民主党政権の迷走①
今日から通常国会が始まりました。復興に向けた新年度予算案の他、消費増税、国会議員の定数削減等、波乱が予想されます。
ここのところの民主政権の動きを見て、私なりの視点で、3回に分けて現政権の問題点を論じてみたいと思います。
あぶり出された消費税10%の中身
「社会保障と税の一体改革」について、昨年末、野田総理は「不退転の決意」「政治家としての集大成」として、消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げることを決定しました。
そして今月19日には、与野党幹事長会談において同案件についての協議の申し出が行なわれましたが、協議の前提となる肝心要の“社会保障の全体像”はやはり示されず、「国会で議論すべき」との指摘が相次ぎ、物別れに終わりました。
さて、私たち公明党が“一体改革であるならば、税率だけでなく(年金など)社会保障の全体像も示すべき”と主張してきたことに対し、ここ数日で、(消費税10%の中には)民主党マニフェストの「年金抜本改革」の内容は反映されていないこと、反映されればとても10%では足りないことなどの閣僚発言が話題となっております。
野田総理は、「年金抜本改革」の法案は一年後の2013年に提出を目指すとしておりますが、一年後には「更に消費税の増税を!」とでも言うのでしょうか?
民主党ならではの先が見えない迷走ぶり。今日から通常国会が始まりましたが、消費増税の議論を中心に、何が正しくて何が間違っているのか、しっかりと注視していく必要があると思います。
※公明党は既に、2010年12月に「新しい福祉社会ビジョン」の中で、今後の社会保障の全体像を示しております。(議論をたたかわせる準備はできております。)野党に協議を呼び掛ける前に、民主党は自ら全体像を示すべきであります。
疑わしい民主党の年金改革案
「社会保障と税の一体改革」と言いながら、マニフェストにある「年金制度の一元化」「最低保障年金の実現」については何一つ盛り込まれていないのは、明らかに問題であります。こうした最も大切な議論をすることなく(もしくは避けて)、とりあえず消費税は10%に上げるという姿勢では、とても国民の理解を得られるはずもありません。
そもそも、民主党が年金の抜本改革を提唱したのは、2003年衆院選マニフェストのことであります。以来、8年が経過しておりますが、大事な消費税の話をしようという時にその具体案も示せないこと事態、同党の年金改革への本気度が疑われます。
また、今回の「社会保障と税の一体改革」素案に示された年金制度については、私たち公明党が主張してきた(無年金・低年金対策としての)「低所得者への年金加算」「年金受給資格期間の25年から10年への短縮」「パート労働者などへの厚生年金の適用拡大」等、現行制度の改善案のオンパレードとなっております。年金制度を抜本的に変えることを本気で考えているならば、現行制度改善に急いで取り組む必要はないはずであります。
ちなみに、現在の年金制度は2004年に改革され、現役世代の平均手取り収入に対する厚生年金の標準的な給付水準(所得代替率)は「将来も50%以上を保証する」と約束されておりますが、直近の調査(2009年)でも、2050年度の所得代替率は50.1%を確保できることが示されるなど、安定しております。
(現行制度は識者からの評価も高く、「年金は破たんする!」と騒いでいた民主党は、正に国民の不安をあおっていただけであります。)