9月号で周知しました。
また、避難の考え方についての動画を新たに作成し、本市ホームページで7月から配信するとともに、一部の区役所のデジタルサイネージを活用した啓発も行っています。
さらに、横浜市の公式ラインアカウント等の活用や、9月にはラジオの特別番組で、風水害時の避難行動を事前に検討していただくよう、分散避難に向けた呼びかけを行いました。」
危機管理室の周知・啓発に併せて、分散避難についてはメディアでも取り上げられ、その言葉自体は市民の皆様にいくらか浸透してきたと感じています。しかし、水平避難、垂直避難、広域避難等、避難という様々な言葉が報道で使われているなか、分散避難という言葉の意味について正しく理解が進んでいないのではないかという不安があります。
そこで、(2)分散避難とはなにか、危機管理室長に伺います。
[答弁]「《危機管理室長答弁》避難とは難を逃れることでございまして、避難場所へ行くことだけが避難ではございません。
感染リスクと災害からの安全確保の両立を図るため、自宅で安全が確保できる場合には在宅避難、自宅外での避難が必要な場合でも、避難所だけではなく、可能な範囲で親せきや友人宅、また、ホテルなどへ避難することが、分散避難であるというふうに考えています。」
分散避難について、言葉の意味を正しく理解していただくとともに「自宅で安全を確保するのか」、「屋外避難を実施するのか」「避難先をどこにするのか」等、自身がどのような行動をとるのか事前に検討することが重要です。
そこで、(3)市民が分散避難の検討を進めるための支援を強力に進めるべきと考えますが、危機管理室長に見解を伺います。
[答弁]「《危機管理室長答弁》風水害時の避難行動でございますけれども、お住いの地域の危険性、また家族の構成、そういったことにより一人ひとり状況が異なるといったようなことがございます。そのためきめ細かな支援が必要だというふうに考えています。
これまでの取組に加えまして、消防局と連携いたしまして、横浜市民防災センターで、新たに「風水害体験ツアー」を設け、一人ひとりの行動計画であるマイ・タイムラインを作成するなどの体験ができるようにいたしました。
さらに、地域へアドバイザーを派遣し、具体的な分散避難の方法を検討していただく研修を行うなど、あらゆる機会を捉えて支援してまいります。」
災害はいつ起こるか分かりません。災害時に市民の皆様に適切な避難行動をとっていただけるように、行政としてできる周知・啓発、そして支援をしっかり実施していただくことを要望します。
また、避難所における感染症対策についてですが、災害時の避難所では、3密を発生させない取組の推進が急務となっており、先の令和2年第2回市会定例会では、避難所等における感染症予防に必要な資器材の整備について、補正予算を議決しました
そこで、(4)感染防止資器材の整備状況について、(危機管理部長に)伺います。
[答弁]「危機管理部長答弁》避難所等におけるマスクや体温計などの感染防止資器材については、議決後速やかに購入手続きを進め、9月末に地域防災拠点等の備蓄庫に整備が完了しております。」
補正予算で整備した資器材は、各地域防災拠点に一律整備されたとのことですが、それ以外に各区でも整備を進めており、私の地元青葉区でもマスクなどを追加で購入したと聞いています。本来は、それらの費用負担も総務局の予算でまとめて負担すべきと考えます。
そこで、(5)地域や拠点のニーズに応じた感染防止資器材整備の考え方について、危機管理室長に伺います。
[答弁]「《危機管理室長答弁》危機管理室といたしましては、国や県のマニュアル等を踏まえまして、基本的な資器材について、市として整備をしているところでございます。
一方、区や地域防災拠点の地域特性等により必要となる資器材については、区や拠点で整備していただいているところでございます。今後、訓練・研修の状況や、他都市での避難所の運営などを通じ、新たに必要となる資器材の整備については、引き続き検討してまいります。」
今回整備した資器材の中には、段ボール間仕切り及びベッドがあります。本来であれば、避難所となる各地域防災拠点で保管することが望ましいとは思いますが、スペースが必要となることから、多くは市内にある方面別備蓄庫に保管していると聞いています。いざ、災害が発生したとき、又は災害の発生が見込まれるときには、迅速に各避難所に配備できるのか心配の声があがっています。
そこで(6)段ボール間仕切り及びベッドの配送方法について、危機管理室長に伺います。
[答弁]「《危機管理室長答弁》保管できる範囲で拠点の備蓄庫や区役所に保管しておりますけれども、基本的には、市内の方面別備蓄庫で保管しているのが現状でございます。
方面別備蓄庫保管分は区が搬送することとしておりますけれども、具体的な方法については、各区の意見を聞きながら、現在検討を進めているところでございます。
なお、搬送が困難となる震災時も踏まえまして、各地域防災拠点での保管に向けて、教育委員会事務局と調整を進めているところでございます。」
災害時に避難が必要な方々の中には、コロナの陽性者で、自宅療養されている方もいらっしゃいます。自宅療養者については、災害発生時もしくは避難が必要な場合には、宿泊療養施設等へご案内する仕組みとなっていると聞いていますが、地域からは避難所に来てしまうのではないかとの不安の声もあります。また、災害が発生している状況では、多くの方々が宿泊療養施設等への移動の対象となり、搬送までに時間がかかってしまうことが懸念されます。
搬送や受入れ先の調整は、神奈川県が実施することとなっているとのことですが、そこで、(7)自宅療養者の宿泊療養施設等への搬送や受入れを安全・確実に対応できるのか、平原副市長の見解を伺います。
[答弁]「《副市長答弁》災害時は、横浜市の区から自宅療養者の方々に対しまして、宿泊療養施設への避難をご案内します。その後の搬送手段の手配や受入れの調整は神奈川県の方でやるという役割分担になっています。
自宅療養者の確実な避難に向けまして、この仕組みをしっかりと運用できるように、引き続き神奈川県と連携してまいります。」
災害時に、自宅療養者が専用の避難所に避難することで、避難が必要な方々の速やかな地域防災拠点等の避難所への避難にもつながります。
被災した方々がためらうことなく避難でき、地域防災拠点運営委員の方々が安心して開設・運営できるよう、しっかりと取り組んでいただくことをお願いして、次の質問に移ります。