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 高齢の働き手が増えるに伴い、60歳以上のシニア世代で転倒事故などの労働災害が増加している。このため厚生労働省は6日、企業に対し労災の防止策を努力義務とする案をまとめ、早ければ来年の通常国会に関連法の改正案を提出する方針だ。シニア世代の労災事故の現状と政府の対応を解説するとともに、公明党の取り組みについて浜地雅一厚労部会長(衆院議員)のコメントを紹介する。

■来年の法改正めざす厚労省/対策実施、企業の努力義務に

 働くシニア世代は増加傾向にある。60歳以上の雇用者は2023年に1138万人に上り、03年の510万人と比べ20年で2倍以上に増えた。

 これに伴い労災事故も多くなっている。昨年、仕事中の事故で死亡や4日以上休むけがをした60歳以上は3万9702人に上り、8年連続で過去最多を更新した。また、60歳以上の働き手は、雇用者全体に占める割合が18・7%なのに対し、労災事故で死傷した人は29・3%に上り、事故に遭う率が高い【グラフ参照】。

 シニア世代の労災事故は主に加齢による体力の低下などが原因とされている。これまでの事例には、工場で清掃作業中の女性がぬれた床で滑って転倒し、右手を骨折したケースや、ベテラン職人が敷かれた合板と地面の2・5センチの段差につまづいて転倒し、内臓を損傷して翌日亡くなるケースなどがあった。加えて、ベテランに対して「経験豊富で若手よりけがをしにくい」といった企業側の先入観が対策を手薄にしているとの指摘もある。

 このため厚労省は20年、設備や装置などの安全対策に加え、労災事故につながりかねない事象「ヒヤリハット」の調査・分析、シニア就労者を対象にした定期健診や体力チェックなどを柱とする指針「エイジフレンドリーガイドライン」を策定。対策に取り組む中小企業などに最大100万円を支給する補助金制度の活用も促しながら、安全確保策を進めている。

 このうちハード対策では、段差解消や手すり・スロープの設置による転倒防止策、夏季に涼しい休憩場所の設置、警報音を聞き取りやすくするなどの取り組みを後押し。一方、ソフト対策では、就労者の健康状況に合わせ、勤務する時間帯を柔軟に変えたり、作業スピードを遅らせるといった対応を促している。

 ただ、こうした取り組みを推進する企業は多くはない。厚労省の調査によると、シニア世代を採用する企業は8割近くに上っているが、労災防止策に取り組む企業は2割に届いていないのが現状だ。

 取り組みが遅れている企業へのアンケート調査では、「自社の60歳以上の労働者は健康だから」との回答が5割近くあり、労災リスクに対する認識が弱い実態が浮き彫りとなっている。

 こうした現状を受けて厚労省は6日、政府のガイドラインで示した労災防止策を、労働安全衛生法に基づく企業の努力義務とする案を同省の審議会に提示、了承された。改正法案は来年の通常国会にも提出される。

■一層きめ細かい取り組み必要/安心の就労環境へ全力挙げる/党厚労部会長 浜地雅一衆院議員

 雇用者全体のほぼ5人に1人が60歳以上となる中、労災事故からシニア世代の働き手を守る対策の強化が何よりも重要です。

 これまで公明党は、シニア就労者のニーズに応じて安全対策を強力に推進。今年4月2日の参院厚労委員会で公明党の杉久武氏が、シニア世代の労災防止対策の強化を訴えたのに対し、宮崎政久厚労副大臣(当時)から安全と健康の確保について「対策に万全を期す」という回答を引き出すなど、取り組みの加速を促してきました。

 一方、多様な働き方の拡大で、シニア世代の女性就労者も増加傾向を示しています。厚労省の調べでは、女性における60歳以上の労災発生率は30歳代のそれと比べ約4倍になるというデータもあり、一段ときめ細かい対策が欠かせません。

 今後は、安全対策を具体化するためのガイドラインの周知徹底とともに、このガイドラインに企業の努力義務とする法的根拠を与え、適切かつ迅速な対応を後押しすることも求められます。

 また、安全対策に向けて企業が自社の設備や装置の改善を行うための財政支援の拡充も検討項目です。ハードとソフトの両面で、官民挙げた有効な対策が講じられるよう一層努めていきます。

 誰もが年齢にかかわらず、意欲や能力に応じて生き生きと輝ける社会の実現へ、公明党は引き続き、シニア世代が安心して就労できる環境整備に全力で取り組んでいきます。

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長生村 井下田政美
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