五大市政策研究会「中高年のひきこもり」について 4650
昨日、大阪市で第27回目の公明党5大市政策研究会が開催され参加しました。歴史的に5大市と呼ばれてきた神戸市、大阪市、京都市、名古屋市、横浜市の5つの政令指定都市の議会の代表が集い、設定されたテーマについて議論するもの。今回は「中高年の“ひきこもり”及び“ニート”対策について」をテーマに各都市が発表を行い、意見交換。その後、日本初のコミュニティソーシャルワーカー(CSW)で「8050」の名付け親でもある豊中市社会福祉協議会の勝部麗子福祉推進室長から同テーマによるご講演を頂きました。
各市の取り組み状況は様々。横浜を含め、まだまだこれからとの感が強いです。今春、国の調査結果が発表され、大きくクローズアップされた問題。横浜市では国に先駆け平成29年度に調査が始まりましたが、横浜市を含め各都市とも対応する部署・体制・窓口など緒に就いたばかり。窓口相談機能だけでなく、アウトリーチ個別マネジメント(ケアマネのようなもの)の実現、各行政区単位で動ける体制の検討など議論がありました。
相談も電話できる人・家を出れる人(行政が把握できる)と、電話できない・出れない人の対応(どこにいるか把握できない)はまったく異なる。後者のケースで事件が起きていることが多い。対策としての「受け皿」づくり、アウトリーチ強化。そもそも、多様な行政ニーズが高まる中、人材育成を含めひとつの自治体でやり切れるのか。どこの部署で対処するのか、部局連携をどう考えるか、コントロールタワーとなる部署にどこまで権限が与えられるか等々、課題山積。各都市での対策推進はもとより、国会の動きが重要になります。
都市間のディスカッションの後、先の参院選で再選を果たした、杉ひさたけ、山本かなえ両参議院議員からご挨拶。そして、「誰もがいつからでもやり直せる社会にできるよう各地で頑張ってもらいたい」との言葉で始まった勝部さんの講演。「1人を大事にする」と言葉にすることは簡単ですが、体をはって全力で取り組まれている姿が印象的でした。
1人も取りこぼさない・・・SOSを出せない人に届くようにする。排除から包摂へ・・・総論賛成各論賛成へ。支えられた人が支える人に。すべての人に居場所と役割を。これらを支えるための、断らない福祉、多機関協働。福祉が町おこし、社会的孤立への対応。これらを豊中市で具体的に取り組まれ、大きな改善が進んでいます。
「断らない福祉」により、行政窓口で見て見ぬふりがなくなってきた。見守りの体制を作り、制度のはざまに落ちる問題を落とさないような仕組みを作っている。安心して掘り起こせるようになっていく。「見守りローラー作戦」を実施。熱中症でなくなった父(80)を放置した娘(50)による年金査証事件をきっかけに住民ボランティアによる家庭訪問が行われている。豊中市では丸ごと・多機関協働、ひとりも取りこぼさないために「豊中ライフセーフティネット」を構築・運営。絵空事でなく、具体的に運用され、人が救われている機関。環境などは異なりますが 横浜にも必要なものと強く感じました。
この問題にかかわるきっかけ、原点は15年前のある家庭との出会いだった。8050問題は経済構造によって生まれた平成の遺産。ひきこもり支援の解決策はないが、会って支えていく中で、変わっていく。
勝部さんから課題が示されました。ひきこもり対策が39歳までになっていること。ひきこもりの原因は様々であるが自尊感情を戻していくためのつながりや場所が必要。障害や年齢不問の居場所が必要。障がい手帳がないといけない場所だけでは困る。ひきこもりだけを特化していくと新たな狭間が生まれる。相談方法の検討。早期発見が大事であり不登校、中台など教育との連携が必要。8050問題は社会的課題という社会への啓発・・・社会的孤立。全国的に相談場所が必要・・・権利としての社会参加の保障。生活困窮者自立支援事業の活用。アウトリーチできる職員をどう育成するか、全国に広げてほしい。
「まちがってもいいよ」と言ってくれる居場所があるといい。
勝部さんに質問。皆さんの活動を支え、ひきこもり対策が進んでいる豊中市。私の知る限りこれほど進んでいる行政はない。勝部さんにとって豊中市の何がいい思うか。自治体内での部局連携、手探り状態で着地点が見えないという側面もある。国と自治体は、豊中の経験を通して、何をしたらいいと考えるか。
(回答メモ)相談窓口あることを殆どの人が知らない。周知して欲しい。様々な相談者の多くは、一度は相談に行っている。そこで「あきらめる」経験をする場合がとても多い。多機関の連携ができるようにして、つながるようにしてほしい。ひきこもりは恥ずかしくないということ、100万人もいるということ、キャンペーンをはってほしい。「うつ病」はキャンペーンをはることで精神科につながる人が増えた。ひきこもりの人は居場所をうしなっただけ、取り戻せる。国でキャンペーンをやってほしい
アウトリーチの体制。保健師がやっていたが、医療に結びつけることになる。ひきこもりの人を病人扱いすることになる。就労や居場所へ相談に行く人を作ってほしい。保護費の増大は社会問題。この解消にもつながる。
豊中市の良かった点。就労体験する際に、中小企業、個人商店の人々が理解を示した。若者を職業体験させようと頑張った。商工と福祉がつながった。就労体験から始まるが、市と社協の連携がいい。市がNPOに丸投げすることがあるがこれでは難しい。生活困窮者支援は「町おこし」だとポジティブに考え、その人がよみがえることが街が光ることになる。
ソーシャルワーカーの給与のありようも考えていかないと、問題解決への底上げは難しいものがある。思いだけでは続かないということへの配慮が必要。行政マンの担当の人事異動がモチベーションを下げ、人がいなくなることがある。考えてほしい。
住民の中に協力してくれる人をどれだけ見つけることができるか。見つける「入口」、社会に出る「出口」をいかにつくるか。社会福祉協議会の生活困窮者支援担当の配置による体制強化(横浜市は配置済みだが、、、)。社協がどうしたら変わっていくか。断ってはダメだという窓口、社協をつくること。断って平気な社協があれば何も変わらない、救えない。断らない限り、解決策を見つけることになる。お金がかかる問題ばかりではない。
とても勉強になりました。今後に生かして参ります。
終了直後に参院選兵庫選挙区で初当選した高橋みつおさんが会場へ。まだ声がかれてました。これからの活躍を期待しています。