ノーベル賞 山中教授の講演 in公明党本部
今月18日、ノーベル医学・生理学賞を受賞された山中伸弥教授が「公明党・再生医療推進プロジェクトチーム」の会合で講演を行って頂きました。
さて、「時の人・山中伸弥教授」が超多忙の中、何故わざわざ公明党の会合に来て講演をして頂けたのか?・・・その背景と講演の概要は以下の通り。
1.「国の支援により」世界トップを走っている
この5年間の”国の支援”で、日本はiPS細胞を使った再生医療で世界トップを走っている。
パーキンソン病や眼疾患、心疾患などの分野では、近く臨床研究が始められる段階まできている。
血液疾患については、血小板や赤血球を作ることに成功しており、あとは量的な問題。大量生産できれば、いつでも治療できる状況。
脊髄損傷についても、(一日も早く人間の治療につなげたいところであるが)数年後には臨床試験を始められるのではないか。
※自公政権時代(2003年)に始めて関連予算を確保(6年間で3億円)。2007年にiPS細胞作製に成功したことを受け、2008年度から毎年45億円以上の支援を実施。09年補正予算では、山中教授ら最先端の研究者30人にそれぞれ5年間で100億円規模の資金提供を決定。公明党としても(マニフェストにこの再生医療分野への支援を掲げるなど)牽引、後押しを推進してきました。…ところが09年夏に政権交代した民主党政権は、事業仕分けで山中教授への資金を半減、研究費カットをしてしまいました。(山中教授は、当時の取材で猛抗議していたことは言うまでもありません。)
2.細胞ストック計画
iPS細胞は患者本人から作れるので、倫理的な問題や免疫拒絶はない。しかし、一人当たり1,000万円を超える費用と半年近い時間がかかる。
そこで、あらかじめ他人の細胞からiPS細胞を作っておく再生医療用の「iPS細胞ストック」という計画を進めている。
ソース(原材料)として一番いいのは「さい帯血」で、一人から作ったiPS細胞を何万人にも移植できる可能性があり、経済的効率も非常に高い。しかし他人の細胞のため、拒絶反応が起きてしまう。
これを克服するのがHLAホモドナー。(少々難しいですが…)このHLAホモドナーを持つ一人からiPS細胞を作ると、日本人の場合、20%がカバーされる。(日本人の90%をカバーするには140人のドナーを見つける必要がある。)
しかしながら、この140人を探すのには、20万人もの日本人のHLA型を調べなければならず、膨大な費用と時間を要する。
そこで、5〜10人のドナーを見つけることを短期目標として掲げている。(日本人の約50%をカバーできる。)日本赤十字の事業や、さい帯血バンクとの本格的な連携が重要。
※「白血病患者の命を救おう」…1997年以降、浜四津敏子代表代行(当時)を中心に、さい帯血移植への保険適用、公的バンクの設立を推進。(当時200万人規模の署名運動を展開。)以降、毎年1000人以上の白血病患者の命が救われている。
3.「今日は何があってもここに来たいと思っていた」
さい帯血は全国のバンクに眠っている。(10年たつと古くなり処分されている。)この中には、HLAホモドナーと分かるものも多く、その細胞を有効利用したい。
しかし、同意の問題が最大の課題。さい帯血は、採取する前に造血幹細胞移植の治療に使うことで同意を得ているが、それ以外の目的で使うことは同意を得ていない。(様々な議論が必要であるが)多くの患者が亡くなっていく中、時間は限られている。一日も早く、さい帯血という宝の山を、iPS細胞という違う形で患者のために使わせてもらいたい。今のままでは捨てられてしまう運命にある、さい帯血サンプルをiPS細胞で、患者のために使わせて頂きたいというのが、本日の最大のお願いだ。
私自身、研究時間を確保するため、約束していた講演等もほとんど断らせていただいている状況だが、今日は何があってもここに来たいと思っていた。
※2011年5月、公明党は「さい帯血法整備推進プロジェクトチーム」を設置。関係団体と意見交換を重ね、各党にも強く働きかけてまいりました。そしてこの9月、(さい帯血の研究目的での利用・提供を可能とする)造血幹細胞移植推進法を全会一致で成立させました。
下記サイトも参照下さい。
https://www.komei.or.jp/news/detail/20121019_9382