藤岡総合病院を経営する、多野藤岡医療事務市町村組合。その議会の視察研修で、富山県高岡市民病院の病院経営計画について、学ばせていただきました。
公立病院はその多くが赤字体質です。それは市民の生命と健康を守るために、不採算な医療にも取り組まなくてはならないことが大きいのです。また職員は全員が公務員ですから、毎年確実に人件費が上昇します。
私は個人的には公立病院がその役割を果たすためには、ある程度の赤字はやむを得ないと考えています。それは市民福祉の向上のための、必要経費とも言えるからです。とは言っても大幅な赤字は結局市民負担になりますから、公営企業として黒字化するための努力は怠ってはなりません。そこで大切なのが経営計画ということになります。高岡市民病院は先進の医療機器を導入し、また女性専門外来を開設するなど、特色を持った優れた病院でした。経営面でも努力を重ね、健全経営といっていいレベルを達成していました。
私は現在、多野藤岡医療事務市町村組合の議選の監査委員を務めさせていただいているため、毎月の月例監査を行っています。その内容から言って、藤岡総合病院は様々問題はありますが、頑張っていると言っていいでしょう。監査委員として、また組合議会議員としてさらなる改善は求めていかなくてはなりません。市民が安心して医療を受けられるよう、これからも努めてまいります。
9月議会が閉会となりました。涼しい議場を出て、まだ暑い中ですが訪問対話や街頭演説などの日常活動に頑張っていきたいと思います。
今回の一般質問は、1問目では関東大震災から100年を迎え、防災減災を見直すために「防災福祉」への取り組みを求めました。具体的には東日本大震災以降問題となった災害関連死を指定避難所から出さないことを目標に、市独自の福祉避難所の設置と、小中学校の体育館の冷房化について。
今夏も小中学生が学校管理下での運動が原因で、熱中症で亡くなるという痛ましい事故がありました。2問目は小中学校の熱中症対策について、クールダウンの実施、体育館の冷房化、校庭への日除け設備の設置を提案しました。
最後は、通常国会で認知症基本法が成立しました。2025年には認知症患者が700万人と、高齢者の5人に1人に達するとのことです。認知症基本法への対応について、今回は基本的なことだけ確認しました。
以下、少し長くなりますが、質問と答弁の概要を掲載させていただきます。
1.防災福祉について
関東大震災から100年を迎えて、震災を振り返り、教訓を生かそうとする取り組みが各所で行われています。防災は我が国において、常に政治・行政の重要課題です。
近年、防災福祉の考え方に基づいた防災対策、さらにはまちづくりに取り組む自治体が増えています。
防災福祉とは、平常時での福祉への対応と、防災と災害時での減災を一体化させた概念であり、そのためにも普段からの地域コミュニティの形成が必要とされています。福祉と防災、さらには地域や各機関とも連携して、防災福祉の視点で様々な事務を洗いなおしていく取り組みが求められてます。防災福祉について本市のお考えを伺います。
答:防災福祉とは、平常時の福祉への対応と、防災と災害時での減災を一体化させた概念であり、そのためにもふだんから地域コミュニティの形成が必要とされています。
市では防災部局と福祉部局との連携により、「避難行動要支援者名簿」を作成して関係者に配布し、避難支援に活用しています。更に個別避難計画の作成を、福祉専門職等へ委託し、作成を進めていきます。また地域コミュニティの強化に取り組み、防災、減災を図っていきたいと考えています。
問:福祉を災害時にも提供し続けることで、災害時要援護者を中心に市民の生命を守り、減災ができます。まずは避難してきた市民に対し、最低限の健康的で文化的な生活を提供することが求められます。少なくとも避難所の中での災害関連死などあってはなりません。そこで、まず福祉避難所の設置について伺います。
福祉避難所について、私は平成20年に、当面の対策として、社会福祉施設との協定締結による指定について質問し、今日までその体制が維持・強化されてきました。
しかし近年の高齢化、災害の激甚化を考えたとき、現状の体制では収容力に限りがあり、災害時に福祉避難所に要援護者を収容できない恐れがあります。そこで市が独自に福祉避難所を開設できるように、準備を進めるべきと思いますが、お考えを伺います。
答:市独自の福祉避難所の設置については、旧公立藤岡総合病院跡地に整備する複合施設内の多目的ホールを、同施設内に保健センターがあること、非常用電源、防災備蓄倉庫も備えていることから、市独自の福祉避難所とすることで計画しています。
問:指定避難所の中で、小中学校の体育館は冷房がありません。この夏は、長期にわたって猛暑が続きました。また台風はこれまで秋がシーズンでしたが、豪雨災害は夏にも頻繁に発生するようになりました。
こんな状況の中で冷房のない体育館で避難生活を送れば、健常者であっても熱中症になったり、体力が低下して他の病気になる恐れがあります。体調を崩した方を冷房のある教室に収容するという考え方もありますが、熱中症の危険度が高まった場合、避難者全員を教室に移す必要があると考えます。教室での避難生活が長引けば、学校の再開に支障が出ます。
県内各市でも小中学校体育館の冷房の整備が始まっています。小中学校の体育館の冷房化を行うべきと思いますが、お考えを伺います。
答:現在、避難所となっている小中学校の体育館には冷房はありません。避難場所運営訓練を鬼石小学校体育館で実施した際に、体育館内の暑さを実際に体感し、避難者受入には冷房の設置は必要と感じたところです。冷房の設置については、関係部署とともに先進事例を参考に調査研究したいと考えています。
2.小中学校の熱中症対策について
問:近年学校行事や、運動中の熱中症事故が頻発しています。最近も7月に山形県で、女子中学生の熱中症死亡事故が報じられました。
この事故では、報道によると市教委定めた熱中症対策ガイドラインにある、暑さ指数の計測を行わずに活動を始めたとのことです。ガイドラインが定められていても、それを守らなければ無意味です。
