「子ども支援オフィス」について 3798
昨日は団視察のため福岡県庁を訪問。今回の視察は「子どもの支援」がテーマ。福祉労働部の方から説明頂き、質疑応答。
同県では、平成28年3月に策定した「福岡県子どもの貧困対策推進計画」に基づき、全庁挙げて、あらゆる施策を総動員し、市町村をはじめとする関係機関や団体等と密接に連携を図りながら、地域を挙げて、貧困の連鎖を断ち切るために取り組んでいるとのこと。101の事業を展開。
その取り組みのひとつとして、昨年6月から貧困状態にある子や保護者の相談に一元的に対応する「子ども支援オフィス」を県内4カ所(各事務所2名)に開設。スタッフは教員経験者。ワンストップ型。相談者への最適なサポート方法を盛り込んだ個別支援計画を作成し、貧困状態からの脱却を後押ししている。
関係機関との子ども支援調整会議を通じて、支援計画を共有、連携し、一人に寄り添いながら支援を実施。例えば、子どもの学力に問題がある場合は、子どもの学習支援事業につなぐ。学校の入学準備金がない場合、各種公的貸付制度につなぐ。相談世帯の情報を情報提供し、状況によっては一緒に各種窓口に行くということもしている。これを都心部、郡部もれなく県市で各地域をカバー。
支援終結後も、子どもが成人するまで、定期的に状況を確認し、いつでも相談に対応できる体制を整え、貧困の連鎖防止を図る取り組みをしていました。とにかく、行政側が待つのではなく、行政から声をかけるという点がポイントかと思います。
この事業は、「グリーンコープ生活協同組合ふくおか」に委託。32町村を4つのエリアに分け、それぞれの交通利便性を考慮し、4か所に窓口を設置。
こうした取り組みにおいて、国が示している標準のアセスメントシート(チェックシート)を使うことが多いが、生活困窮世帯向けになっている。ただ、子ども向けになっていないことから、子ども支援オフィスを立ちあげる際、福岡県は、子どもの日々の生活習慣等の項目を追加し、それにもとづき相談員がチェックしながら、必要な支援を行うということをしている。
質疑応答では多岐にわたるやりとり。メモです。
子どもたちの置かれている状況への「気づき」をどうするか。ひとりを支援する際に、各種支援機関の考え方がそれぞれある中、縦割りの弊害があるという話もありました。
伴走する、コーディネートするところがしっかりやらないと、「措置」で終わってしまう。生きる力をどうするか。横浜でも、理念や想像力はあるが、いかに具体に進めていくか。地域力をはぐくむ福祉をいかに作っていくか。同県においてそこまでの取り組みにはなっていない模様。
事業概要に「子ども支援オフィスではアウトリーチ(訪問支援)を積極的に活用している」との文言があるが、実際にアウトリーチの状況はどうなのか、質問。それはしていないとのこと。「何かあったら電話ください」ということになっている。困っている人を掘り起こすようなことをしていない。各地で何かあったら役場に来る。
人員、体制の状況から難しいこともあるかと思うが、どれだけの子どもたちが救われてきたか。事業効果に測定についても質問。現在、分析中とのこと。知事からも強く言われている。各種給付や保険料の減免等、知らない人が多く、その対応をして改善したことについてまとめているところ。実態をあぶりだして、今後に生かしていこうとしている。
貧困対策はすそ野が広い。総合窓口を行ってきたが、総合と言いながら窓口は分かれている。しかし、貧困はあらゆる人に共通するもの。幅広な窓口になっていると感じている。
子どもをペットのような扱いをするなど、びっくりするような親もいる。どうしていくのか。行政としてどこまでできるのか。悩みは深い。
何でもかんでも、すべて行政でするということはできないわけですが、どこまでやるかという、ある程度の線引きをして、わかりやすく示していくことは必要なんだろうと思います。
人や機能などの地域差のある中、行政としての役割のあり方、評価の基準等々、横浜、佐賀、福岡、「どこまでやるか」の違いも感じた視察でした。