昨日、決算特別委員会のこども青少年局関連の質問に立ちました。その内容についてご報告です。
(質問項目)
1 子ども・子育て支援新制度における幼稚園の支援
2 放課後キッズクラブにおける人材の育成
3 地域療育センターの学齢児支援
4 寄り添い型学習支援事業
5 児童養護施設等を退所した児童に対するアフターケア事業
6 青少年支援の拡大
(質問内容) ※答弁別途
1 子ども・子育て支援新制度における幼稚園の支援
はじめに、子ども・子育て支援新制度における幼稚園の支援について、伺います。
市内には、281園の幼稚園と認定こども園があり、横浜市に住む4~5歳児の約6割にあたる、およそ3万9千人の子どもたちが通っています。幼児期における教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、子ども達にとってより良い教育環境を提供することは、私たち大人の大切な努めであると考えています。
そのため、我が党としては、すべての子どもたちが高い幼児教育を受けられるように、これまで幼稚園就園奨励補助金の充実、幼児教育の無償化に力を入れて取り組んできたところです。
そうした中、本年4月には、子ども・子育て支援新制度がスタートし、本市ではおよそ2割の幼稚園が新制度に移行しました。新たな制度への移行には、不安もあったことと思います。
移行した幼稚園からは、「給付費が減るのではないか心配したが安心した。」という声がある一方で、「給付を受けるための事務処理が膨大かつ煩雑になった。」との声が多く聞かれます。
そこで、まず、(1)幼稚園における給付事務の変更点と、負担軽減策について、局長に伺います。
制度変更当初ということもあり、園も市も慣れない事務で大変なこともあったかと思います。制度が始まって半年が過ぎました。
そこで、(2)新制度施行から半年が経過した現在の給付事務の状況について、子育て支援部長に伺います。
今現在、新制度への移行を検討している幼稚園があると思います。
そうした園が、先に移行した園を見て「事務が大変そう」という理由で、新制度への移行をためらうようになっては本末転倒です。
そこで、(3)事務負担をさらに軽減すべきと考えますが、局長の見解を伺います。
幼稚園が安心して新制度に移行していただけるよう、適切な支援をお願いして、次の質問へ移ります。
2 放課後キッズクラブにおける人材の育成
次に、放課後キッズクラブについて、伺います。
子ども・子育て支援新制度が施行され、全ての小学校に放課後キッズクラブを開設していくことになっていますが、新制度においては、量の拡充だけでなく、質の向上も重要です。
新制度では、新たに、「放課後児童支援員」という資格ができたと聞いていますが、まず、確認のために、(1)放課後児童支援員制度創設の意義について、局長に伺います。
新制度施行により、従事する者の資格や面積要件等、設備及び運営の基準が作られたことは、放課後児童健全育成事業の質の向上の第一歩として評価できます。しかし、基準ができたからと安心してはいけないと思います。
放課後キッズクラブは、その前身が、はまっ子ふれあいスクールであることから、スタッフを始め、多くの地域の方々にご協力いただいていることが特色であろうと思います。地域の方々がスタッフであれば、子どもたちと地域の方々との面識ができ、防犯上も大人から子どもたちに声をかけやすくなります。子どもたちの方でも、何か悩み事があったとき、親や先生とはまた違った大人に、相談することもできると思います。
スタッフに対しては、市としても、応急処置法や災害時対応、遊びの技術など、一定の研修を実施していると聞いています。このたび、放課後児童支援員制度が出来たことに伴い、児童健全育成の専門知識、例えば、児童の権利擁護や法令順守、子どもの発達の特徴や発達過程、保護者との関係づくり、障害理解、健康管理などの知識についても、学ぶ機会があると、なおよいと思います。また、「遊び」についても、楽しく過ごすだけでなく、発達との関わりを踏まえる必要があります。
放課後キッズクラブの運営法人には、幼稚園や保育園を運営しているところがあり、児童に関する知識や経験の重要性を考えて、放課後児童支援員の資格ができる前から、幼稚園教諭や保育士の資格を持つ専門職を放課後キッズクラブに配置し、培われたノウハウを運営に活かしているところもあります。このように、各法人は、人材の確保や育成について、その特色を生かし、様々な努力をしています。しかし、新制度は始まったばかり、放課後キッズクラブは急ピッチで増えていく、という現段階においては、クラブによって、人材の専門性や経験がまちまちなのではないかと危惧しますが、
そこで、(2)放課後キッズクラブにおける、さらなる人材の育成について、どのように取り組んでいくのか、局長に伺います。
どんなに制度を整え、施設の数を増やしていっても、結局、人を育てるのは人です。急増する放課後キッズクラブの全体のレベルを底上げする努力をしていただくことを要望して、次の質問に移ります。
3 地域療育センターの学齢児支援
次に、地域療育センターについて、伺います。
地域療育センターは、昭和60年に制度が始まった当初、未就学児を対象にしていましたが、その後、ニーズの高まりから、小学校年齢まで診療や相談に対応するようになり、現在では、学校支援事業として小学校に対する支援をさらに厚くしていると聞いています。
