昨日は地元の会合、ごあいさつまわり、打ち合わせ。途中、青葉台駅前での街頭演説等。ご相談いただいたお話の中に横浜市の財政健全化に関するものがありました。国とは異なる横浜方式のプライマリーバランスや市債発行の考え方。今年3月の予算委員会でもこの点に触れて質疑を行いました。当局とのやり取りをご紹介します。
健全な財政運営の推進
次に、健全な財政運営について、これまでの経過を振り返りながら、いくつか伺ってまいります。
平成はじめの時代、バブル景気も重なり、本市においても横浜国際総合競技場の建設をはじめ、市民利用施設の整備などの数多くの投資を進めた結果、借入金の残高が年々増加した時期がありました。
そうした中で、財政の健全化を目指し、現行の一般会計が対応する借入金残高につながる考え方を、平成15年度策定の中期財政ビジョンで整理したと聞いています。
そこで、(1)中期財政ビジョン策定当時、平成15年の一般会計が対応する借入金残高はどのくらいあったのか、財政部長に伺います。
<答弁> 15年度末の一般会計が対応する借入金残高につきましては、3兆9617億円でございました。
当時、借入金残高は約4兆円にものぼり、この多額の借入金残高をとにかく縮減すべく取り組んできだわけですが、
そこで、(2)借入金残高の縮減に向けた、中期財政ビジョンにおける市債発行の考え方について、財政部長に伺います。
<答弁> 当時、平成16年度予算から平成18年度予算にかけまして、市税等で償還します市債の発行額を対前年度マイナス8%に抑制することによりまして、平成18年度までに横浜方式のプライマリーバランスを黒字化する、こういった目標を設定しまして、これを実現しました。
この時期から、本市においては、横浜方式のプライマリーバランスという考え方を採用しています。そこであらためて、
(3)横浜方式のプライマリーバランスとはどのようなものか、財政部長に伺います。
<答弁> 国のプライマリーバランスが元金償還額と利子の範囲内で国債を発行するのに比べ、横浜方式のプライマリーバランスは、元金償還額の範囲内で市債発行する考え方でございます。実質的な借入金残高を増やさないという指標でございます。
国のプライマリーバランスより一段厳しい指標であり、この横浜方式のプライマリーバランスを維持することで、実質的に借入金残高は増えないわけです。その意味では、財政の健全化を図るためには優れた指標であると言える訳ですが、厳しい財政状況の中で、横浜方式のプライマリーバランスや、一般会計が対応する残高の縮減を目標に掲げながら財政運営を行っていくのは相当な苦労があったと思います。
そこで、(4)この間の財政運営についてのお考えを財政局長に伺います。
<答弁> 道路、港湾を始めとする都市インフラの強化や、防災・減災対策、市民に身近な施設等の整備などに取組みながら、同時に、過度な負担を先送りしないように、着実に借入金残高を縮減していく予算、これを毎年編成していくことは、いかに大変だったのかということは、私も平成18年、平成19年に財政課に席をおいておりましたので、その大変さを身をもって実感をしているところでございます。
事業の選択と集中など、様々な工夫と努力を重ねてきたわけではございますが、議会の皆様の御理解があって進めることができたと考えております。
その後、平成26年6月に「横浜市将来にわたる責任ある財政運営の推進に関する条例」が制定されてからこの間、財政運営の基本的な考え方として、中期4か年計画の中で具体的な財政目標を掲げ、しっかりと対応することで、財政の健全性を維持してきたわけです。
そうした中で、現行の中期計画においては、この横浜方式のプライマリーバランスを4か年通期での均衡を目標とし、一般会計が対応する借入金残高について「管理」することとしています。
そこで、(5)借入金残高を「縮減」から「管理」とした考え方について財政局長に伺います。
<答弁> 私たちは今、人口減少・超少子高齢社会という非常に困難な時代に直面しております。
横浜の成長・発展のため「今だからこそ必要な投資」や、次の世代へつなげていくための「既存の公共施設の保全・更新」、これに取組むと同時に、投資と負担のバランスを考慮しながら、持続可能な財政運営を実現する必要がございます。
そこで、これまで借入金の縮減を図ってきた経験を活かしつつも、今後は、単に「縮減」ありきということではなく、実質公債費比率や将来負担比率をはじめ、様々な指標等によりまして、他都市との客観的な比較あるいは分析を行い、「本市財政のポジショニング」を議会・市民の皆様に積極的に公表をしていくことこういうことを通じまして、残高をコントロールしていく、しっかりマネジメントしていくとこういう考え方から「管理」としているところでございます。
借入金残高を管理していく中で、今後、残高がどのようになって行くのか、市民の皆様の関心も高いところです。市民目線に立ち、分かりやすく市民一人当たりの借入金残高を認識することも大切なことだと考えます。そこで、借入金残高の今後の見通しについてですが、
(6)平成29年度末の借入金残高と中期財政見通しでの平成39年度末の借入金残高の見込み、さらに、それぞれの市民一人当たりの借入金残高について、財政部長に伺います。
<答弁> 一般会計が対応する借入金残高につきましては、
29年度末が 3兆1549億円で、
39年度末は 3兆円程度 を見込んでおります。
また、市民一人あたりの借入金残高につきましては、
29年度末が 約85万円、
39年度末は 81万円程度 を見込んでいます。
平成15年度末には約4兆円あった借入金残高は、平成39年度末には約3兆円に縮減し、市民一人当たりで見ても借入金残高を減らしていくという目標感をもって財政運営を進められていることを理解しました。
一方で、着実に借入金残高を縮減しながらも、今後は市営住宅や学校の建替えをはじめ、社会インフラの老朽化という大きな社会課題にも対応していかなければなりません。
また、経済の活性化はもとより、有事や社会情勢の変化によっては、想定以上に市債発行を余儀なくされる場面もあろうかと思います。
そうした中で、適正な借入金残高がいくらか、ということは一概に示せるものではないと思いますが、先ほどもご答弁いただいたとおり、財政運営にあたっては、ただ借入金残高を縮減するのではなく、必要な投資はしっかりと行いつつ、中長期的に財政の健全性を維持することが、まさに基礎自治体である横浜市に求められる役割であると考えます。
そこで、(7)財政の健全性維持に対する副市長の決意をお伺いします。
<答弁> 戦後初めて人口減少に転じ、本格的な超高齢社会が更に進展すると、こういった、これまでに経験したことがない大きな社会経済状況の変化によりまして、今後、生産年齢人口はさらに減少する、個人市民税も2024年度からは、ゆるやかに減少すると見込まれておりまして、税収面においても厳しい時代を迎えます。
そうした中にあっても、限られた財源を有効に活用して、市民の皆様の安全、安心な生活を支えていく。そして、都市の成長・発展につなげて、市民サービスを確実に提供し続けるための財政基盤を維持強化していく、これが基礎自治体としての横浜市の重要な役割であると考えております。
中期4か年計画で定めた各施策を着実に進めていくとともに、将来世代に過度な負担を先送りしないんだと、そうした強い思いで、財政目標はしっかりと遵守をし、持続可能な財政運営に全力で取り組んでまいります。
財政運営は市政の根幹です。市民の皆様の安全安心な暮らしを支え、将来にわたり夢と希望を感じられる横浜となるよう、健全な財政運営を行っていただくことを要望して次の質問に移ります。