シルバー民主主義について 3951
昨朝は青葉台駅前で約2時間の街頭演説。昨日聞かれたので書いておきますが、駅に立つときは、仕事の都合によって、1時間半か、2時間のリズムでマイクを握ります。10年前から変わりません。昨日はその後、市民相談対応、行政打合せ等々。
長年お世話になっている方が、腕の病気で入院を繰り返し、近々施設に入所されることに。腕だけの問題ですが、自分一人では生活できる状況にならないため、そうした手続きに至ったわけですが、気にされているの認知症。「ピンピンしているのに施設のお世話になるとは。早く良くなって、出てくることが大事だと思う。楽だから、長くいると考えることが少なくなって認知症になりそうで気になる」とのこと。他方、その方が介護関連施設に出入りしていると、「大変だな」と感じる要介護者の方と、「使いすぎなんじゃない」「もったいないのでは」と感じる方もいるそうです。真に必要な方は使うべきだと思いますが、上がり続ける介護保険料、社会保障費を思うと、「無駄をなくすバランスが必要なんじゃないの」との指摘もうなずけます。
先日、日経新聞「エコノフォーカス」が「忖度しすぎ?シルバー民主主義」と題した記事を掲載していました。
「年金は少しでも多く、医療・介護や税の負担は少しでも小さく――。若者に比べて高齢者を優遇する「シルバー民主主義」政策が財政を悪化させてきた。お年寄りがこれからますます増えるなか、目先の痛みを強いる財政再建など、とても支持を得られない。だがこうした常識を覆す研究が出てきた。諦めるのはまだ早い。
お年寄りの政治への影響力は大きい。直近3回の衆議院選挙の平均投票率は20代が39%なのに対し、60代は75%だった。2025年には、有権者の6割が50歳以上になる。病院の窓口負担を増やしたり、年金の給付額を減らしたりするのは難しくなるというのが霞が関や永田町の常識だ。
政治家は投票所に足を運んでくれる人の意向を気にする。それなら選挙制度を変えるしかない。そこで親が子どもの分まで投票する「ドメイン投票」や、年齢が若いほど1票の価値を高める「余命投票」などが真剣に議論されてきた。
しかし、本当に単純な世代間対立で語れるのかと異議を唱える研究が最近、出てきた。
鶴光太郎慶大教授らが全国の6128人に税制と社会保障に関する考え方を聞いたところ「増税をして社会保障を拡大する必要がある」とした人が20代では29%で、60代では40%だった。高齢になるほど高くなる。高齢者はすでに社会保障の恩恵を受けており、実利の面から増税と社会保障充実の組み合わせを選んだ可能性がある。
一方、20代で最も支持を集めたのは「増税をせず社会保障を拡大する」というただ乗りで、35%を占めた。高齢者に比べてすぐに社会保障の恩恵を感じにくいため、増税への支持が少ないようだ。調査では政府やまわりの人への信頼が低く、ゴミのポイ捨てや年金の不正受給などに目をつぶる「公共心の低い人」ほどただ乗り政策を選ぶ傾向もあった。
財務総合政策研究所の広光俊昭氏は仮想の国の財政政策について、負担を30年後に先送りするか、現世代と将来世代が分かち合うかを10~70代の447人に聞いた。
先送りは、30年後に付加価値税(消費税に相当)が10%から25%に、年金給付が月10万円から5万円になる。分かち合いは付加価値税が20%、年金給付は7万円の状態がずっと続く。
30代は67%が、60代は54%が分かち合いを支持。「将来世代」役を1人置いて討議をすると、分かち合いを選ぶ割合はさらに高まった。広光氏は「政策選択には個人的な利害と公共的な判断が併存して働く」とみる。
「政治家が高齢者の意向を勝手に忖度(そんたく)しているだけ。きちんと説明すれば高齢者もある程度の負担増を受け入れる」。「シルバー民主主義」(中公新書)を書いた八代尚宏・昭和女子大学特命教授はいう。
ただ、お年寄りの理解を得ても財政再建のハードルは高い。莫大な国の借金が若者の不安につながっている。鶴氏は「若い人でも目先の利益を重視する傾向がある」と話す。教育年数が短く、時間あたりの所得水準が低い人ほど、小さな負担で大きな受益を求めがちという。世界的に所得格差の不満が高まるなか、新たな人気取りは財政再建をより難しくする。」
介護保険制度は、その中身が国で全国一律に決められているわけですが、冒頭の話を勘案しましても、より実態に近い的確な制度の運用ができるようなきめ細かさが必要かと思います。只、各地各様の現状か考えますと、やかり「全国一律」ということの難しがあるのかとも思います。