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 6月議会がすべての議案審査を終えて、本日閉会となりました。例年であればまた梅雨時の街に出ての訪問活動と街頭活動になるのですが、今年は新型コロナウイルス感染症の流行のため、思うに任せない状況が続いていました。しかし市民から信託を受けた議員として、臆しているわけにはいきません。新しい生活様式に従って、常識の範囲内で注意しながらポイントを絞った活動を、しっかりと展開してまいります。

 

 今回も引き続き、一般質問に立たせていただきました。少し長くなりますが、概要を掲載させていただきます。

 

 

1.感染症の予防接種について

 

問:現在も全国で風疹の流行が収束したとは言えない状況です。我が国では5年ごとに風疹の流行が起こると言われますが、現在はワクチンの定期接種が行われているのに、なぜ流行が繰り返されるのでしょうか。
その答えは40代から50代の男性に対し、今になってワクチン接種を進めている理由にあります。我が国の風疹ワクチン接種は、昭和52年から平成5年までは、中学生女子のみが対象でした。そのため平成5年度までに中学を卒業した男性は、これまで接種の対象外だったのです。風疹に罹りやすく常に流行の起点となってきたこの年代の男性が、必要な予防接種を受ければ流行は無くなるとまで言われています。

 そこで伺いますが、まず風疹の抗体検査および風疹の第5期定期接種の本市での対象者数を伺います。また令和元年度分として昭和47年4月2日~昭和54年4月1日生まれの男性にクーポン券が送付されましたが、利用が進まず期限を1年間延長しています。この分について令和元年度中の本市での利用状況を伺います。

 

答:昨年度の対象者である昭和47年4月2日生まれから昭和54年4月1日生まれの男性は3,443人です。そのうち、抗体検査を受けた方は769人であり、実施率22.3%でした。抗体検査の結果では抗体有の方が515人・67%、抗体なしの方254人・33%であり、風しんの予防接種を受けた方は199人でした。

 

問:この年代の男性は自分が風疹に罹るだけでなく、家族や周囲の人に広げる恐れがあります。今回接種を受けなかったため風疹に罹り、また5年後10年後に流行を招いてしまった場合の、自分と家族、また社会の状況に想像力を働かせてほしいと願います。

 そこで、必要性を理解していただく取り組みと、対象者への働きかけが極めて重要と思いますが、お考えを伺います。

 

答:このクーポン券を利用できる医療機関は全国にあり、健康診査時に同時に利用できる場合もあることを周知し、抗体検査及び予防接種勧奨を強化していきたいと考えます。
また、今年度の対象者が無料で利用できる期間は令和3年度末までです。昨年度の対象者も含め、市の広報やホームページを活用し抗体獲得率の向上と風しんの流行防止を行っていきたいと考えます。

 

問:ワクチン接種で予防可能な病気の一つに、子宮頸がんがあります。ヒトパピローマウイルスへの感染が原因のがんで、年間約1万人もの女性が罹り、約3千人の女性が亡くなっています。そしてこの予防のために世界で広く行われているのが、HPVワクチンの接種です。
HPVワクチンは日本でも平成22年11月より国の基金事業対象ワクチンとなり接種が進みました。その後、平成25年4月より小学6年~高校1年相当の女子を対象に国の定期接種となったのですが、接種後に多様な症状が生じたとする報告により、国は同年6月に自治体による積極的勧奨の差し控えを行い、接種は大幅に減少しました。

 そこで伺いますが、本市におけるこれまでのHPVワクチン接種の推移について伺います。合わせて本市での接種による副反応の報告数と、その中に重篤な例の報告があったか伺います。

 

答:HPVワクチン接種者数は、平成22年度は197人、平成23年度は1,262人、平成24年度は1,386人、平成25年度より定期接種となりましたが、6月14日から積極的接種勧奨が中止となったため149人の接種でした。平成26年度以降の接種者数は10人以下で推移している状況です。
接種による副反応の報告数については、平成23年度に3人の報告がありましたが、重篤な例はありませんでした。

 