そこで、まず、(1)地域療育センターの実施する学校支援事業の内容について、こども福祉保健部長に伺います。
お子さんが地域療育センターに直接通って療育を受けられるのは、小学校入学前までであり、利用している保護者の中には、小学校に入学すると今まで受けられていた支援が途切れてしまうのでは、と心配する声も聞かれます。そうした中、地域療育センターから小学校に対して行われる支援については、保護者からの期待も大きいのではないかと考えますが、
そこで、(2)平成26年度における学校支援事業の実績について、こども福祉保健部長に伺います。
学校支援事業は学校という組織に対する支援であることがわかりましたが、一方で、個別的な支援が必要な場合にも、さまざま課題があるものと感じています。例えば、発達障害が疑われるものの、地域療育センターなどの専門支援機関にはつながっておらず、小学校入学後に、学級生活になじめないなど、問題が起きて新たに特別な支援が必要となった児童の対応については、支援機関につなげるのに時間を要し、さらなる問題を招いてしまうこともあるようです。
そこで、(3)「小学校入学後に個別的な支援が必要となった学齢児童に対しても、より丁寧な支援を行っていくべき」と考えますが、局長の見解を伺います。
学校においても特別支援教育コーディネーターを配置するなど、障害のある児童に対する取組みは進んでいると感じているものの、まだ工夫の余地があるのではないかと思います。
そこで、(4)「福祉と教育が連携し、それぞれの専門性をさらに活かして、子どもたちを支援していくことが重要」と考えますが、副市長の見解を伺います。
福祉、教育がそれぞれの立場から、きめ細やかな支援が行われるよう要望して、次の質問に移ります。
4 寄り添い型学習支援事業
次に、寄り添い型学習等支援事業について、伺います。
本市においては、貧困あるいは養育環境に課題がある家庭に育ち、学習環境に恵まれない子ども達が、生まれた環境に左右されることなく、将来の進路選択を幅を広げることができるよう、寄り添い型学習等支援事業を実施しています。この事業は、高校に進む学力・意欲を付けさせ、将来自分の夢を実現する力を持たせることを目的とした「学習型」を健康福祉局が所管し、基本的な生活習慣なども身に付けさせる支援を加えた「生活・学習型」をこども青少年局が所管しており、これらのメニューを区役所が選択して現在の全区展開に至りました。
そこで、まず、(1)こども青少年局が実施している生活・学習支援型の開設時間・スタッフ数、実施場所はどのようなものか、青少年部長に伺います。
生活・学習型のスタッフの熱意と御尽力により、小・中学生には、挨拶ができるようになった、みんなで協力して掃除・片づけができるようになったといった変化や、時間のリズムが作れるようになった、手洗い、うがいの習慣がついた、という変化が出てきていると聞いています。なかには、複雑な家庭環境を抱えて、家庭や学校には居場所がない小中学生が通っていると思いますが、
そこで、(2)生活・学習型ならではの支援とは、どのようなものか青少年部長に伺います。
本来であれば、家庭で身につけられる基本的な生活習慣であっても、家庭が機能していなければ、誰か他の方の力を借りなければなりません。この事業は、子どもたちが生きる力を身に付けるための教室であり、温かい大人とのふれあいの場、社会性を身に付ける場であるとも思います。
この事業は、国の生活困窮者自立支援制度のメニューとして、国の補助金が1/2入っているとの事ですが、昨年度に比べると、国費が大幅に減額されています。また、財政負担が大きいとの理由から、一か所あたりの事業費も削減されているとの事です。しかし、この事業を充実させていくことは、子どもたちが自立した大人へと成長するために必要な人材への投資だと考えています。
そこで、(3)今後、さらに事業を拡充すべきと考えるがどうか、局長に伺います。
人生のスタート・ラインに立つ子ども達が、重いハンディを負わされることのないよう「貧困の連鎖」を断ち切る、それが私達大人の、社会の責務であると思います。今後も積極的に事業を展開してもらいたいと考えます。
5 児童養護施設等を退所した児童に対するアフターケア事業
次に、児童養護施設等を退所した児童に対するアフターケア事業について、伺います。
本市がこのアフターケア事業に取り組み始めてから、ほぼ3年が経過したと聞いています。他都市と比較しても早くから取り組みを始めているようですし、その内容もかなり充実したものになっていると感じています。
そこで、まず、(1)横浜市が、アフターケア事業に取り組むこととなった経緯について、局長に伺います。
本市のアフターケア事業では、「居場所事業」、「資格等取得支援事業」といった取組を中心に、同様の事業に取り組んできた経験のあるNPO法人に委託して実施しています。
そこで、(2)事業者となるNPO法人をどのように選定したのか、こども福祉保健部長に伺います。
市が、民間活力を最大限に活かそうとすることは、市民の発想を取り込んで多角的な視点から検討できる大変重要なことと考えます。このアフターケア事業も、NPO法人と組んで行うことで、行政だけではなかなか思いつかないような取組も行ってきているのではないかと思います。その中でも、就労等に有利となる資格取得や進学を支援することは重要なことだと思います。
そこで、(3)資格等取得支援事業の内容と実績について、こども福祉保健部長に伺います。
