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 9月議会が昨日で閉会となり、ようやく日常活動に戻りました。めっきり涼しくなってきた街に出て、訪問対話と街頭演説に頑張ってまいります。    

 今回の一般質問では高齢化社会に対応して、国が市町村に求めている「地域包括ケアシステム」の構築と、介護保険制度の改正による「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」(いわゆる「総合事業」)をこれから藤岡市が進めていくにあたって、この枠組みを使って高齢者の、とりわけ支援を必要とする高齢者の生活上の不便を解消する事業をどれだけ創出していけるかをテーマに質問しました。以下、少し長くなりますが一般質問の概要を掲載させていただきます。  

 

問: 藤岡市の現在の高齢化率は28.4%、後期高齢化率は13.4%、要介護認定率は16.4%。今後も高齢化率の上昇は必至であり、要介護者も増え続けていく。その負担は行政にとっても、また介護家族にも大変重いものです。  

 はじめに団塊の世代が後期高齢者になる9年後の平成37年の藤岡市の高齢化率と後期高齢化率はどう予想されているのか、また平成52年、2040年についても、その推計を伺います。  

 

答; 平成37年(2025年)ですが、人口61,247人、65歳以上の高齢者は20,419人、高齢化率33.3%、75歳以上の後期高齢者は12,008人、後期高齢化率19.6%と推計しています。  

 次に平成52年(2040年)は人口51,826人、65歳以上の高齢者は20,267人、高齢化率39.1%、75歳以上の後期高齢者は12,029人、後期高齢化率23.2%と推計しています。    

 

問: これに対応するために国が求めたのが、地域包括ケアシステムの構築と、介護保険法の改正による新しい介護予防・日常生活支援総合事業です。地域包括ケアシステムでは介護サービスと医療サービスが提供されるが、三つ目の柱が生活支援・介護予防です。独居高齢者や高齢者のみの世帯が増えていく中で、地域で生活する高齢者をどう支えるかが問われています。  

 そこで介護保険制度を改正して、これまでの要支援1および2の方に対する予防給付の一部を取り込み、市町村による介護予防・生活支援サービスを行うこととなったのが、新しい総合事業です。新しい総合事業の概要と、これまでの介護予防事業との違いについてご説明ください。  

 

答: 今回の介護保険法の改正に伴う新しい介護予防・日常生活支援総合事業は、これまで全国一律の基準で行われていた要支援者を対象とする介護予防給付のうち訪問介護と通所介護について、市町村が主体として実施する地域支援事業へ移行されました。既存の介護事業所による訪問通所のサービスに加えて、NPO、民間企業、ボランティアなど地域の多様な主体を活用して、高齢者の多様なニーズに対するサービスを拡大し、地域包括ケアシステムの構築を目指すものです。  

 次に従来の介護予防事業との違いですが、これまでの介護予防事業は、元気な高齢者を対象とした一次予防事業と虚弱な高齢者を対象とした二次予防事業に分けられていましたが、新しい総合事業では65歳以上の高齢者を対象に、その人の状態に合わせた様々なサービス等を提供する事業として、要支援認定者や基本チェックリストにより事業対象者となった人が利用できる「介護予防・生活支援サービス事業」と65歳以上のすべての方が利用できる「一般介護予防事業」に再編成され、高齢者の介護予防と日常生活の自立を支援するものとなっています。  

 

 問: 改正の大きな柱のもう一つである包括的支援事業は、改正後は地域包括支援システムの構築のために必要な事業や認知症対策のための事業もこの枠組みの中に取り込んで大きく拡充されたました。拡充されたものは在宅医療・介護連携推進事業と認知症施策推進事業、そして生活支援体制整備事業です。  

 まず在宅医療・介護連携については、地域包括ケアシステムを構築し、かつ機能させるためには優先の課題と考えます。藤岡市の取り組みについて伺います。  

 

答: 在宅医療と介護の連携は、地域包括ケアシステムの構築を進める上で非常に重要なことと考えており、医療と介護の連携を図るための取り組みを実施しております。  

 ひとつは、県のモデル事業として医療介護連携調整実証事業を実施しています。これは、介護が必要な高齢者が病院から退院する時に、病院とケアマネジャーがその人の必要な情報を記入出来る共通の様式を作成し、それを利用する事により退院後にスムーズに必要な介護サービスが導入でき、高齢者と家族の方が安心して在宅で生活できることを目的としています。現在、市、藤岡保健福祉事務所、ケアマネジャー、病院の相談員で協議しており、今年度中に様式を完成させ、来年度から利用できるよう検討しています。  

 次に、在宅医療・人材育成研修地域リーダー連絡会議です。この事業は、医師、看護師、ケアマネジャー、病院の相談員などと行政で、切れ目ない在宅医療・介護の連携を進めるために、研修会や意見交換を行っています。  また、切れ目ない在宅医療・介護の連携については、地区の医師会の協力が必要不可欠ですので、今年度から医師会と定期的に意見交換を行っています。  

 今後も、関係機関と協議を重ね、市民が安心して、在宅で医療や介護が受けられる体制の構築に向け取り組んで行きたいと考えています。    

 

