「陽春麺」と「かけそば」について 3849
昨日は午前中の作業を終えて、青葉台駅で「かけそば」を食べた後、東京都目黒区へ。夜は戻って会合で市政報告。
先日、日経新聞に、漢字学者の阿辻哲次氏が「上海「陽春麺」に釣られ」と題して寄稿されていました。
出張で上海にいた時、昼飯時に街を歩いていると、あるレストランの窓にメニューが張り出されていて、そこに「陽春麺」と書かれていた。おぉこれはいい名前の麺だ、きっと青春の活力を取り戻せるように具がいっぱい入った「五目ソバ」にちがいないと思って、さっそく店に入り、喜びいさんで注文したところ、運ばれてきたのは、なんとネギ以外になんの具も入っていない麺、つまり「かけソバ」だった。
ボリュームはあるし、スープの味もなかなか結構なものだったのだが、具がなにもないのはやはりさびしいものだ。そしてなにも入っていないのに、「陽春」という華やかできれいな名前がついているのがちょっと不思議だった。
いったいなぜそんな名前なのか、とお下げ髪のウエートレスにたずねると、彼女はちょっと困った顔をした。どうやらわからないらしく、彼女が台所に引っこむと、代わって哲学者を思わせる風貌をした店主が出てきて、「陽極まりて陰生ず」と書いたメモをだまってさしだした。中国ではソバにも陰陽の哲学が関係しているらしいと感動したものだが、それにしてもよくわからない名前だった。
どうにも不思議だったので、帰国してからあらためて辞典を引いてみると、次のような説明が載っていた。
中国では季節の推移を陽と陰の移り変わりで説明するのだが、上海のあたりでは陰暦十月の別名を「小陽春」という。太陽暦の十一月初めから半ばの時節で、そのころにはしばしば「小春日和」の日があるから、それで「小陽春」というらしい。そしてそこから「陽春」が民間で数字の十を表す隠語として使われるようになった。
具がなにも入っていない「かけそば」は、もちろん一番安い麺で、かつては一杯が十文だった。それで値段を隠語で表現して「陽春麺」というようになったとのことだった。
中国にはさらに「陽春教授」もいる。無能なるがゆえに役職をなにも与えられていない教授のことを、「かけそば」の比喩でそういうらしい。実に皮肉な言い方をするものだ。」
役職はいらないですが、無能であってはならないと思いつつ、またそばでも食べて東京へ行こうと思います。









