▶福島から飛べ!未来の翼/福島・南相馬市
東日本大震災11年6カ月
福島から飛べ!未来の翼
「リアルスカイプロジェクト」本格始動/福島・南相馬市
東京電力福島第1原発事故で甚大な被害を受けた福島県浜通り地域に産業基盤を構築する「福島イノベーション・コースト構想」。同構想の航空宇宙分野の発展に向け、民間企業と専門学校生が連携し、軽量飛行機を製作する「リアルスカイプロジェクト」のキックオフイベントが1日、南相馬市で開かれた。公明党の伊藤達也県議が一貫して推進してきたもので、次世代航空産業の一翼を担う取り組みに期待が高まっている。=東日本大震災取材班
■学生主体で軽量飛行機、製作/若手技術者育成し復興加速
このプロジェクトは、レース専用飛行機の国際大会でアジア初の優勝経験を持つ室屋義秀氏が代表を務める株式会社パスファインダーと、福島県が産業人材の育成に関する連携協定を結び、2020年3月から始まった。
産業界の若手技術者を養成する県立テクノアカデミーの学生が主体となり、レース機の部品を設計し開発。完成品を機体に搭載し、室屋氏がテスト飛行して従来の部品と同等の性能を確認するなどの実証研究を進めてきた。
今回、学生たちが製作するのは、「ライトスポーツエアクラフト(LSA)」と呼ばれる全長約6メートル、重量約350キログラムの2人乗りの軽量飛行機。同社の航空整備士のサポートの下、今年3月に米国から輸入したLSA製作キットを使用して航空機の構造を学んだり、要素技術を習得したりしながら2年間かけて機体を組み立てていく。24年度の初飛行をめざしている。
この日、学生たちは緊張した面持ちで、機体の組み立て工程で必要なアルミニウム製の部品にドリルで穴を開け、パーツの取り付け作業に当たった。テクノアカデミー浜・機械技術科2年の松下慎之介さん(20)は「一つもミスが許されない作業。機体を飛ばすという大きな夢に向かって頑張ります」と意気込みを語っていた。
室屋氏は「LSAの機体を組み立てて、人が乗って飛ぶものを作るのは日本で初めて。学んだ製造技術を未来の産業の礎として、浜通り地域の発展に役立ててほしい」とエールを送った。
イベントにはテクノアカデミーの学生と地元企業関係者ら30人が出席。「未来のLSAの活用方法」をテーマに活発な議論が展開されたほか、飛行艇型ドローンを開発する株式会社スペースエンターテインメントラボラトリーの金田政太代表取締役が、同プロジェクトの波及効果について基調講演した。
■公明県議が尽力
LSAの導入を巡っては、21年2月定例会で伊藤県議が「航空産業の振興には若者の継続的な人材育成が不可欠だ」と主張。これを受け、県はテクノアカデミーにLSA2機の導入を決断。製作キットに続き、22年度にはエンジンやプロペラの購入に向けた予算が計上されている。
さらに、伊藤県議は室屋氏と連携し、LSAを活用した人材育成について航空関連企業との意見交換を実施してきた。
伊藤県議は「若手技術者の育成は福島復興に大きく寄与する。空飛ぶクルマやドローンといった次世代航空産業の集積や雇用創出につなげていきたい」と決意している。
2022/09/13 公明新聞