問: 次に認知症対策について、認知症初期集中支援チームの設置と認知症地域支援推進員の配置について、現在までの取り組みの状況を伺います。  

 

答: 認知症初期集中支援チームについては市内の認知症疾患センターや医師会と協議をして、平成30年度の実施を目指しています。   

 認知症地域支援推進員の配置については、現在は市の保健師2名がなっていますが、今後は介護保険施設や病院の専門職にも必要性を理解していただき、認知症地域支援推進員を増員し、認知症施策を推進したいと考えています。  

 

問: 生活支援体制整備事業で国は市町村に地域ごとの課題を検討する第2層協議体並びに、第2層協議体を支援する第1層協議体の設置と、コーディネーターの配置を求めています。生活支援体制整備事業の概要および、協議体の構成員について、また現在の協議の状況を伺います  

 

答: 生活支援体制整備事業は、多様な主体によるサービスの提供体制を構築し、高齢者を支える地域の支え合い体制づくりを推進するもので、協議体や生活支援コーディネーターの設置等を通じて、住民目線で助け合いを基本とした生活支援・介護予防サービスが創出されるような取り組みを進めていきます。  

 次に協議体についてですが、第2層協議体は地区公民館単位で設置し、その地域の高齢者の困りごとや要望に合ったサービスの創出について、協議、意見交換します。構成員は区長会、民生委員、ボランティア団体、地縁組織、老人クラブ、警察、NPO、社会福祉法人などです。  

 第1層協議体は、第2層で解決できなかった課題について、市全体としての支援体制を協議するもので、構成員は区長会、民生委員、介護支援専門員、シルバー人材センター、商工会議所、警察、社会福祉法人、NPO、民間事業者などです。  次に現在までの協議の状況ですが、第2層協議体は平成28年3月に協議体のあり方についての勉強会を行い、その後2か月に1回程度で開催されています。具体的な協議内容は協議体によって異なっていますが、「高齢者の交流の場を増やす」「高齢者向けのニーズ調査を行う」「新たに生活支援の為の団体を発足させる」など様々です。  

 第1層協議体は平成28年5月に協議体のあり方の勉強会を行い、第2層の検討事例等を確認しながら意見交換を行っている状況です。  

 

問: 総合事業の介護予防・生活支援サービス事業については、すべての対象者が必要なサービスを利用できるように体制の整備が必要です。また要支援にまで至らないが日常生活において困難を抱えた状態にある方々に対してもサービスが行われることは、特に一人暮らしや高齢者のみの世帯の日常生活の支援となるとともに、元気な高齢者がボランティアなどとしてその担い手に加われば、介護予防としての効果も高まります。  

 この事業における訪問型サービスでは、多様なサービスとして要支援の高齢者と、要支援まで至らないが困難を抱えた高齢者に対しての家事援助や、ゴミ出しや電球交換などのちょっとした困りごとへの対応などは、元気な高齢者を含むボランティアを中心にした住民主体による介護予防・生活支援の体制を作ることが、生活圏での地域包括ケアのあり方として重要と考えます。  

 家事援助や生活の場面における困りごとを解決するために、訪問型サービスとして有償ボランティアを含む住民主体による事業を実施する考えがないか伺います。  

 合わせて事業主体として民間企業やNPO、協同組合、シルバー人材センター、社会福祉法人等の既存の社会資源による、緩和した基準によるサービスが実施されれば、選択の幅も広がり、また様々なサービスが実施できると考えますが、お考えを伺います。  

 

答: 住民主体による訪問型サービスについては、生活支援体制整備事業における協議体で、地域の実情に応じた住民参加型の支援体制を検討することが望ましいと考えています。また、困りごとを抱えた高齢者が、無償ボランティアによる支援だと頼みづらいという声もある中、有償ボランティアによる支援は有効な手段の一つと考えていますので、今後協議体で検討していきます。  

 次に、緩和した基準によるサービスについては、現在は高齢者自立センターで緩和した基準によるサービスとして訪問型の生活援助等を行っています。今後は高齢者が社会参加できる機会の創出と多様な支援ニーズの両面を総合的に検討し、緩和した基準によるサービスを創出していく予定です。  

 

問: 加齢により視力の低下した高齢者に対する代読・代筆支援について、私が平成28年第1回定例会の一般質問で伺ったところ、総合事業の中で検討する旨の答弁がありました。改めて代読・代筆支援を訪問型サービスの中で実施していく考えがないか伺います。  

 

答: 代読については個人情報の守秘義務等の問題もあるが、基本的には支援が検討できると考えています。ただし、代筆はその内容によっては後にトラブルになる可能性も考慮し、支援する範囲を協議体で議論していきたいと思います。  

 

問: 車社会で公共交通が衰退した群馬県では、自動車を運転できない高齢者は、通院や日常の買い物にも苦労しています。このことについては私も平成22年第5回定例会で乗り合いデマンドタクシーの導入について質問し、また何人かの議員から高齢者向けタクシー券の導入を求める質問もされています。この問題を総合事業の中で訪問型サービスとして、現在の介護保険でのサービスより幅広い対象者が、より広い目的で利用できる事業を実施する考えがないか伺います。  

