勤務医不足と対話の力について 1326 9/30
先日、市内のあるご婦人からお話を伺いました。ご主人が大学病院ので勤務する勤務医とのこと。その苛酷さを語っておられました。またこちらは勤務の半分を他県の病院への応援に費やされているとのことで、ご本人のみならずご家族の大変さが伝わってきました。奥様にとってはご主人の体調を気遣われるとともに、良かれと思ってやったことが裁判沙汰になることへの精神的プレッシャーについても心配されていました。
医師と患者、先生と生徒、警察と市民等々、本来求められる関係がかなり崩れています。原因はケースによって異なると思いますし、具体的な苦い体験をされた方にとっては一方に非があると感じるのは当然なわけですが、社会全体で捉えるれば双方に責任があるのではないかと思われます。一方が他方の責任を求めることでギクシャク。まずは自らに問題がないか自問し、相手の立場に立って見ることも必要な場合が多いのではないでしょうか。「対話の力」がないところには力の衝突が待っています。個人の間の問題も、国家間の問題ももとは同じだと思います。
朝日新聞によりますと、今年6月1日時点で勤務する医師数が約1万8千人不足していることが、厚生労働省の調査でわかったとのこと。(全国の病院約1万施設が対象)地方に比べ都市部に医師が集中している地域偏在や、救急科やリハビリ科での不足がより深刻であるなど診療科ごとの偏りも判明。医師不足の全国調査は初めて。厚労省は近く結果を公表し偏在の解消に乗り出すとしています。
遅いです。もちろん国が何もしてきていないわけではありませんが、神奈川県や横浜市を始め地方自治体はより喫緊の課題として動いています。
調査によると、病院に勤務している医師数は約17万人。診療機能を維持するために病院が求人中の医師数は約1万8千人で、勤務医師数に対して必要医師数の倍率は1.1倍。調査時点で求人していなかったが病院が必要とする数を加えれば必要な医師数は計約2万4千人になるとのこと。
都道府県別でみると、必要医師数の倍率が高かったのは青森、岩手、島根などで1.2倍超。一方、東京や神奈川、福岡は1.1倍以下と低く、都市部と地方で医師不足に差があることが明確に。医師が十分足りている都道府県はなかったそうです。
また、この調査で診療科による医師の偏りも明らかに。病気の後遺症でおきる運動障害などを総合的にみるリハビリ科や、救急科で1.2倍超。しかし、美容外科、形成外科、アレルギー科などの必要数は少なかったとのこと。
医師を求人しなければならなくなった要因は、転職や開業などで勤務医が退職し補充のために募集していると答えたケースが最多。次いで、大学病院が地方に医師を派遣する機能が低下したことや、医師の勤務時間を減らすなど勤務環境を改善するためという理由が多数。
これらの原因としては、2004年に新卒医師に2年間の臨床研修が必修化され、自由に病院を選ぶことができるようになった一方、大学病院に残る医師が減り地域の病院に派遣していた医師を引き揚げざるをえなくなったため、各地で医師不足の傾向が顕著になったとされています。
厚労省や文部科学省は地域偏在の解消に向け将来その地域で診療することを条件に入学する学生の定員枠を設けるなどの対策をしてきました。また、同省は来年度予算の概算要求で医師不足に悩む病院に医師を派遣する「地域医療支援センター」を各都道府県に設置することを盛り込んでいます。
しかし、対症療法的な対策では超高齢化社会に対応できないことは目に見えています。医療関係に従事する人材の確保などについて、社会保障費全体の中での勤務医、開業医の差異を直視した「医師の報酬のあり方」や、内容によってですが「医療行為の基準の緩和」などをもっと踏み込んで議論し、行動して行く必要があるように思います。
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