「LGBT尊厳の回復と政治の役割」について 4315
一昨日、先輩から電話がありました。「性同一性障害で悩んでいる方のための、LGBT専門の病院はあるのか」といういうもの。病院の記憶がなかったため、関係局に確認したところ、それ自体が病気ではないため、症状に対処した精神科やメンタルクリニックなどはあるが、専門病院というのはないとのこと。また、市でも県でも、人権関連局がNPOなどと連携して対応しているケースもあります。
昨日は公明党横浜市会議員団の勉強会として、北海道大学名誉教授で明治大学法学部教授の鈴木賢先生から「LGBT尊厳の回復と政治の役割」と題しご講演頂きました。下記はメモです。
政治はLGBTの問題についての「生きづらさ」を変えることができる。LGBT人口統計、調査方法の良し悪し。法律などには性的思考・同性愛という言葉は出てこず、存在を認めない日本。同性婚は先進国・民主国家では標準であるが、日本は途上国・権威主義チームにあの中にある。そこに2015年に渋谷区から同性カップルでも「結婚に相当」のパートナーシップ制度が始まった。全国に拡大中。横浜で始まれば全国を動かすスイッチが入ることになる。パートナーシップ制度の4類型。
<パートナーシップ制度の論点>
1.形式:条例or要綱 ⇒ どちらも法的効力は殆どないし、条例には時間がかかる
2.性別:同性or性別制限なし(札幌、福岡、大阪、千葉) ⇒ 戸籍上の性別だけに拘るべきでない(性別を何によって決めるのか、戸籍だけで決めることが合理的なのか、基準を変えた先日のお茶の水女子大の会見について)
3.公正証書の要否 ⇒ 異性間の婚姻に公正証書は不要 同居要件:有or無(札幌、大阪)⇒異性婚には同居要件なし 異性間の婚姻以上に時間や費用(公正証書の作成)などのハードルを高くするのはおかしい
4.養子縁組カップルの利用:可(福岡)or不明or不可 ⇒ 将来の同性婚立法時に影響の可能性あり、可とすべき
<自治体の同性パートナーシップ制度の普及が望まれる理由>
- 他の施策に比してインパクトが大きい ⇒ 事実婚としての公的証人への一歩
- 自治体のLGBT施策のシンボル ⇒ レインボーシティへの仲間入り、迫る2020年
- 当事者への励まし効果(脱スティグマ)、自殺防止 ⇒ 可視化の促進
- 国の立法への促進効果 ⇒ 同性婚承認への序章 台湾モデル
- 経済活性化効果 ⇒ ブライダル、旅行、住宅、観光など消費促進、多様人材活躍
<消極論への反論>
- 性の多様性を受け入れられないことも受け入れるべき ⇒ ヘイトスピーチを認めるのと同じ
- 混乱を招き、かえって差別を助長する ⇒ 制度が定着し慣れれば、問題があっても解消する
- なぜ制度ありきなのか ⇒ 議員や行政の仕事は制度を作ること。効果的施策を率先してやるのが賢明
- 制度を望まず、ひっそりと暮らしたいという当事者もいる ⇒ 婚姻性を使いたくない人もいるが、婚姻制度の意義は失われない
- 個別対応すれば十分で制度を作る必要はない ⇒ 行政として差別をしないという強いメッセージになる
外務省は外国人同性婚の外交官の同性パートナーにビザを発給している。国際的には通じないためだが、二枚舌ではないか。憲法問題、制度悪用論への反論等について等々。
最後に、2020年東京オリ・パラ開催を前にした日本において、同性パートナーの法的保護に政治的力を!国際社会で胸を張れる多様性あふれる日本へ!予算のかからない効果的な国の魅力向上策をとの主張。
そうした中、公明党への期待として、全国の自治体におけるパートナーシップ制度導入への支援や国レベルにおける法律制定の推進(性指向、性自認による差別禁止法:LGBT可視化 同性間でも婚姻を可能にする法改正:実態が先行する同性家族を置き去りにしない)についてお話を頂きました。
私からは、先日視察で伺った札幌市では、団体だけでなく、自治体もマスコミも応援する雰囲気の中で制度が作られていった経緯を確認したが、これから始める自治体で大事なことなどについて質問。
「当事者を守れるかどうか。当事者の声を守れるかどうか。昔からの人、最近の人、外国人も多い。当事者が緩やかな連合体をもってかかわっていくことが大事。当事者の姿が見えない限り、役所から見えない限り正当性はないと思っている」とのことでした。
引き続き、取組みを進めて参ります。