(twと違って、FB、LINE、HPではかなりの長文になります。)
本図書館は、犯罪予防や犯罪者・非行少年の処遇など刑事政策に関する日本で唯一の専門図書館として、東京都中野区に1967年に開設されました。
明治期以来の貴重な生々しい文字資料だけでなく、江戸期からの絵図、刑具・戒具などの現物も保有し、現在では、他に類を見ない刑事政策関係のデータベースも整備されており、学術界から国内有数の水準として認められている図書館で、この分野の研究・研鑽には欠かせない存在です。
個人的にも、在職時は現在の立派な建物になる前から利用し、遠隔地からの資料請求はもとより、何かと発表・報告する際に必ず参照する出発点でしたし、退職後も引き続き利用させていただいております。

本日は、「中野のまちから刑罰の源流をさぐる」と題した國學院大の高塩博教授による日本法制史の立場からの講演会も拝聴しました。結論から言えば、感嘆。
http://www.jca-library.jp/tokubetsutenji2017.html
講演内容を極端に単純化してまとめると、明治5年から採用された懲役刑は、明治初年に既に「徒刑」として制定されていましたが(ただし部内規程のような位置づけ)、その淵源は熊本藩による1775年(宝暦5年)の「刑法草書(くさがき)」の制定にあり、その内容も、現在の社会復帰理念と通底している、といったものであろうかと思います。
なお、「民法」や「商法」は明治以降に造られた用語のようですが、「刑法」は、現代と同じ意味ではこの「草書」が最初の用法で、「熊本から起こったとみてよい。」と述べられていました。
(…「刑罰」や「懲役」が専門ではない私の理解には、基本的な誤認があるかもしれません。恐れ入ります…)

権力は自らが暴力性を有しながらも、暴力を封じ込める性質も有するという、権力の存在意義にかかわるこの両義性は永遠のテーマですし、矯正施設は社会的包摂なのか排除なのか、という最近の(私の勝手な)テーマ、さらには、特に10年以上もの間、施策的に「刑罰」と「教育」が対比的に語られすぎていたり、それらが(特に日本の)歴史に基づいていない議論になりがちな印象を感じていましたが、今日の講演でかなり視界が晴れました。

終わった直後に、会場でお会いした前職時の先輩というか、研修同期の方とともに、興奮気味に講演内容を話し合いましたが、そのような情報や意見を交流・蓄積できる場となる貴重な矯正図書館が、今後も益々発展されることを祈念してやみません。
(会場で関係者の方に、「FB見てますよ」との言葉を戴き、思わず気合い入れすぎて、長文になりました(汗))

なお、図書館が附設する刑務所作業製品展示・販売ルーム(いわゆるCAPIC販売)では、288万円(!)のお神輿ではなく、大人気「〇獄シリーズ」の小袋710円を購入し、会場を後にしました(ある大学教授は、海外の方へのお土産として最適だとして、常に買い込んでいます。)。

その後に、杉並・練馬・板橋の雨の東京御挨拶行脚へと向かいました。

 

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