昨日も代表質問が行われ、我が会派の小野寺慎一郎議員が質問に立ちました。財政問題、住宅問題、教育問題、不適正経理問題、障害者福祉問題等について質しました。特に、昨年大きな議論となり、一定の決着を見た在宅障害者等手当ての見直しについては、見直し財源19億円のうち、16億円を「かながわ障害者地域生活支援推進プログラム大綱」に基づく取組に活用するとのことでしたが、22年度予算での見直し財源活用額は、10億円に止まっている問題。グループホーム等の設置推進、レスパイトケア(介護する側へのケア)の充実、権利擁護等やるべきことは山ほどあります。
ところで、本定例会で議論されている別の大きな問題のひとつ。それは「社団法人かながわ森林づくり公社(以下、公社)」解散による261億円に及ぶ県の債権放棄があります。
昭和40年代における急激な経済成長と都市化の進展は、林業労働力の減少や林業経費の高騰をもたらし、民間の造林事業が困難になったことや、県においても財政事情から新規の分収造林事業が困難になったことから、市町村や林業関係団体からの要望や農林漁業金融公庫(現・日本政策金融公庫)から融資を受けられる造林公社の設立が全国的に進められていたこともあって、昭和43年に、県に代わって分収造林事業を行うことを目的に当該公社が設立されたとのこと。
色々説明はありますが、確認したところ、当時、赤字でもやらなければならない、という決意で始まったかといえばそうでもないよう。端的に申しますと、国の政策に倣って各広域自治体が、当時木材単価が高かったから始めたのだが、今はその3分の1になってしまい、事業が成り立たないからやめたいということ。
県によると、都道府県が設置する林業公社は現在40あり、合計の長期債務残高は1兆円超。「隠れ借金」とも指摘されている。最近では多額な債務を抱えていた岩手、大分両県の公社が解散しているとも。
公共的に必要だが、民間がやらないので公共が担うということが妥当な考え方かと思いますが、「儲かりそうだからやったが、価格が下落したのでやめる」。この事業は県に引き継がれます。当時は、本県に限らず、動機が不純だったのではないかとさえ思えてきます。
要するに、民間はやらないが、公共のためには必要な事業であると判断して第三セクター(三セク)が担ったものの、うまくいかなかったので解散する。この「行政の失敗」のツケは県民が払うことになりますので宜しく、ということかと思います。冗談じゃありません。
私が問題視するのは、「なぜ今なのか?」という点です。もっと早く解散していれば、負担を軽くでき、県が直営管理するわけですから、議会のチェックが入ります。しかし、三セクでは財務の中身が見えないままとなってしまいます。
県 は経営悪化の原因として「公社の分収事業は、木材価格の低迷、森林整備費の上昇等を受け、その経営環境は設立当時とは一変してしまったことから、社営林事 業の経営は困難な状況になってきたが、社営林は育成途上にあることから、引き続き適切な森林整備を行う必要があるため、経費支出について大幅な削減を図る ことは困難であった。」と説明しています。しかし、今も状況は悪化の一途で、長年放置した赤字が積みあがり、今こそあきらめるときだと判断したということ です。
こ こまでみますと、「県が悪い」となるわけですが、国はもっと悪い。まだ林野庁や公庫は各地の公社の破綻状態を認めていないとのこと。役人の自己保身といい ますか、自分が担当しているときだけはババを引きたくない。絶対認めないということ。どうしようもない連中です。その点、県の罪は問われますが、「だから こそ早くやりたかったのです!」という現職の方の決意は認めたいところです。
当該事業のピークは昭和55年。 それ以降は下降線を辿り、復活曲線を描くことはなかったとのこと。国の甘言といいますか、「いろんな手で助けますよ」「つぶさなくても大丈夫ですよ」と いった類の指令で決断が遅れたようです。約30年、失敗した事業を「税金で守られるからいいだろう」ということで、放置されてきたということです。
ここは堂々と問題を明らかにして、責任の所在も明確にした上で、今後のために手を打つべきだと思います。都合のいい説明で、隠す、開き直るということでは、私は納得できませんし、県民の皆さんの納得も得られないのではないかと思います。
神奈川新聞によりますと、松沢知事は16日 の定例会見で、解散の方針が決まっている第三セクター「かながわ森林づくり公社」(開成町)の清算のため、県が日本政策金融公庫分も含めた債権計約261 億円を放棄することを決めたことに関して、「県民の皆さまにはご迷惑をお掛けする」と述べたうえで「時期を逸すると、ますます負債が増えると判断した」と 理解を求めたとのこと。
謝罪なしにこの発言はまずいと思います。責任逃れとも取れます。これまでなぜ放置していたのかが問題ですから、そこを説明する必要があります。
知事は「各県の公社も赤字が続いている。国に協力させるべきだと言ってきたが、それを待って5年、10年たつと、赤字がどんどん膨らむ。一時的に県民に負担はかかるが、清算に向けてやり始めなければならない」等と発言。
同公社は外国産木材の流入による木材価格の下落などが影響し、負債が増加。7月末での解散の方針が決まっているが、県は同公社への貸付金170億円と、損失補償契約を結ぶ同公庫分の債権90億円も放棄し、損失補償に充てる第三セクター等改革推進債を起債するなどの議案を、県議会に提出。
長年の膿を出し、出直しをするということであれば、責任の明確にして、県民に謝罪することから始めないと、理解を得られないと思います。
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