▶ウクライナ避難学生を「相馬野馬追」に招待
ウクライナ避難学生を「相馬野馬追」に招待
安寧願う伝統行事で交流/福島・南相馬市
福島県相双地方に1000年以上息づく国の重要無形民俗文化財「相馬野馬追」の本祭りが24日、南相馬市で行われた。地域の繁栄と安寧への願いを込めて受け継がれてきたこの伝統行事には、ウクライナから県内に避難している3人の学生も参加した。交流が実現した陰には、公明党の志賀稔宗市議による奮闘があった。=東日本大震災取材班
「日本での生活は慣れましたか」。志賀市議が話し掛けると、ウクライナの避難学生たちは、にっこりとうなずいた。
今回、相馬野馬追に招待されたのは、東日本国際大学(吉村作治総長、いわき市)で学ぶ、ダリア・スツジンスカさん(24)=オデッサ出身、フロイア・アロナ・アクロアさん(21)=キーウ出身、ディミトロ・ダビシーイさん(19)=同の3人。同大学の中村隆行副学長が通訳で同行した。
午前9時30分、夏空にのろしが上がり、陣太鼓が鳴り響くと騎馬隊が3キロ先の祭場地をめざし、威風堂々と練り歩き始めた。甲冑を身にまとい、先祖伝来の旗指物をなびかせた騎馬武者354騎が行列をなす姿は、豪華絢爛な時代絵巻である。
■「日本との懸け橋に」
正午、祭場地を本陣に、白鉢巻きを締めた陣羽織、野袴姿の若武者たちが“人馬一体”で力強く疾駆。観覧席でダリアさんらは、騎馬武者が駆け抜けるたび、盛んに拍手を送っていた。
見学を終えた避難学生たちは「とてもユニークで面白かった」(ディミトロさん)、「日本の伝統をたくさん学び、母国と日本を結ぶ懸け橋になりたい」(ダリアさん)、「日本語をマスターしてウクライナの文化も広く発信したい」(フロイアさん)と話し、笑顔を輝かせていた。
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同大学は5月、ウクライナから国外に避難した学生の受け入れを表明。授業料は免除し、宿泊施設も提供している。定員は20人程度で、これまでに4人が留学し、6月1日から日本語を学習している。
このことを知った志賀市議は、「南相馬市ならではの支援がしたい」と思い立った。
■公明市議が提案「復興支援の恩返しを」
東日本大震災が発生した11年前、東京電力福島第1原発事故で「20キロ圏内」に該当する南相馬市の一部地域に避難指示が出された。多くの市民が避難生活を余儀なくされる中、ウクライナの子どもたちから応援メッセージや絵画が寄せられた。当時、避難者だった志賀市議は「ウクライナからの真心の贈り物は私たちに生きる希望を与えてくれた」と振り返る。
今こそ、あの時の恩返しを――。6月上旬、志賀市議は門馬和夫市長にこのことを熱弁。避難学生を「相馬野馬追」に招待するよう提案した。共鳴した門馬市長は、ウクライナから避難してきた人たちの心の安らぎと交流の機会になれば、と快諾した。
さらに、志賀市議は同大学の緑川浩司理事長とも連携し、相馬野馬追を避難学生に楽しんでもらえるよう準備を後押しした。
2022/07/27 公明新聞7面