問:国が積極的勧奨を行わないと決め、市が個人通知を行わなければ、当然接種は激減します。このような対応を取っているのは日本だけで、世界的には多くの国で安全に接種が行われ、予防に成果を上げています。
このままでは市民の間でも子宮頸がんの予防は進まず、せっかくの接種の機会を逃した女性たちに、近い将来に子宮頸がんにかかる可能性が高まります。

 そこで伺いますが、本市の子宮頸がんの患者数の推移がわかればお示しください。

 

答:子宮頸がんの罹患者数について、市としての統計はありません。全国では平成25年が10,520人、平成26年が10,407人、平成27年が10,776人、平成28年が11,283人、平成29年が11,012人という状況になっています。

 

問:全国で1万人から1万1千人前後なら、約6400万人の日本女性の内、毎年およそ5千人から6千人に一人が罹患し、その3割弱が亡くなっているということです。本市の女性の人口では年間5人から6人が罹患し、1人から2人が亡くなっているという推計になります。このままでは、これが続く恐れがあります。
 問題の多様な症状については、厚労省の副反応検討部会で専門家による解析が行われ、HPVワクチンとは直接的な因果関係が否定されています。もちろん予防接種法などに基づく救済制度については、対象となることは当然と考えます。
 因果関係がないなら今後は接種を進めるべきですが、国は「接種の積極的な勧奨とならないよう留意すること」との勧告を改めていません。
一方で国はHPVワクチンに関する情報の周知のため、リーフレットを作成して自治体に使用を促しています。最近その改訂版の制作に先立って実施した調査では、「リーフレットを見たことがない」という回答が、対象年齢の女性では82.5%、その母親は87.7%ありました。また同調査では、個別通知による周知を実施している自治体が、全国で97あったということです。
また同調査において、接種について「わからないことが多いため、決めかねている」と41%の方が回答し、情報不足のため接種の判断ができない現状も分かりました。
 これらのことから積極的勧奨ができない市町村が現在行うべきは、個別通知による「情報提供」であると考えます。具体的には本人が子宮頸がん予防ワクチンの定期接種の対象者であることの通知に加えて、国のリーフレットを同封して情報を周知し、接種について自ら判断していただくことです。
 昨年度に千葉県いすみ市や茨城県龍ヶ崎市は、特に高校1年女子がいる保護者向けに市独自の通知を発送し、定期接種の対象者であることや、年度内に3回の接種を終えるには1回目接種を9月30日までに行う必要があると伝えました。
 こういった取り組みに対し、日本産科婦人科学会は、強く支持する声明を発表し、また日本小児科医会も各自治体首長宛てに、通知によって対象者へ正確な情報を伝えるよう要望書を提出しました。
HPVワクチンは現在も定期接種A類であり、本来は自治体に制度の周知を行う義務があります。周知を行わないことは、接種を受けられなかった市民から、市の不作為を問われる可能性も否定できません。

 「何も知らないまま定期接種の対象期間を過ぎてしまった」という市民を出さないよう、またHPVワクチンの正しい情報を知って接種について判断して頂くためにも、個別通知による情報提供を実施する必要があると考えます。少なくとも、対象の最後の年である高校1年の女子に対しては、接種の可否を判断するための最新の情報とともに、助成期間が年度内で終了する旨の通知を、時間的余裕を持って行うべきと思いますが、お考えを伺います。

 

答:定期接種の対象者は「12歳となる日の属する年度の初日から16歳となる日の属する年度の末日までの間にある女子」とされていますので、接種最後の年になる女子に対して情報提供と助成期間が終了となる旨の通知発送について検討していきたいと考えます。

 

問:幼少期から成長に応じて定期予防接種を受けて得た免疫を、一気に失ってしまうことがあります。それは白血病や再生不良性貧血などの血液疾患の治療として骨髄移植を受けた場合や、抗がん剤を用いての化学療法や放射線治療を受けた場合などです。これらの治療によって、獲得した免疫が低下もしくは消失してしまうのです。当然さまざまな感染症に罹かりやすくなり、病気治療の支障となりますので、再接種を行う必要があります。

