
観光は大きな歳入の源。民間の力、現場の市町村の力が成否を決めると言われます。それをサポートするのが国や広域行政の役目。何をもって成功とするのか?成功という目標達成のためにどのように行動すべきか。
神奈川新聞によりますと、中国や韓国の企業が企画する「報奨(インセンティブ)旅 行」を獲得しようとする動きが活発になりつつあるとのこと。日本政府観光局(JNTO)は6月、中国企業の1万人規模の旅行誘致に成功。横浜観光コンベン ション・ビューローも韓国企業の有力者を招聘したり、中国本土でセールスを展開したりと、この分野へ積極的に乗り出していると報じています。
成績優秀な社員や優良顧客を対象に企業が実施する報奨旅行は、企業単位の会議や国際会議などの総称「MICE」の一つ。(MICEとはMeeting 会議・研修・セミナー、Incentive 招待。優待・視察、Convention 大学・学会・国際会議、Exhibition 展示会の略)
個人旅行と比べ人数も多い上、企業が旅行先で各種催しを開く際の経費など、観光“プラスアルファ”の消費が見込まれるのが特徴。
韓国は距離的な近さもあり、訪日外国人旅行では最大の市場。一方、経済成長を続ける中国は今後、報奨旅行を行う企業の増加が見込まれ、日本の観光関連業界が期待を寄せているとしています。
横 浜観光コンベンション・ビューローは6月下旬、韓国の生命保険会社担当者らを対象にした招聘ツアーを実施し、横浜市内の観光スポットを紹介。7月は中国で セールスを展開。同ビューローは東京や千葉の同種組織とも手を組み、中国語とハングルによる「『東京ベイエリア』MICEガイド」を発行。写真や地図を多 用し、3地域のコンベンション施設や観光スポット、パーティーなどに利用できる会場を紹介。横浜の担当者は「周辺地域との連携も深め相乗効果を図りたい。 誘致活動は緒に就いたばかりだが、横浜に来てもらうための環境づくりを進めたい」とコメント。頑張って頂きたいです。
一方、国を挙げてMICE誘致を進めるシンガポール。7月7日のテレビ東京、ワールドビジネスサテライトでその様子が紹介されました。
有名なマーライオンの正面に位置し特徴的な形をした超巨大な施設、マリーナ・ベイ・サンズ。開発したのは本場ラスベガスやマカオなどに数多くのカジノを持つアメリカのラスベガス・サンズ。
地上200m、展望台・プール・レストラン、中心街のビルを見下ろす光景は絶景。またMICEに欠かすことの出来ない会議場スペース、展示ブース約2000、会議室250。大宴会場1万1000人収容、総面積12万㎡(東京ビックサイト展示面積 約8万㎡)。
同社の副会長「ここはシンガポールのトップ30~40のホテルを全て合わせたのと同じくらいの大きさです」。
更に、カジノ、テーブルゲーム600以上、スロットマシン1500台、商業施設、有名ブランド店など300店舗、さらにミュージアムやシアターが年内にも完成予定。ビジネス客がお金を落としやすい仕掛けが作られています。
実は、国際会議の開催件数で日本も増えているものの2006年にはシンガポールにアジアトップの座を奪われています。貿易の拠点から金融の中心へと姿を変えてきたシンガポール。日本観光庁は2010年を「JAPAN MICE YEAR」としてMICEの誘致に力を入れていますが、日本同様資源の少ないシンガポールではMICEを中心とした観光産業に全力を入れて取り組んでいます。
シンガポール政府観光局の副局長は「シンガポールにとってMICEが生む利益は大きい」「政府と民間が長期的に協力し支援を行なっていく」とのこと。シンガポール政府は今回マリーナ・ベイ・サンズの建設にあたり、「MICE施設単体では利益が出ない」「だからカジノなどをつくる」との決断をしました。
カジノについては様々な議論がありますが、いかにして成功するかを議論し、具体に行動したことは学ぶべき点ではないかと思います。
同コーナーの最後で、MICEに詳しい MPI JAPN 浅井新介会長は「(シンガポールでは)7年8年9年先の予約が取れる」「日本では3年先でさえすぐに予約できない」「こういうモノを変えて行かないと彼らが快適に日本に来るのは難しい」とコメント。
「アジアの各国でMICEの誘致が加速する中、日本も新たな戦略を求められている」「シンガポールが国を挙げて期待を寄せる巨大複合施設。MICEの専門家は日本が競争に勝つには規制や商習慣を見直す必要がある」と指摘して締めくくっていました。
私は以前仕事でシンガポールに駐在した経験がありますが、こうした公共がリードするビジネスの成否、責任の所在は役所であっても明確。具体的な結果がなければ公務員であっても責任を問われる厳しい世界。国民から信頼される透明性ある仕組みと遂行が重要視されます。
民 間からすれば当然のことではないかと思いますが、国が発展する背景には、政治はもとより、公共への信頼が不可欠なのでは。国では非効率とされる公務員制度 を改革すべく議論が続いていますが、数や組織をどうするかという話とともに、人の評価のあり方を変えないと、あまり変化しないのではないかと思います。
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