バックナンバー 2020年 6月

これ、3月に書いていたものですが、落ち着いて議論できる状況になったと思うので…出します。

以前、私が「通勤電車を3密として扱わなかった」ことについて、ご批判も受けました。早速、その回答を進めましょう。

 
まずは頭の中で「3密」の「論理」を整理し、次に現場の様子で示したいと思います。
(1)3密の論理
3密とは
①密閉空間:換気が悪い空間
②密集場所:多数が集まる場所
③密接場面:間近で会話や発声をする場面
とされています。

 
単純な話です。①②は「空間の状態」ですが、③は「行為」そのものです。つまり次元が異なります。
カラオケも、ライブハウスも、通勤電車も①②に該当します。しかし、(いわゆる一人カラオケは別ですが)カラオケやライブハウスは歌ったり、声援を送ったり、騒いだりすること自体が目的で、その空間の存在意義自体が③に直結するので、①②と合わせて3密と言い切れますが、
通勤電車の目的は③に直結してますでしょうか?…してません。
歌ったり、騒いだりするために通勤電車に乗るのでしょうか?…乗りません。
これらを「同じ密として扱う方が、本来は論理的ではない」と考えています。

 

 

しかも、ここに「時間」を考慮しますと、ライブやカラオケが最低でも1時間、2時間(クラブだと夜通し?)その場にいるのに対し、通勤電車で、同一の車両に長く乗るケースとして、千葉駅から東京駅までの快速列車を考えても、所要時間は43分です。
(なので、1時間以上議論し続けてから換気を行う会議室の方が、よほどハイリスクです。)
今回の新型コロナウィルスの感染は、麻疹のような空気感染ではなく、飛沫感染や接触感染によると考えられています。

 

 

このように考えると、①②自体では「状況」なので感染するとは限りませんが、③は「行為」そのものなので、どのような空間でも感染に導く可能性が高い、とも考えられます。
だから3密だけでなく、どこでも「接触」を控えるべきなのです。
その意味において、「接触8割減」を訴え続けた政府の打ち出しは、正しかったと思います(ただし、数式から導かれるのは6割で、8割という数字はN先生の「決断」ですよね。)。
つまり、通勤電車でも話さず、接触せず過ごした場合と、
職場で対面でランチを採ったり、打合せブースの中で、対面して激論を交わしたり、OA機器を共有する場合とでは、どちらが感染リスクが高いかは、考えると分かりそうな気がします。
しかし、前者を警戒しながらも、後者には無頓着な印象があります。
では、通勤で話したり、騒げばリスクは高いではないかと思う方もいるかもしれません。でも、実際にそのような方はどれほどいるのでしょうか。

 

 

 

 
(2)3密の現場
4年前、千葉都市モノレールで丸々1年間、通勤し続けましたが、 通勤電車が3密と考える立場からだと、問題にしたいのはモノレールのような規模のレベルではなく、東京を中心とした首都圏の電車・地下鉄でしょうが、私が東京で地下鉄で通勤していたのは10年以上も前のことです。
なので、最近の通勤事情を厳密に把握していません。そのうえでの話であることを承知していただいて、進めます。

 

 

通勤電車の中で、特に首都圏の朝のラッシュが話題になるので、それをイメージしますが、そこで話したり、大騒ぎすることの方が「圧倒的に少数」だと思います。
それを強く思ったのが、まだ3月の終わる頃、S大学のK教授によるSNSでの何気ない「つぶやき」でした。

(K教授は犯罪心理学者で、疫学や感染症の専門家ではありませんが、私が前職で「行動観察」を学んだ際の、私にとっての「先生」でした。)
以下、引用です。

 
(一般的に)通勤電車こそ感染リスクが高いと指摘されていますが、感染場所が電車内であろうとされる例はないようです。
そこで観察結果を報告します。
①マスク着用率が非常に高い。
②誰も喋らない。
③立っている人同士は正対していない。多分以前からそうだったはず。
④座っている人とその前に立つ人は正対しているが顔同士の距離は案外保たれるし、高さが違う。
⑤半数くらいがスマホを見ており、口、鼻もスマホに向いている。
結果、対面して喋るのが最もリスキーという仮説が成立する。
仮説が正しければ、禁止すべきは、デート、ツインルーム・ダブルベッド、カウンターバー、寿司屋のカウンター、スナック、キャバクラ、対談…

 

 

 
これは専門的な調査ではなく、K教授が自らが利用されている通勤電車での光景をまとめたものですが、「さすが」の一言に尽きます。
以上、3密の「論理」と「現場」という観点で、長々と提示しましたが、私は
首都圏の通勤ラッシュにリスクがない、などとは言っていません。
通勤ラッシュ=ハイリスクの3密ではなく、
通勤ラッシュに、間近な会話や発声が加わらないと3密とは言えず、
逆にラッシュではなくとも、電車で、例えば帰路で同僚と一緒に乗り込み、近距離で対面して、電車の音に負けないように声を張り上げて、夢中で会話をする、そんな光景が散見される車内というのはハイリスクの3密だと考えます。

 

 

ですから、最悪なのは、2月か3月にあったニュースで、マスクを着けていない乗客をとがめて、乗客同士がもめて、大声で怒鳴りあった事案(最後は電車まで止めてしまった)。
注意するどころか、一番やってはいけない行動ですね。
…あ、ちょっと、くどいですね。

