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福島の避難地域12市町村、移住者どう増やすか/富岡町でトークセッション

2024年9月16日

東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が出された福島県内の12市町村【地図参照】では、地域の担い手や働き手が特に不足していることから、住民の帰還に加え、県内外からの移住の促進に取り組んでいる。復興への新たな活力として期待される移住者をどう増やしていくか。8月30日に富岡町で開かれた「移住トークセッション」の模様から課題を探った。

■ドラッグストア、小児科医院など生活環境の整備さらに

 「移住者の皆さんが地元の皆さんと一緒になって仕事し、暮らしていけるように背中を押す、そういう仕事をしていきたい」。冒頭、あいさつに立った内堀雅雄福島県知事は熱を込めて語った。

 トークセッションは県と「ふくしま12市町村移住支援センター」(富岡町)の共催で、昨年に続き2回目。移住促進へのヒントを探ろうと、県内外から12市町村に移住してきた代表6人と内堀知事らが移住の魅力や課題を語り合った。公明党アドバイザーで2022年10月から双葉町に移り住む浜田昌良元参院議員も出席した。

 国や県、12市町村が連携して移住促進策に取り組み始めたのは21年。県は移住支援センターを設置し、12市町村の移住情報サイト「未来ワークふくしま」やSNSでの情報発信を強化してきた。

 移住世帯を対象に支援金として最大200万円、さらに子ども1人当たり最大100万円を加算するほか、都内で移住セミナーを開いたり、移住希望者を対象にした体験ツアーも実施。21年度に436人だった12市町村への移住者は、22年度601人、23年度839人とほぼ倍増した。

 ただ、住民票を置き、実際に区域内に住んでいる「居住率」は、市町村によって差があるのが実態だ。避難指示が15年に全町で解除された楢葉町は6割超なのに対し、今も避難地域が残る葛尾村や飯舘村は3割、富岡町は2割程度にとどまっている。

 移住者を増やす上で不可欠なのが生活環境の整備だ。トークセッションでは、飯舘村で花き農家を営む花井由貴さんが子育て世代ならではの悩みを吐露。生活用品がそろうドラッグストアや小児科医院が不足している現状を訴えた。

■雇用や新産業へのサポートを

 雇用や産業も移住者増へのカギを握っている。12市町村では移住者が起業したり、新産業の創出に携わるケースが少なくない。川内村の新たな特産品としてワインを醸造する安達貴さんは「福島のワインがこれから発展していくようにサポートしてほしい」と要望した。

 移住者を増やしていく中で「今後は個々がつながる線の役割をしてくれるような施策や支援を」と語ったのは、富岡町で移住相談員として働く竹原愛梨さん。移住から定住へとつなげていく上で、移住者同士が支え合えるネットワークをつくる必要性も浮き彫りになった。

■帰還住民とのコミュニティーも

 12市町村では居住人口に対する移住者の割合が徐々に高まっている。葛尾村でまちづくりに携わる米谷量平さんは、移住者と帰還した人のコミュニティーをつくる重要性を指摘した。

 一方で、都市部と地方に複数の生活拠点を持つ「二地域居住」も、移住に向けたステップの一つとして重要だ。川俣町と都内を拠点に映像制作を行う佐原孝兵さんは、二地域居住の利点について「一番はリフレッシュできること」と語った。県も移住と併せて二地域居住のPRにも力を入れる。

 トークセッションで出席者が口をそろえて評価していたことは、12市町村に暮らす「人の温かさ」だった。21年から田村市に移住し、ビール醸造に携わる河本凪紗さんは、地元住民らとの交流を通じて「ここに来ないと経験できないことがあると感じた。移住して良かったと思えるのは、そういう方々に出会えたから」と笑みを浮かべた。

 あいさつに立った浜田氏は、移住者らに「個性を“虹色”のように地域で輝かせてほしい」と呼び掛け、帰還した住民や移住者らが「団体戦」で復興に取り組んでいくことが大切だと締めくくった。

 今回のトークセッションでは、移住生活の魅力が多く寄せられた一方、見知らぬ土地で暮らす中での苦労も垣間見えた。移住を決断した人が、地域に定着していくための環境整備も重要だ。定住へのきめ細かな支援が一層求められている。

2024/09/16 公明新聞

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