▶スマートシティーで暮らし便利に
スマートシティーで暮らし便利に
教育、医療、交通などデジタルの恩恵 市民へ/福島・会津若松市
人工知能(AI)やビッグデータなどの先端技術を活用し、便利で暮らしやすい街づくりをめざす次世代都市「スマートシティー」。世界各国で導入が進められ、日本でも自治体や企業の取り組みが注目されている。公明党は参院選重点政策でスマートシティーの構築を掲げている。先進地である福島県会津若松市の取り組みを追った。
会津若松市がスマートシティーの取り組みを始めたきっかけは、2011年3月に起きた東日本大震災だった。観光業や農業などの基幹産業が打撃を受ける中、人口流出と少子高齢化への危機感が高まった。
そこで市は同年7月から世界的コンサルティング企業のアクセンチュア、地元の会津大学と連携し、復興計画の策定に着手。13年2月、市の重要政策にスマートシティーの推進を位置付け、デジタル技術を用いて行政の効率化や市民の利便性向上を図るとともに産業振興をめざすことにした。
◇
取り組み開始から10年余、デジタル化の恩恵は市民に届きつつある。
15年12月、年齢や性別、家族構成などの属性に合わせて情報・サービスの提供を行う基盤となるインターネット上の地域情報プラットフォーム「会津若松+」を開設。パソコンやスマートフォン(スマホ)からアクセス可能で、そこを“入り口”として、除雪車の位置情報提供や電子版の母子健康手帳といった利用できるサービスのメニューを、順次、増やしていった。
各種サービスの起点となる「会津若松+」のID登録者は約1万8000人(3月現在)と、人口比で市民の約15%まで広がる。
メニューの中でもユニークなのが市立幼稚園、小中学校の保護者を対象とした「あいづっこ+」だ。学校便りや給食の献立などの情報をスマホで受け取れるほか、各園や学校の様子を“デジタル日誌”で確認できる。市内で3人の子を育てる林理江さんは「毎日更新され、白黒のプリントで配られる学校便りと比べて子どもたちの様子がよく分かる」と話していた。
これらのほか、事前予約に合わせてAIが運行ルートを生成する「リクエスト型最適経路バス」などの実証事業が行われている。
スマートシティーの取り組みで課題となるのが、家族構成や趣味といった個人情報の取り扱いだ。会津若松市では「データは市民のもの」との理念を掲げ、利用目的を明示して市民の同意を得た上で情報を収集する「オプトイン」方式を採用。セキュリティーを十分に確保した上で、官民が保有するデータを連携させて利活用できる仕組み作りを進めている。
■企業と連携し産業振興めざす
「これからがデジタルの恩恵を、さらに市民に実感してもらう第2ステージだ」。アクセンチュア・イノベーションセンター福島共同統括の海老原城一氏は、こう意気込む。
市は今後3年間をめどに、「食・農業」「決済」「観光」など12分野で、デジタル技術を活用したサービスを実用化する方針だ。中でも、オンライン医療や、位置情報を活用した災害発生時の安否確認・避難誘導、行政手続きのデジタル化などについては今年秋の実用化をめざす。
これらを行政と共に進めるエンジン役を担うのが、19年4月に開所したオフィス拠点「スマートシティAiCT」に入居する民間企業だ。現在37社に上る。市は、デジタル技術活用の取り組みで得られるデータを利活用する企業の集積を通じて、産業振興や雇用創出につなげたい考えだ。
市の本島靖スマートシティ推進室長は「データを地域の共通財産として市民、地域、企業にとって“三方よし”の取り組みを進めたい」と語る。
■公明、参院選重点政策に掲げる
公明党は早くから会津若松市の取り組みに注目し、山口那津男代表や党デジタル社会推進本部が視察するなど、地元関係者と意見交換を重ねてきた。
20年10月と21年1月の参院代表質問で山口代表がスマートシティーの構築を訴えたほか、同年5月に菅義偉首相(当時)への提言でスマートシティーの取り組み加速を要望した。
今回の参院選重点政策でも「人が主役のデジタル共助のまちづくり」を掲げ、スマートシティーの推進を明記している。
2022/06/18 公明新聞3面

