常任委員会視察について(3) 2522
昨日は視察最終日。大阪府豊中市「くらし再建パーソナルサポートセンター」に伺いました。
厚生労働省は、新たな生活困窮者支援制度の構築に当たり、生活困窮者に対し生活保護受給に至る前の段階で早期に支援を行うとともに、その支援については必要に応じて生活保護受給者も活用できるようにすることで困窮状態からの早期脱却を図る制度となる事を目指しています。今国会でも議論されている内容でもあります。
一方、地方自治体として眼前の課題をどう解決するか。引きこもり等の若者支援、障害者の支援などを含め、生活困窮等の困難を抱えた方を早期に発見し、それぞれがめざす暮らしの再建、生活の再生を早期に支援する事業。生活保護制度とは異なる取組み。横浜市でも中区で生活困難者自立促進支援モデル事業として取り組みを始めていますが、その前からより広く市民を支える仕組みを進めてこられた豊中市の「くらし再建パーソナルサポート事業」について伺いました。
役所の窓口に来る方は困難度の高い方が多い。そうなる前に、失業状態であるとか、生活困窮の一歩手前にいる方をいかに把握するか。対象者を「就労困難者」と定義し、ハローワークを利用しても自力では就職できない人であり何らかの支援が必要な人。2002年に大阪府が「地域就労支援をしよう」と主導し、府内各地に就労支援センターをつくるようになった。ハローワークのサポート対象から漏れてしまった方々を救えるようになった。
各地に似たような機関はありますが、市民お声を受け、需給調整機関として具体に動き、結果に結びつけてきたのが大阪の強みではないかと思います。最近では、いつまでたっても国の雇用労働部門が手放さなかった就労支援が、基礎自治体の機能としてようやく入ってきたという感じとのこと。確かにその通りです。真実は現場にあり、遠い所で机上の議論を重ねても目の前の人をサポートすることは困難です。内容にもよりますが、身近な課題解決についてはどんどん基礎自治体に権限財源を落としていくべきだと思います。
支援メニュー。いくらの予算でどれだけ救うかといった枠は決まっていても、再建するためのメニューは決まっていない。国は言葉では「やります」と発信しているが、具体には動いていない。メニューもない。ハローワークでもそうしたことはない。
ハローワークは就労実現の件数を増やそうとする。福祉事務所は自立させようとする。ここの狭間をどう埋めるか。企業のために質の高い雇用をいかにつくるか。生活困窮者のために質のいい雇用をいかにつくるか。こうしたことを考慮し、いかにしてマッチングできるメニュー、取組みを整備するか。
メニューがないのなら独自に進めればいい。同センターでは、個々人の体力、意欲、生活習慣ごとに詳細な支援メニューを準備し、生保受給者、生活困窮者のそれぞれの状況に合わせて生活再建を推進。結果として、社会の基盤を支え、強固にされている実態を確認しました。
運営は豊中市パーソナル・サポート運営協議会(市、市社協、商工会議所等が会員)が実施。これは福祉事務所主催のものとは異なります。従来の支援では、ハローワークと企業の関係から就労支援はあっても「定着支援」まではできなかった。そこでセンターとして職業紹介所の許可を取り、職を提供するだけでなく、就労以降もっとも問題となる定着支援に尽力し、的確に定着できるようにすることに主眼を置いている。手間暇のかかる支援、フォローアップだが、それ自体が大事なことだと思っているとのこと。
まとめると、豊中版パーソナル・サポート事業の特徴は・制度横断的なサポートをコーディネート・一人ひとりに合った豊富な「出口」の開発と創造・就労まで距離がある人たちを応援する団体・事業所・人材の誕生と成長をサポート。
私からは、現在、国が生活困窮者自立支援モデル事業を推進(横浜市では中区でモデル事業実施)していますが、平成27年からは同自立支援法が施行される予定。先行着手してきた同センターとして、同法施行のタイミングで何をどのようにするつもりかを質問。
次のステップ。やることは変わらないだろうが、支援の部隊を役所のどこの部門でもつかをしっかり決めていく必要がある。また、今まだ不安定な財源のありようをどうするか。きっちりした裏付けを確立する必要があると考えるとのことでした。
早期に着手し、多角的な豊中市の取り組み。同市では労働部門、福祉部門が縦割りを排して連携し結果に結びつけている現実を伺いました。学ぶべきところが多々あると思います。
ところで、頂いた資料の中で議会構成資料がありました。豊中市議会では公明党が第一党の最大会派。すごいですね。