プロ野球選手の成功ラインについて 2946
プロ野球の契約更改が行われています。勝負の世界の総括に、天地雲泥の差を見る思いです。先日、日経新聞のスポーツ欄「スポーツ探Q」のコーナーに「プロ野球選手、成功ライン」と題した記事が掲載されていました。興味深く読ませて頂きました。
「10月に行われたプロ野球のドラフト会議。複数球団で指名が競合した日本ハムの有原航平(早大)、楽天の安楽智大(愛媛・済美高)らスター候補生を含む総勢104人(育成契約含む)の入団発表が相次ぐ。彼らはそろってプロでの成功を夢見るが、プロ野球人生の成功ラインとはいかなるものか。50年にわたるドラフトのデータを読み解くと、投手は「通算28勝」という数字が浮かび上がってくる。
プロ野球選手の“寿命”は平均4.5年――。近畿大産業理工学部の黒田次郎准教授(スポーツマネジメント)が、2004~13年の入団選手(育成含む)の平均在籍年数を調べた結果だ。
黒田准教授は、ドラフト会議が創設された1965年以降、プロ入りした選手の成績を集計・分析している。65~03年での選手寿命は8.25年だった。ここ10年で球団が選手に見切りをつけるスピードがどんどん早まっている。選手の成長を我慢強く待つ育成重視の球団は一部に限られ、「早く結果を出したい球団フロント陣は、外国人やフリーエージェント(FA)制度に即戦力を依存している」。プロで生き残るにはまず、入団後3~5年内で一定の成績を上げておく必要がある。
データは厳しい現実を浮き彫りにする。ドラフト6位以下の指名選手の4割以上は1軍の試合に出場できずに球界を去っている。育成選手は06年の制度開始から昨年までプロ入りした計275人のうち、1軍の試合に出場できる支配下登録選手になれたのが87人と約3割にとどまる。山口鉄也(巨人)や岡田幸文(ロッテ)の目覚ましい活躍は、例外中の例外だ。
1軍に定着したあとも道のりは険しい。黒田准教授は通算成績でプロ野球選手を統計学的に4段階に分類、そのうち上位25%の層の成績をはじき出すと、投手は「28勝以上」、野手は「427安打以上」になったという。黒田准教授は「通算28勝と聞くと、少しやれば達成できそうに思えるが、実際はすごく難しい。成績上位25%に入っている選手は、プロとして成功者といえると思う」と語る。
10年前の04年ドラフト組82選手でみると、今季までにこの成功ラインをクリアしたのは、オリックスの金子千尋(90勝)、巨人の亀井善行(535安打)、中日の雄太(28勝)ら14人。全体の17%だ。
もっとも、投手は先発、中継ぎ、抑えの役割によって評価の指標は異なり、勝利数や野手の安打数だけですべてを言い尽くせない。日米で安打記録を相次ぎ樹立したイチローが4位指名、通算349本塁打を放った掛布雅之(阪神)が6位指名だった例を挙げるまでもなく、データを覆すスター誕生のドラマもドラフトの妙味のひとつ。
札幌市時計台で同期の仲間とともに日本ハムの入団発表にのぞんだ有原は「評価していただいた恩返しのためにも、1軍で活躍したい」と抱負を述べた。金の卵の契約金は1億円プラス出来高払い5千万円、年俸1500万円(金額は推定)。データによると、ドラフト1位指名の投手が28勝以上できる確率は39%。これが高いか安いか、まずは5年以内にその数字に到達できるかどうかが、目安の一つとなりそうだ。」
また、黒田准教授は、1位は投手が7割で新興校からの指名が増えていることも指摘していました。
「最近のドラフトの傾向について、黒田准教授は「名門や古豪ではなく、新興勢力といえる学校からの指名が増えている」と指摘する。
侍ジャパンに選出された中京学院大出身の菊池涼介(広島)が代表例。広島は今回のドラフトでも中部学院大の野間峻祥を1位指名した。鹿児島の第一工業大や岩手の富士大からは2年連続ドラフト指名選手が出ている。一貫しているのは投手重視の指名。昨年までのポジション別の1位指名の割合は、投手が73%を占める。
即戦力と期待される社会人や大学生と比べ、育成期間を要する高校の指名選手が活躍する確率は低くなる。出身校でみると「打者は名門校出身の方が間違いなく活躍している」(黒田准教授)。また、左打者対策の変則左腕投手といった一芸に秀でた選手は、プロ在籍年数が長くなる傾向にあるという。その代表格が鈴木尚広(巨人)。代走での起用が多い走塁のスペシャリストは、来季でプロ19年目を迎える。」
そもそも報酬が需給で決まるというのは一般的な話であり、 額面には大きな数字が並ぶプロの世界。一方、現役時代の短さを考慮しますと難しいところもあるかと思います。
来年は私の大学の後輩の3人がプロの世界に挑戦します。ゼミの後輩、日ハムにいた小谷野栄一選手はオリックスに移籍。活躍を期待しています。