施設からは毎年多くの子が巣立ち、さまざまな課題を抱えてつらい思いをしながら、毎日をかろうじて生活している子も少なくないと思います。一つの課題を解消しても、また次々と新たな課題が出てくるということもあると思います。
そこで、(4)これまでアフターケアの取組を進めてきた中で、課題と認識していることは何か、局長に伺います。
今の時代、一般家庭の子であっても独り立ちは難しいことがあります。まして、頼る親族もない若者には、つらいものがあります。手を差し伸べ、チャンスを与えることが大事です。
そこで、(5)今後のアフターケアの展開についてどのように考えているか、局長に伺います。
民間等をパートナーとし、行政と民間の双方の視点から最良の手法を検討したこの事業の進め方は、官民連携のひとつの成功例だと思います。
そこで、(6)本市におけるさまざまな施策・事業に、民間の力を活用していくべきと考えますが、副市長の見解を伺います。
さらに進めて頂きたいと思います。
6 青少年支援の拡大
次に青少年支援の拡大について、伺います。
こども青少年局が所管する青少年への支援機関として、青少年相談センターがあります。昭和38年に設置され、ひきこもりなど子どもや若者が抱えるさまざまな悩みや問題の相談を本人や家族から受け付け、体験プログラムなどにより自立支援を行ってきています。昨年度の相談支援件数は、約2万件弱で、増加傾向にあると聞いています。
そこで、まず、(1)青少年相談センターにおける26年度の相談内容の特徴について、青少年部長に伺います。
センターなどのような支援機関は、ひきこもり状態にあったり、悩みを抱える青少年と機関がつながらないと意味がありません。ところが、平成24年度の市が実施した調査によりますと、センターを知っていると答えたのは、たったの17.5%でした。これはまだまだ知られていないと言っていいと思います。また、さまざまな市民生活を支える区役所などの他機関からのセンターへの紹介などがきちんと行われることも必要です。そのためには、市の職員などにセンターの役割や機能について、十分理解していただいた上で、支援が必要な方を確実にセンターにつないでいくことが大切です。
そこで、(2)相談センターの市民向け広報や、相談を区役所などの関係機関から相談センターにつなげる工夫について、局長に伺います。
区役所など関係機関からセンターにつなげる工夫はしているようですが、できることはまだまだあると思います。引き続き、さらに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
ところで、支援は、必要とする方々にきちんと届かないと意味がありません。その中で、相談をするためにセンターに連絡をくれる方々はいいのですが、連絡を自らとりにくい方やセンターに来られない状態にある方にこそ、支援を行き届ける必要があると思います。そうしたときに、訪問支援、いわゆるアウトリーチの重要性が高まってきます。
そこで、(3)相談センターにおけるアウトリーチの取組状況について、青少年部長に伺います。
青少年支援におけるアウトリーチは、知識や技術、粘り強さも必要であり、支援機関にとって負担は高いと思います。しかし、実際にご家庭を訪問するからこそ、その方の置かれている状況がより理解できるのではないでしょうか。
そこで、(4)相談センターにおけるアウトリーチから見えてきた課題は何か、局長に伺います。
子どもや若者達が抱える悩みや問題が大きくなってからでは、その回復に当事者にも行政にも大きな負担がかかることは容易に推測されます。このことからも、早期に支援対象者を発見し、早期に支援につないでいくということが青少年支援においても、求められており、支援を行き届ける枠組みを広げていく必要があります。
センターは、横浜市の設置する支援機関として、一定の役割を果たしていることは理解できます。しかし、この大都市・横浜に1か所しか設置されておらず、多くの横浜市民にとっては遠い存在であるように思います。一方で、市内18か所の区役所は、市民にとっても身近で、頼りにしている行政機関であり、地域福祉に係るさまざまな情報も集まってくるところです。しかし、現在、区役所における若者自立支援の窓口が明確にされていない状況です。
区役所が、支援につながる情報の端緒を自ら把握し、又は、市民から受け付け、相談センター等との連携を日常的に一層密にし、しくみを明確にすることができれば、支援の枠組みが広がっていくことが期待できるのではないかと思います。また、昨年度の「若者の社会的孤立に係る支援施策」をテーマとした、孤立を防ぐ地域づくり特別委員会の報告書において、「若者の相談業務における区役所の位置づけの明確化」なども、すでに提言されているところです。
そこで、(5)困難を抱える若者への支援の枠組みが広がるよう、市民に身近な区役所での相談窓口を明確にするなど、相談センターなどと区役所との連携を推進するための具体的な検討を進めるべきと考えますが、副市長の見解を伺います。
支援は、「必要なとき」に「必要な支援」を当事者が受けられることが、問題の深刻化を防ぐうえで大切だと考えます。相談は待つ姿勢ではなく、声なき声に耳を傾ける、家族を含め当事者へ相談を積極的に受けに行こうとする姿勢が大切だと思います。支援にあたっては、このことにも留意していただきたいことを申し添えまして、私の質問を終わります。