 そこで伺いますが、本市において最近5年間でこれらの病気により、この種の治療を受けた方の人数について伺います。またこれらの方々が、それまでに公費による定期予防接種として受けてきた予防接種を、再接種した場合の扱いについて伺います。

 

答:子どもの予防接種の対象となる方の中で過去5年間に血液疾患の治療で抗がん剤での化学療法や放射線療法を受けた方について情報があって把握している人数は3人です。
これらの方々が定期接種として受けた予防接種を再接種した際の扱いについては、自費での接種となっています。

 

問:それまで積み重ねた予防接種は種類も回数も多く、自費で受けるとワクチン代だけでも30万円以上かかるようです。重い疾患を持ち、さらに予防接種をやり直すことの経済的、精神的負担は大きなものがあります。

 そこで、こうした特別な理由によって免疫を失い、接種済みの予防接種の効果が期待できないと医師に判断された場合の再接種については、その費用に対して補助すべきと考えます。
 これまで何らかの助成を実施している市区町村は、昨年度末には250以上あります。県内でも前橋市、高崎市、伊勢崎市、大泉町、千代田町などで実施されています。特別な理由による任意予防接種の再接種への補助についてお考えを伺います。

 

答:保護者の負担を軽減するため、再接種への補助に向けて対象となる治療や他市の状況について調査し実施に向けて検討したいと考えています。

 

問:新型コロナウイルス感染症も、封じ込めるためには広くワクチン接種を行う以外にありません。そのワクチンは世界中で開発が進められ一部が初期の治験を行っている段階で、もう少し時間がかかります。更に世界中の需要を考えると、国民に行き渡るのには相当な時間がかかると思われますが、それでもやり遂げなくてはならない課題です。いずれ努力が実って準備が整った時には、市区町村がワクチン接種に関わる可能性は大きいと思われます。定期接種や基金での実施となれば、ほぼ全ての市民が対象となる、かつてない規模の事業となります。このことについて、所見があれば伺います。

 

答:新型コロナウイルス感染症を予防できるワクチンがあれば、感染者を減らし、社会経済に及ぼす影響は最小限になりますが時間を要し、全市民に接種できる体制はいつになるか見込むことは現時点では難しい状況です。
ワクチンの供給がスタートした時点で、国の示す優先順位に従い、接種体制が築けるよう準備していきたいと考えます。

 

 

2.避難所の感染防止対策について

 

問:今年も梅雨の時期を迎え、台風シーズンへと入っていきます。台風に備えるのに問題となるのは、避難所での新型コロナウイルスの感染防止対策です。
 武田防災相は閣議後の記者会見で、自治体に対し避難所での感染予防のために多数の避難所の確保と、感染予防に効果のある物資を備蓄することを求めました。
 まず避難所の量的確保ですが、要は避難所1か所当たりの収容人数を抑えて、3密を避けるということでしょう。避難者を誘導する際に、1家族・グループごとのスペースを、安全な距離を取って配置すば収容人数は減少するので、学校なら体育館がいっぱいになれば教室に収容することも考えられます。さらにそこも満員となれば、他の施設を案内するなど適切な情報提供も必要です。そうして地域ごとに避難所で収容可能な人数を見積もって不足であれば、防災相の言うように追加の施設をあらかじめ手配する必要があります。

 他にも様々考えられますが、今年の台風シーズンまで残された時間は限られています。事前に起こりうる事態を想定して手順を定めておく必要があると思いますが、お考えを伺います。

 