 

そして、以前の投稿(第2波へ向けて①)で、千葉市内の感染状況において、東京都内勤務者の感染が大変多いことを数字でもって示ししました。

私はその数字を以下のように理解しています。

 

 

わずか9%程度の都内勤務者が、当初のように市内感染の半数以上を占めたり、4割前後で推移したことは、その市内感染における「割合」として明らかに特記すべき事項ですが、

通勤電車そのものが感染源であったり、即ハイリスクであれば、千葉市内に87,000人以上いる都内通勤者(車両通勤も含む)の数、あのラッシュの光景から考えると、それこそ、この程度の感染者数では済まされないはずで、「第1波においては」そこが感染ルートとはとても考えられないかと思います。
それを感染源かのように見なすのは(絵的な)先入観だろうということです。
(普段、利用されない方が首都圏の通勤ラッシュを経験すると、「これで感染しないわけがない」と思いたくなるくらい、そのように思うのも無理のない、空間的には異常な光景ではありますが。専門家と称している方が、そのような「印象」で発言するのはいかがかと思います。)

 

 

 

実際、首都圏の通勤時間帯に大声で話している人は、(恥ずかしながら当方も経験がありますが)地方から同僚と一緒に仕事で首都圏に来た方々では?と言ったら言い過ぎでしょうか。
それは日常的ではありません。
いずれにせよ、通勤ラッシュでなくとも、「行為」と空間の条件によって感染リスクは、どこでも高くなりますし、どこでも低減させることは可能だと考えています。
新しい生活様式を考える際に、○○という場所は大丈夫、●●という場所はダメ、ではなく、一つ一つ丁寧に、持続可能な感染リスク低減策を考えていきたいと思います。

 

 

 
今回の投稿は前回の投稿の続編です。
よろしければ、以下のアドレスの前回投稿分をどうぞご覧ください。
「第2波へ向けて①:都内勤務者の感染と「千葉都民」伝説」です。

https://www.komei.or.jp/km/chibacity-sakurai-hideo/2020/05/25/%e5%b8%82%e5%86%85%e6%84%9f%e6%9f%93%e7%8a%b6%e6%b3%81%e3%81%ae%e6%a0%b9%e6%8b%a0%e2%91%a0%e9%83%bd%e5%86%85%e5%8b%a4%e5%8b%99%e8%80%85%e3%81%ae%e6%84%9f%e6%9f%93%e3%81%a8%e3%80%8c%e5%8d%83%e8%91%89/

新型コロナウィルス感染防止対策が始まって以来、学び方も様々な方法になりましたが、ありがたいことに、児童虐待対策については一貫して機会に恵まれました。そこで、御礼を兼ねて際立ったものについて。

 
写真は、朝日新書「児童虐待から考える」などの著者でルポライターの杉山春さん。
最近では目黒区や野田市での虐待事件の裁判を傍聴し、継続的かつ丹念に取材されてきており、なぜ支援や保護が機能しなかったのか、行政、制度とは異なる視点から。

 

 
また、同じく朝日新書「ルポ 児童相談所」の著者で朝日新聞編集委員の大久保真紀さんの講演を、オンライン研究会で拝聴。
話題は海外の取り組みにまで及んで、大変勉強になりましたが、特に弁護士さんとの質疑がとても参考になりました。

 
そして、最後は写真も資料もありませんが、無名の千葉市の住民。
最近の千葉でも「?」と思うような事案が報道されたりしますが、必ずしも詳細が把握できるわけではありません。
それでも、地域住民の方から生の情報をいただくことが、本当に多くなりました。
以前は当事者の方でしたが、最近は支援をされていた周囲の方から、当該家族への関わり方を振り返ったり、自分たちの認識と行政や報道の認識がかけ離れていたりすることへの戸惑いなどが寄せられています。

 

 
そんな中で、千葉市や千葉県における虐待対策の今年度予算については、私はやや懐疑的に執行状況を注視している状態です。
センセーショナルに取り上げる気はないので、慌てず丁寧に取り組み、ご指導・御教示いただいた方々に恩返しできるように、効果的な虐待対策に結び付けていきたいと思います。

昨日始まった定例会では、超高齢社会調査特別委員会の委員長報告も行われました。
写真は、委員長報告にもあった「高齢者の外出支援策に係る提言」を取りまとめ、緊急事態宣言解除の5月26日に市長あてに提出した場面です(写真は副市長。提言内容は下記アドレスで公開されています。)。
副委員長を務めさせて頂き、昨年の台風被害や今年の緊急事態宣言下でも通じて協議を重ねてこられたのも、全ての会派が協力した頂いたおかげです。ありがとうございました。
本定例会から、様々な委員会で新たな体制が組まれます。
https://www.city.chiba.jp/shigikai/gijika/documents/020526_choukourei-teigen-honbun.pdf

8日(月)から千葉市議会第2回定例会が始まりました。
写真のとおり、白い紙が貼られた傍聴席を空けるようにしたり、議場も2つのグループに分かれるなど、3密回避のための工夫を施しています。
形だけでなく、自らの行動様式を省みて行動したいと思います(意外に難しいことですが)。
児童も、顔を見合わせずに静かに給食を摂っていたり、昼休みの校庭使用も2グループに分かれているとか。
大人も取り組まねば、と思っています。

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稲毛区 櫻井秀夫