▶被災地発 夢の技術/宇宙エレベーター(未来の乗り物)/福島・南相馬市
被災地発 夢の技術/宇宙エレベーター(未来の乗り物)/福島・南相馬市
福島県南相馬市の「福島ロボットテストフィールド」で先月、地上と宇宙をケーブルで結び移動する「宇宙エレベーター」の開発に向けた実証実験が行われた(QRコードで動画が視聴できます)。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地で、大学や企業など計6チームが夢の技術開発に挑んだ。=東北支局
■高度100メートルからロボ降下実験
秋空に高く揚がった大型バルーンからつり下げられた1本のケーブルを、自走式ロボットを載せたクライマー(昇降機)がぐんぐん昇っていく。バルーン付近に到着するやカウントダウンを開始。昇降機から切り離されたロボットのパラシュートが開くと、ワッと歓声が上がった。
宇宙エレベーターは、地球の自転と同じ速度で回る人工衛星「静止衛星」から上下に伸ばしたケーブルにエレベーターを取り付け、地球と宇宙を行き来する未来の乗り物。ロケットに代わる、低コストで環境に配慮した大量輸送手段として期待されており、大手ゼネコン大林組は2050年までの実現をめざしている。
今回の実験は、高さ約100メートル地点からロボットを地上の定められた地点に軟着陸させ、ゴールまで自力で走行させるというもの。火星などに宇宙エレベーターを建設する際の降下ミッションを想定して行われた。主催した一般社団法人宇宙エレベーター協会によると、宇宙エレベーターを使ったロボットの降下実験は世界で初めてだという。
南相馬市の福島ロボットテストフィールドは、交通の便が良い所ではないが、実験会場に選ばれたのには理由がある。宇宙エレベーター協会の大野修一会長は「自然の風が吹く屋外で、落下物の危険がある上空100メートルからの降下実験の許可が得られたのは、ロボットテストフィールドくらいだった」と説明する。
実験には国内外の大学や企業など6チームから7台が参加した。このうち実際に実験できたのは3台で、1台は上空で切り離しができず、もう1台は降下したロボットが走行不能に。最後の1台だけが、走行用ベルトを修理してゴールにたどり着いた。その他は、ギリギリまでロボットや昇降機を調整したが、チャレンジは先送りになった。
未来の技術に挑む難しさを改めて認識する結果となったが、実験を見守っていた大野会長は「成功も失敗も宇宙エレベーターの実現に向けた収穫になる」と感慨深げ。今後も同協会として、年2回程度のペースで実験を行っていく方針を掲げている。
■公明も開催に貢献
今回の宇宙エレベーターの実証実験開催の陰には、公明党の貢献もあった。大型バルーンを浮かせるためのヘリウムガスが世界的な供給不足に陥っていると、宇宙エレベーター協会の大野修一会長から相談を受けた党福島県本部のいとう達也県議(県議選予定候補)は、ヘリウムガスの入手をサポートした。
実験会場の福島ロボットテストフィールドは、赤羽一嘉国土交通相(公明党)をはじめ、公明党が一貫して推進した結果、国家プロジェクトに位置付けられた「福島イノベーション・コースト構想」の中心拠点だ。
実験を見守ったいとう県議は「被災地である福島から世界に羽ばたく未来の技術を発信してほしい」と強調。「ロボットテストフィールドで実験する参加者の交通費補助など、さまざまな要望を頂いている。県として後押しできるよう努力したい」と語っている。










