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10月8日

会派合同で茨城県筑西市と東京都千代田区へ、日帰りで視察研修に行ってまいりました。途中で群馬県の東京における情報発信の拠点である、「ぐんまちゃん家」にも短時間でしたが立ち寄ってお話を伺い、1日で3か所を回るというハードスケジュールになりました。

  1か所目の茨城県筑西市ではデマンドタクシー事業を視察しました。筑西市は旧下館市を中心に平成17年にできた合併新市で、人口は10万8千人余り。合併協議の中で新たな公共交通システムの構築が課題とされ、検討の結果乗り合いデマンドタクシーが平成19年10月より運行されています。なお運行開始後、公営の福祉バス・送迎バスは廃止。更に20年3月には市内の民間路線バスも全て廃止され、市内の公共交通機関は、鉄道以外ではこのデマンドタクシーのみとなっています。

 事業主体となっているのは、小売店の協同組合である日専連しもだて。予約センターの運営も行っており、市はこの事業に公共性を認め、運行経費を補助金として助成する形を採っています。車両の運行については、日専連しもだてから市内のタクシー事業者に運行を委託しています。予約センターが市民からの利用申し込みを受け付け、コースを組んでNTTのiモードを利用したシステムの端末を各車両に設置し配車情報を送信。各車は配車情報に従って利用者を送迎します。使用車両はセダン型5台、ワゴン型3台、ジャンボ型2台のタクシーを使用しており、配車を受けないときには通常のタクシー営業車として各社で使われています。

 利用できるのは筑西市民に限られ、事前の利用登録が必要です。年齢制限も利用目的の制限もなく、自宅近くに迎えに来てもらい友人宅などへの訪問にも利用できます。運行エリアは市内のみですので、市外への通院などに利用することはできません。利用に際しては予約センターに電話で利用の2日前から1時間前までに予約します。

 運行は祝日と年末年始・お盆期間を除く月曜から金曜の8時から17時まで(最終便は16時発)。30分刻みに17便があり、10台で運行しているので最大170便があることになります。利用料金は1乗車につき大人300円、小人200円。利用は現金ではなく、事前購入した10枚つづりのチケット制となっています。

 利用状況は現在登録者数が1万1000人ほどで、21年度延べ利用者は3万8000人余り、運行開始以来現在まで延べ11万4000人余りが利用しています。最近では1日に平均160人ほどが利用しており、その約8割が60歳以上の高齢者ということです。利用目的地のランキング上位には病院、高齢者福祉施設、スーパーマーケットが並んでおり、高齢者の生活の足として活用されていることがわかります。

 一方で大きな課題はその財政負担の大きさです。21年度の市の補助額は5831万円余りですから、1人1乗車で約1,530円余りを市が支払っている計算になります。

 こう考えると高い乗り物ですが、しかし代替路線バスを市で維持していくことを考えれば、効率は良いはずです。今回の視察では時間の制約もあり、廃止となった福祉バス等の公営バス事業経費、高齢者福祉タクシー助成などとのトータルな比較はできませんでした。しかし筑西市では民間路線バスが事業導入前にはあったということで、この事業を導入せず、民間路線バス廃止後に代替バスを走らせた場合の維持経費などを考えれば、おそらくこの事業の導入はコスト的にも正解だったのではないでしょうか。またそれに加えて、多くの高齢者が安い料金で気軽に移動できることで、買い物による経済効果や介護予防にもなるなどの効果も期待できます。

 しかし筑西市には先進自治体ならではの苦労もあり、コスト面では配車システムをNTTからのリースによることで、年間1000万円以上の負担を強いられています。また導入前の広報不足から、乗り合いデマンドタクシーへの市民の誤解・無理解があり、通常のタクシー並みの対応を求められるなど多くのクレームへの対応に追われています。

 藤岡市での導入については、藤岡市では山間地を多く抱える事情もあり、高齢者の移動手段が不足していることは大きな問題となっています。民間路線バスの廃止後に代替バス運行事業を行っていますが、21年度の市の負担は5718万円余りに対して、乗車人員は29300人ですから、1人に約1950円余り支払っていることになり、特に高山線については、なんと1人約4000円近くもかかっています。しかも代替バスは県道などの主要路線を走るわけで、当然乗客は自宅からバス停まで、自由乗降であっても道までは歩いてこなければなりません。経費が安い上に使い勝手が良いのですから、乗り合いデマンドタクシーは市民にとって優れた交通システムといえます。ネックになっている配車システムの経費については、自前のサーバーにこだわらなければ、東京大学大学院が開発したコンビニクルシステムを採用すれば、年間100万円ほどの負担ですみます。コンビニクルシステムはインターネットを利用したクラウドコンピューティングで、複数の自治体でサーバーを共有するもので、非常に安価で利用できます。仮に筑西市がこのシステムを採用すれば、システムの負担を900万円以上抑えることができ、1人あたりの輸送コストは1300円足らずで済むことになります。