 

答: 訪問型サービスによる移動支援の利用者の範囲や目的については、道路運送法における登録又は許可を有しない、いわゆる白タク行為に該当しないボランティアによる移動支援サービスが協議体によって創出された場合には、要介護認定者に関わらず利用者の範囲や目的の範囲を広げることが検討できると考えています。ただし、ボランティアによる移動支援をする場合には、事故等の安全面など検討課題が多くありますので、協議体で慎重な議論を重ねたいと思います。  

 また、福祉有償運送による移動支援をする場合は、道路運送法で定められているため、利用者の範囲等を広げることはできず、対象者は、要介護認定者、要支援認定者及び事業対象者に限定されます。  

 移動支援は、要望の高いサービスだと理解しておりますが、安全面等を考慮した効果的な方法を検討していきたいと考えています。  

 

問: 通所型サービスについても訪問型サービス同様に、住民主体による支援を中心に行うことがより効果的であり、地域の活性化にも有益であると考えます。公会堂、また空き家や空き店舗を利用するなどしてサロンを常設して、ボランティアと住民主体の通所型サービスを提供し、またコミュニティカフェとしても機能させることによって、デイサービスと同時にボランティアの拠点として地域との交流も生み出せると考えるが、伺います。  

 

答: 交流拠点を地域に置く方法は、サロンやコミュニティカフェなどがある中で、まずは地域の集会所を中心に開設することについて検討したいと考えています。  

 ただし、集会所まで遠くて通うことができないなどの場合は、地域の実情に応じて空き家や空き店舗を活用するなどを検討していく予定です。  

 第2層協議体では、地域の交流の場をテーマに検討している地区もあり、すでに市内でサロンを立ち上げた方から話を聞き、開設に向けて協議しているところもあります。  

 交流については、高齢者に限らず多世代の交流ができる仕組みづくりも含めて協議していき、地域のコミュニティが活性化するように進めていきたいと考えてます。  

 

問: サービスによっては民間企業と協働したほうが、その企業がすでに築き上げたノウハウや流通・販売網を利用できて、スムーズに実施できると考えます。たとえば独居高齢者の見守りは民生委員の努力などで行われているが、頻繁な訪問は難しいと思われます。そこで民間企業との協働で、定期的に見守りを行っている自治体がすでに全国で数多くあります。  

 乳酸菌飲料販売会社が全国142の自治体と協定を締結して、4万5000人を超える高齢者に約3400人の女性販売員が定期的に商品を届けています。その際に会話などをして安否を確かめ、異常のある時は関係先に連絡することで成果を上げているのです。わずかな費用で企業が築き上げてきた販売網とノウハウを利用しての見守りを、その他の生活支援サービスとして実施するべきと考えますが、伺います。  

 

答: 独居高齢者は年々増加しており、群馬県のひとり暮らし基礎調査によると、藤岡市は平成22年度から平成27年度までの5年間で約1.4倍に増加しています。現在藤岡市では、民生委員や在宅介護支援センターの職員による訪問活動をしているとともに、配食サービスを委託している給食事業者や宅配事業者による見守り活動を実施しています。今後はより多くの社会資源を活用した見守りネットワークの構築について検討していきたいと考えています。  

 

問: 商店の減少により買い物弱者となってしまった高齢者は、山間地ばかりでなく、市内全域で増えています。体力が衰えたり足が悪くなったりしてしまえば、市街地であっても商店まで歩くことができません。そこで食材配達や食品等を宅配している業者と協働して、安心して利用できる環境を整えることが必要と考えますが、お考えを伺います。  

 

答: 生活支援体制整備事業では、住み慣れた地域で安心した生活ができる仕組みづくりを検討しています。高齢者の買い物ニーズに関しても、宅配や買い物代行、移動販売、送迎付き買い物支援など様々です。そこで、社会資源の洗い出しや足りないサービスの創出等を検討していき、多様な民間サービスやボランティアによる支援を一つにまとめて、在宅高齢者が自分に合ったサービスを選択できるような方法を検討したいと考えています。    

 

問: 買い物はカタログなどで選ぶだけではなく、商品を手に取って自分の目で選びたいという希望も、当然の声です。現在も山間地を中心に移動販売業者が営業しているが、高崎市のように移動販売業者と協働して営業してもらうことで、その需要に対応できます。また自分で商品を手に取って選んで買い物をすることは、介護予防にもつながると考えますが、伺います。  

 

 答: 移動販売は、買う側が自分の目で見て買い物が出来るほか、見守り活動にもなる有効な手段だと考えております。地域の実情に合わせて効果的な方法を協議体で住民の意見を聞きながら検討したいと考えています。  

 

*上記はくぼたの私的編集による概要です。詳しくは後日に議会ホームページに掲載される議事録をご覧いただくか、くぼたまでお問い合わせください。なお質問の録画映像も1週間後くらいには、同じく議会ホームページで公開されます。

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