年金制度改革について 469
昨日、港北区内で後期高齢者医療制度の説明会を開催しました。少子高齢化が進む中で、社会全体で医療制度を維持するために設けられたこの制度。様々なご意見はあるものの、現行制度の継続が困難であり、対案のない状況では、出口のない議論を続けるばかりとなります。そうしたことも含め、薄く、広く、セーフティネットを効かせた制度内容を説明。多くの方々にご納得頂いた次第です。まずは説明責任を果たすことが第一だと思います。終了後には昨日新聞報道された年金制度改革が話題に。「自分だけ守って欲しいなどとは言いませんが、公平に、そしてわかりやすい内容にしてもらえたいと思います」等のご意見も頂戴しました。とにかく説明し、ご意見を伺い、次につなげることの連続であると思っています。
政府の社会保障国民会議は、年金制度改革に関し、基礎年金部分を現行方式から財源を全額税でまかなう「税方式」に移行した場合の財政試算を公表しました。09年度から移行する場合、4通りのケースを示しながら、消費税換算で3.5%〜12%まで引き上げる必要があるとしています。
現行の給付水準(月額6万6千円)維持を前提に、
(1)加入歴にかかわらず、すべての高齢者に満額(月額6万6千円)支給 → (課題) 保険料を支払ってきた人と未納者の間で不公平が生じる。09年度追加財源:14兆円(消費税5%相当)
(2)過去に未納期間があればその分を減額 → (課題) 未納期間があれば、その分減額するため不公平は生じない。必要な財源も最も少なく、実現可能性は高いといえる。だが、現在の無年金・低年金の人は救済できない。09年度追加財源:9兆円(消費税3.5%相当)
(3)基礎年金払った上で、加入歴に応じ、今の保険料相当分(3万3千円)上乗せ → (課題) 09年度追加財源:24兆円(消費税8.5%相当)
(4)基礎年金払った上で、加入歴に応じ、今の給付全額分(国庫負担込み6万6千円)上乗せ。 → (課題) 消費税率が最も高くなる。09年度追加財源:33兆円(消費税12%相当) 更に、現行の5%と、国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げる財源(消費税1%分)を加えれば、税率は18%になる。
今回、家計への影響も初めて試算されましたが、保険料減と消費税増の差し引きを世帯別に見ると、高齢者世帯で負担が重くなることがわかりました。(2)では35〜44歳で月額の負担増が会社員世帯で1千〜2千円なのに対し、65歳以上や年金受給世帯では7千〜8千円になります。
現在の制度を継続することが不可能な少子高齢化社会にあって、いかにして薄く、広く、セーフティな制度にしていくかが問われています。まず政治・行政がムダをなくし、一部の扇動家のようなマスコミを凌駕しつつ、それをしっかり伝えていくことが必要です。その上で、後期高齢者医療制度のような「説明不足」などという失態を起こさぬよう、説明責任を果たしていくべきであると考えます。
一方、企業は従業員への負担が約3兆円なくなります。(2)では従業員1世帯あたり2千〜9千円の負担減。経済界では「企業負担が減る分は従業員に還元する」としていますが、具体策は示されていません。法人税引き下げによる国際競争力強化を図るべきとの議論がある中、総合的に判断していく必要があると考えます。
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