 藤岡市にコンビニクルシステムによる乗り合いデマンドタクシーを導入した場合、筑西市とは地理的条件などに違いがあることから、直ちに同様の成果を挙げられるとはいえませんが、藤岡市の条件にあった運行車両台数や便数、利用条件などを工夫することによって、現状を改善する効果はあると考えます。

  東京都千代田区では区立千代田図書館のweb図書館を視察しました。千代田図書館は区役所の入るビルの2つのフロアを使用しており、区のゲートウェイ施設として、神田に代表される出版文化を中心として区の紹介を行うガイダンス施設でもあります。

千代田区は言うまでもなく日本の政治・経済の中心地ですが、人口は東京23区中最少の46849人と、群馬県内12市最少のみどり市より少ない人口です。それに対して昼間人口は約85万人と、夜間人口の18倍以上という地域です。そのためこの巨大な昼間人口、つまり区内在勤・在学者に対する行政サービスが欠かせないため、その中心であるビジネスパーソンへのサービスに力を入れています。図書館の運営は指定管理者である民間企業3社のコンソーシアムが受託しており、民間運営ならではの22時までの開館を実現していることから、会社帰りの利用も容易にできる環境になっています。

 この図書館の最大の弱点は、図書の収蔵スペースが制限されていることで、蔵書数15万冊は区立の図書館としては少ないといわざるを得ません。また分館を建設するにも、多大な費用がかかります。この問題解消が、web図書館導入の最大の理由のひとつです。web図書館はウェブサイト上のデジタルコンテンツとして電子図書を提供するもので、物理的なスペースはサーバーを1台設置するだけで済みます。現在のコンテンツ数は約4600あり、3部ずつ購入しています。4600冊の図書を開架式の書架で展示すると、通常多くの図書館で使用している6段のもので13本分になるということです。

 web図書館の利点は多く、その他に①24時間365日、自宅を含めて館外から利用が可能であること②学習参考書や問題集などの貸し出しが可能で、行政資料や貴重な図書などの提供も可能③図書館共通の課題である、本の汚毀損、紛失、延滞の防止ができる④人員増の必要が無い⑤画面上で文字の拡大が可能で、音声読み上げ機能つきのコンテンツなどもあり、高齢者・視覚障がい者などが利用しやすいなどがあります。

 現在利用登録者数は6363人、サイトへのログイン回数は月平均1000回、貸し出し回数は月平均500~600とのことです。

 課題はコンテンツの収集が思うように進まないことで、購入可能な電子図書の中に、図書館が望むものが意外に少ないということです。購入は著作権の処理の済んだものを専門業者から購入しているのですが、人気作家のベストセラーなどになると非常に高価になってしまい、通常の書籍の3倍から10倍ほどの価格になっています。なお著作権切れの作品は、一般書籍より安価で購入できます。

 導入の初期費用はシステムに500万円ほどであり、コンテンツに費用がかかる面はありますが、新館を建設することと比較すれば、千代田区にとっては良い選択だったと思われます。

 web図書館を藤岡市に導入するかどうかについては、近い将来の課題と考えます。藤岡市は山間地も多く、市街地にある市立図書館への交通アクセスが良いとは言えませんので、自宅からインターネットでアクセスできるweb図書館は価値があると思われます。市内のブロードバンド回線の整備も進み、高齢者でインターネットを使えるデジタルシニアが48パーセントを越えたといわれる現在、その導入条件は整いつつあるように感じます。また電子書籍の機能から高齢者や障がい者が利用しやすいという点も重要です。

 しかし、山間・遠隔地へのサービスは現在も移動図書館ふじ号で行っており、今後も可能な限り続ける必要があると考えます。また交通アクセスの改善は、先に挙げた乗り合いデマンドタクシーの導入など、交通システムの改善によることも可能です。視覚障がい者へのサービスも、現在も点字・録音資料の提供を行っているなど、現状のサービスや取り組みを充実させるほうが、現時点においては効果が高いと考えます。

 一方で最近のインターネットを通じて提供される様々なサービスの動向や、出版界の動きなどを見ると、近い将来には公立図書館も対応を迫られる時が来ると思われます。技術的に難しいものではないようですので、この事業が必要とされる時がきたときに市民のニーズに的確に応えられるように、課題としての認識が必要と考えます。

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藤岡市 窪田行隆
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