熱中症対策ガイドラインは、本市では策定されていないようです。策定の上、しっかりと周知・徹底する必要があると思いますが、お考えを伺います。
答:山形県での痛ましい事故を受け、市教委から8月1日付で各校に対し、ガイドラインに相当する「夏期休業中における部活動等の熱中症予防対策について」の通知を発出しました。また、2学期開始3日前の8月25日には、「2学期における熱中症予防対策の徹底について」を発出しました。
この通知で示した留意事項は、令和3年5月に環境省・文部科学省より発出された「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」を基に作成しました。
今後も、児童・生徒の健康安全を最優先に考え、必要に応じて通知を発出し、周知を徹底してまいります。
問:熱中症を予防するためには、まず一定の暑さを超えたら運動しないことが一番です。
しかし運動が可能と判断された状況であっても、生徒個人それぞれの体調などによって必ずしも安全とは言えません。山形の事故では定期的な休憩と給水は行っていたようですが、それに加えて一定の時間が過ぎたらクールダウンが必要と思います。今夏の全国高等学校野球選手権大会でもクーリングタイムが設定され、水分摂取や身体冷却を行いました。
また、終了後に暑い中を帰宅する前に、活動終了の段階でのクールダウンも必要と思います。クールダウンの実施について、お考えを伺います。
答:日本スポーツ協会「熱中症予防運動指針」に従い、活動内容や休憩時間について十分留意しながら活動を行いますが、活動に夢中になり、無意識に運動強度が高まってしまうことも想定されます。
そこで、休憩については直射日光の当たらない木かげやエアコンの効いた室内で行うなど、WBGTの数値や児童生徒の健康状態に応じたクールダウンが必要と考えます。また、WBGTの数値が高く、屋外での活動や運動後にそのまま下校する場面でも、クールダウンの時間の確保を行うとともに、児童・生徒の十分な健康観察を行った後、下校を行います。特に、部活動後の下校については、活動終了の10分前に放送を入れるなど工夫し、クールダウンの時間を確保できるよう、周知してまいります。
問:更に効果的にクールダウンが行えるよう、体育館および校庭にクールダウンを適切に行える環境・設備を整える必要があると考えます。
先ほど伺ったように体育館に冷房があれば館内での運動に対応できますが、教育委員会の見解を伺います。
答:教育委員会もその必要性は強く感じているところです。しかし建物の特性や費用面などは、大きな課題です。こうしたことを踏まえ、学校体育館への空調設備の設置について研究・検討を始めており、先進事例の視察等も予定しています。今後も関係部署と連携して、現状でのクールダウンも含めて、研究・検討をしたいと思います。
問:体育館だけでなく、運動や学校行事は校庭でも行われます。屋外では直射日光を浴びるため、危険性が高まります。8月には北海道で校庭での体育の授業直後に小学生が倒れ、亡くなるという痛ましい事故もありました。
屋外で行う運動については、校庭の一角に児童生徒をある程度の人数が収容可能なガゼボ、パーゴラ、また庇など、日よけのできる常設の設備を設けて、ミストシャワーを利用できるようにすればクールダウンができると考えます。
校庭での日よけ設備の設置についてお考えを伺います。
答:学校における屋外の活動において、熱中症対策等、児童生徒の安全確保は重要であると認識しています。屋外に日除けとなる設備がありますと、日差しを避けて休憩ができます。日除けとなる設備の設置につきましては、どのようなものが有効なのか、また設置場所など学校毎に研究が必要と考えます。今後、同様の取り組みを行う学校等について調査し、検討を行っていきたいと考えます。
3.認知症基本法への対応について
問:先の国会において、認知症基本法が可決成立しました。国内の認知症の人は年々増加傾向にあり、2025年には約700万人、高齢者の5人に一人になるとされています。認知症は多くの高齢者にとって、現実の差し迫った不安です。
しかし「認知症になったら人生終わり」ではなく、認知症患者にはできなくなることは多くても、一方でできることが多く残されている方も多数います。そういった認知症患者の人権を守り、残された「できること」を活かして充実した生活をしてほしいと願います。またそういった認知症の実相を広く知らせること、ま家族や支援者を支えていく必要もあります。
認知症基本法に示されていることは今後の国の方針であることは間違いなく、今後も増えていく認知症患者を一人として取り残さないために、市としての取り組みが必要と考えます。認知症基本法についてのお考えを伺います。
答:認知症基本法の目的にあるように、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らせるよう、認知症に対する理解の促進と地域で支える仕組みづくりが今後も必要と考えています。
本市では認知症に関する総合的な相談、認知症初期集中支援チームの設置、認知症カフェの設置、正しい知識の普及啓発を図るため広報掲載や認知症サポーターの養成等を行っています。
問:法では市町村に対して市町村認知症施策推進計画策定の努力義務を課しています。努力義務ですから策定しなくとも、現時点ではペナルティもないわけですが、認知症患者が増加している現在、これに正面から取り組み、本市も計画を策定するべきと思います。お考えを伺います。
答:認知症施策推進計画を策定し、取り組みを推進していくことは必要と考えています。
市がこの計画を策定する場合には、国の基本計画と、県の計画を基本とし、市の実情に則した計画にするよう求めていますので、これらの計画が策定された後に検討を進めたいと考えています。
*上記はくぼたの私的編集による概要です。詳しくは後日に議会ホームページに掲載される議事録または録画放映をご覧いただくか、くぼたまでお問い合わせください。