答:新型コロナウィルス感染症の感染拡大が懸念されていることから、3つの密を避けた避難場所の運営を行う必要があります。
 このようなことから、地域安全課では台風などの災害への対策を万全とするため、避難所の運営に関し新型コロナウィルス感染症対策に係る内規を作成し防災体制の強化を図りたいと考えております。
 基本方針として、まず、市民への周知では、感染リスクの高い避難所へ避難するのでは無く、災害リスクの無い、親戚や知人宅への避難を推奨し、避難場所へ避難する場合には、マスクの着用や体温計の持参、状況に応じた車中への避難などを、市ホームページや市広報誌にて呼びかけていきます。
 避難場所の収容人数でありますが、これまでは国の通知等に基づき、1人3平米あたりの面積で収容人数を算定しておりましたが、新型コロナウィルス感染症のリスクがある中では、1人4平米以上の面積が必要と、国から改めて通知されていることから、小中学校においては、これまでの体育館に加え、教室等を活用し受け入れを予定しております。
 従前の手法で小中学校の体育館をすべて開放した場合には1,400人程度の収容となりますが、教室等の活用により、約3,000人規模の収容が可能となります。
 また、仮に教室等を活用したとしても、場所によっては、満員となる可能性もありますので、災害対策本部と避難場所とでの情報交換を密にし、ほっとメールやツイッターを活用し、避難者が円滑に避難できるよう、随時、情報発信を行っていきたいと考えております。
 次に、避難場所での受付ですが、避難者には検温と消毒の徹底をお願いします。
 また、検温や聞き取り等により、高熱やせきなどの症状がある方については、一般と要配慮者とは動線が別のスペースへ誘導し感染予防します。高熱やせきなどの症状がある方のスペースについては、学校再開後の影響を考慮し、プライバシーテントの活用や特別教室の利用を予定しております。
また、避難所においては、衛生環境の徹底が求められますので、定期的な換気や共用スペースの清掃、消毒を徹底し、共有のタオルや食器の使用は禁止とするなど、新型コロナウィルス感染症対策を講じた避難場所の運営を考えております。
 今後のこととなりますが、台風シーズンが訪れる前に、ソフト面の強化として運営に携わる職員の避難場所運営に係る訓練を開催し、防災体制の充実を図りたいと考えております。

 

問:物資の備蓄については、本市の新型コロナウイルス感染症対策事業に、すでに盛り込まれていると承知しています。ここではもう一つ防災相が挙げた、段ボールベッドについて伺います。
 日本の避難所の多くは床に直接毛布などを敷いて休みますが、世界では避難所での寝起きは簡易ベッドが標準です。日本には畳の文化があり、床での雑魚寝にあまり抵抗がありませんが、畳と床は違います。床上30cmは「ほこりゾーン」と言われ、そこで横になって休むと、ほこりを吸い込むことで呼吸器系の疾患や感染症となる恐れがあります。また床に座つての生活は、特に高齢者は立ち上がることが大変な人も多く、動かないことで足に血栓ができて、いわゆるエコノミークラス症候群のリスクが高まります。
 そこでわが国でも東日本大震災での反省から使われるようになり、平成30年の西日本豪雨災害で導入が進みました。段ボールは暖かく、揺れや振動を伝えにくい、いびきなどの音も和らげてくれる、昼間は腰かけて過ごせるなどのメリットがあります。
 また自治体にとってもコストが安く強度もある、大量生産でき全国どこでも製造業者があるので調達しやすい。さらには処分するにも、そのまま古紙としてリサイクルに回せます。
 このようにメリットの大きい段ボールベッドですが、災害時の供給について製造業者等と協定を結ぶ自治体が増え、約300に上っています。協定を締結すれば事前に購入して備蓄する必要がなく、発災後の要請で3日あれば届くとのことです。

 県内でも県、前橋市、高崎市、安中市、桐生市、館林市、みどり市、大泉町などが業者等と協定を結んでいます。県の協定に重ねて各市町が独自に協定を結ぶことで、迅速・確実に供給が受けられます。本市も段ボールベッドなど段ボール製品の災害時供給協定を業者等と締結するべきと思いますが、お考えを伺います。

 

答:段ボール製品を扱う組合、業者との災害時応援協定の締結については、段ボールベッド等の物資を大量に備蓄する必要がなく、また、いつ起こるか分からない大規模地震の発生等、長期的な避難所運営が必要となる場面において有効な手段と考えられます。
 このようなことから、全国段ボール工業組合連合会やその支部等を通じ、物資供給に関し協定を締結すべく、今後調整していきたいと考えています。

 

*上記は私的編集による概要となります。詳細については、くぼたまでお問い合わせいただくか、後日に藤岡市議会ホームページに掲載される録画映像か議事録をご覧ください。

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