昨日は地元の会合や通夜など。朝の車での移動中、NHKラジオの日曜討論を聞きました。安保法制の議論でしたが、国家間の問題だけでなく、無国籍の集団などが軍事力を持ったり、年金問題もそうですがサイバー空間で攻撃があるなど、丸腰で平和を訴えることが困難で複雑な国際社会において、国民の生命・財産を守るためには、友好関係拡大に向けての外交を柱としながら、状況に応じた抑止力の整備は重要なものだと思います。こうしたことを思いつつ、何もしなければ今だけは楽なのかもしれないとか、島国と大陸にある国との違い、憲法学者と国際政治学者の役割の違いなどを改めて感じました。
昨日の議論。各党の主張が少し整理されていたようにも感じました。
とにかく一部マスコミと同じく核心的な論点を外しながら各論で「わかりにくい」「わからない」を繰り返す方。
これまで長年にわたり自衛隊を「違憲」としながら、世論に受け入れられないと考えたのか、最近は否定しなくなったと思えば、今回は憲法違反とする方。
中身を直視せず、他国防衛と自国防衛の区別をつけず、「集団的自衛権の行使」と主張する方。
いずれも反対ありきの主張ですが、一方、すでに政府案や内閣法制局長の答弁で憲法の枠内とは何かが明確になっている現状ではありますが、「憲法の枠内ギリギリ、自衛権の枠内ギリギリの独自案」を出すとされる方もありました。今後、議論できるのかも知れません。
今回の安保法制における集団的自衛権の行使とは何かについてのやり取りにかかったところで、司会者が「議論の核心の部分ですね」との主旨の発言がありました。その通りだと思います。日本の置かれた現状をどう考えるかの出発点も含め、核心の論点を外さないように、国民の前でしっかりと話し合い、各党の主張をわかりやすく国民に明示することが求められていると思います。
ところで、今日は日韓国交正常化50周年の日。私は韓国料理がとても好きですし、友人も少なからずいます。国家間の関係が冷え込んでも、人と人のつながりが一緒に冷え込むわけではありません。環境が変わったからといって、こちらも相手も変わらないからです。政治の世界では、ここ20年を振り返っても、環境の変化で主張や立場をコロコロ変える政党や政治家もいます。そいうのはよく見極めなくてはなりません。政治には常に監視が必要です。いずれにせよ、様々な主張や報道がありますが、日本も韓国も、国民的な大きな流れは「仲良くしていこう」ということではないかと思います。
50周年に寄せる各紙の論調は様々ですが、個人的には、昨日の日本経済新聞の社説が、現実を直視したバランスの取れた内容だなと感じました。
「日本と韓国両政府が国交を正常化する基本条約に署名してから、(あすで)ちょうど50年となる。
節目の年にもかかわらず、両国関係は歴史問題のあつれきから大きく冷え込み、安倍晋三首相と朴槿恵(パク・クネ)大統領による2国間会談は一度も実現していない。政治的にきしんだ関係を打開し、未来を見据えた長期的な協力関係を築いていく必要がある。
1965年の国交正常化から50年間で、日韓の貿易額はおよそ430倍、人的交流は年間1万人から昨年は504万人に達した。
首脳会談を早期に
50年の歳月を振り返れば、日韓関係は緊密になり、相互依存を強めた。サッカーのワールドカップ(W杯)共催や韓国での日本大衆文化の開放、日本での韓流ブームは互いの国民感情を近づけた。
一方で歴史問題の確執は解消されず、関係を揺るがしてきた。従来は政治のパイプや政権交代を利用して何とか復元してきたが、昨今のきしみは深刻だ。社会には「嫌韓」「反日」の風潮も広がる。
2012年、李明博(イ・ミョンバク)大統領の竹島(韓国名は独島)上陸から始まった負の流れは、朴政権の発足後に加速した。大統領は当初から従軍慰安婦問題で「誠意ある対応」を日本側に求め、首脳会談に応じる事実上の条件とした。かたくなともいえる対日強硬姿勢が、関係をさらに冷え込ませたことは否定できない。
韓国はまた、コラムが大統領の名誉を毀損したとして産経新聞の前ソウル支局長を在宅起訴したり、「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録で一部施設の登録に条件をつけたりもしている。
半面、日本側の歴史修正主義とも受け取られかねない姿勢が韓国を刺激したのも事実だ。安倍首相の靖国神社参拝や慰安婦問題に関する「河野談話」の検証などに対し、韓国は激しく反発した。
15年版の外交青書では、韓国について「自由、民主主義、基本的人権などの基本的な価値」を共有しているとの表現を削除した。韓国の知日派学者は「国内の反日勢力を説得する理屈がなくなった」と嘆く。配慮を欠いた外交戦が関係悪化を決定づけたともいえる。
ここにきて慰安婦問題では、昨春から続く外務省局長協議が大詰めを迎えているとみられ、朴大統領は「相当な進展があった」と評価した。ぜひとも早期の首脳会談実現につなげてもらいたい。
日韓間では最近、財務、防衛相会談なども開かれ、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相も初来日する。韓国政府が歴史問題は原則を貫きつつ、安全保障や経済など他の分野では積極的に協力する戦略に転じた効果もあるのだろう。
ただこの戦略は「歴史」では譲歩しないということだ。仮に慰安婦問題が決着しても、韓国では戦時中に日本に強制徴用された韓国人への損害賠償を求める訴訟などが相次いでいる。植民地支配という過去を抱えた日韓の間では、歴史問題の対立の根はなお深い。
ではどうすればいいのか。日韓で協力できる分野や幅を広げ、結果的に「歴史」の比重を下げていくことではないだろうか。
経済構造が似通う日韓は、技術開発やエネルギー・資材の共同調達、第三国でのビジネスなど経済で協力できる分野は多い。
<「歴史」の比重小さく>
にもかかわらず両国間の自由貿易協定(FTA)交渉は04年から本交渉がストップしたままだ。継続中の日中韓のFTA交渉などとともに推進していきたい。
FTA戦略で先行する韓国は環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟も視野に入れている。アジアに自由で開かれた通商ルールを構築するうえでも、互いに手を携える余地は十分あるはずだ。
安保分野の連携も欠かせない。中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイルの脅威など、北東アジア情勢は不安定さを増す。ともに米国の同盟国として緊密に協調することは地域の安定にも寄与する。
もちろん、歴史問題の摩擦を極力控える努力も必要だ。韓国外務省の趙太庸(チョ・テヨン)第1次官は「日本政府がこれまで表明してきた歴史認識を覆す試みや反対する言動を慎んでほしいというのが我々の立場。新たな要求をしているわけではない」と語る。
「誠信之交隣」。互いに欺かず、争わず、真実をもって交わる。江戸時代の儒学者で朝鮮との交流に携わった対馬藩の外交官、雨森芳洲の言葉だ。こうした外交精神を引き継ぎつつ、協力の芽を一つ一つ育み、「歴史」の葛藤で大きく揺らぐことのない強固な善隣関係を築いていきたい。」
6月12日、山口代表は、日本外国特派員協会で記者会見し「日韓国交正常化50周年にあたり、首相は戦争について謝罪すべきか」との質問に対し、先の大戦をめぐる歴代首相の発言などについて「第二次大戦までの日本の振る舞いを深く反省した上で、戦後の平和主義を強く進めていきたいという一貫した考えが取られている」と述べています。
今生きている人間の役目は、未来のために、今の時代にできることを、具体的に残していくことが大事ではないかと思います。
「何を言ったかでなく、何をやったか!」だと思います。