平成20年 第1回定例議会で一般質問に立ちました
去る3月14日、平成20年 第1回定例議会におきまして、一般質問に立ちました。
今回は「潤いと活力」をテーマに、中小企業支援策の拡充、観光振興施策の充実、若年者雇用施策の強化、学校・地域・家庭の連携について一般質問を行いました。
本市の厳しい財政状況にあって、事務事業の見直し等による経費削減に努めていくことはもちろんのこと、行政として今最も必要なことは、新たな潤いと活力を生み出す知恵と工夫の結集であります。特に、経済部局は本市経済の出入り口に位置しており、その使命は非常に大きいと考えます。10年前とは変化のスピードが異なります。そこで、激しく変化する経済情勢の中にあって、新たな「攻め」の施策を打ち出していくべく、新たな経済振興戦略の策定と企画室の設置を要望致しました。
そして、活力を生むもう一つの急所が、若者と未来を担う子どもたちの成長であります。ここにどれだけ心を砕き、きめ細かな施策を展開できるかによって、本市の将来は大きく変わってくると考えます。そこで、若年者雇用施策、教育施策の今後の更なる強化・拡充を要望致しました。
1.中小企業の育成と新事業の創出について
02年以来、日本経済は緩やかながらも成長を維持。しかし、昨年後半からはサブプライム問題に端を発した米国経済の不振、原油や穀物の高騰などにより景気後退が懸念されている。まさに今、日本の景気回復の底力が試されている局面を迎えている。少子高齢化、人口減少というマイナス要因を乗り越えて経済の潜在力を引き出していくには、成長の牽引力となるイノベーション(技術革新)と合わせ、労働力の確保、雇用対策が重要なカギ。そして、その雇用の約8割を担うのが中小企業。地域の中小企業を守り育成していくことが「雇用確保の生命線」である。
【本市の中小企業を取り巻く環境と支援体制は?】
直近の景気動向調査によれば、県内企業の景気判断指数は5ヶ月連続で悪化。07年の県内企業倒産は01年以降で最悪の303件。大企業と中小企業の規模間格差も広がっている。そこで・・・
本市企業の近年の実質経済成長率、事業所数、従業者数、事業所の開業・廃業の比率の推移を伺うとともに、新たな資金供給策、本市企業の中核的支援機関である(財)千葉市産業振興財団の事業状況と課題、本市としての経済振興戦略について質問しました。
【新事業の創出について】
好調さが伝えられる大企業の多くは、その収益の7割を海外で稼いでいると言われる。大企業が稼げば中小企業も潤うといった構図は既に無く、国内の中小企業は賃金の安い外国との競争には勝てず、極めて厳しい情勢にある。ものづくりの国として生きてきただけに、今後何で生きていくのか?今や、中小企業にとって新事業の創出は喫緊の課題である。そこで・・・
新事業創出に向けた本市の取り組みとその成果、(新事業のシーズとなる大学の研究などを活用する)産学の連携への本市の取り組みを質問しました。
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本市企業の景況については、実質経済成長率はプラス傾向にあるものの、事業所数、従業者数、廃業率を見ると年々マイナス傾向にあること、産業振興財団の知名度の低さが課題であること、現行の経済振興戦略が大変古く見直しの必要性があること等が明らかになりました。
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先進的な取り組みをしている京都市の事例をもとに、(1)時代に即した新たな経済振興戦略の策定、(2)「目玉」となる新事業創出支援策の策定、(3)支援体制の強化と支援内容を分かり易く情報発信していくことの3点を提案致しました。
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(1)については平成22年までに策定する旨、(2)(3)については取り組みを強化し、検討を進めていく旨の答弁を頂きました。
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時代に即応できる体制として、経済部局内に企画・立案を行う企画室のような部門を設置することを最後に要望致しました。
2.観光振興について
訪日外国人一千万人を目指す、ビジット・ジャパン・キャンペーンなどを背景に、昨年、日本を訪れた観光客数は830万人を超えた。4年連続での記録更新であり、経済情勢を中心に閉塞感の漂う今の日本社会においては、期待と希望を感じるトピックス。本県においても、昨年実施されたディスティネーションキャンペーンでは、県内観光が全国的に脚光を浴び、期間中の観光客数は前年同期比で220万人増加。生産波及効果も150億円増加したと言われる。
【本市の観光振興施策の現状は?】
03年に策定した「千葉市観光振興計画」について、実施状況及び今後の課題、新たな企画立案への取り組み、観光客数や経済効果といった数値目標、ホスピタリティ(おもてなし)向上への取り組み等を質問しました。
【千葉中央港周辺地区の整備について】
同地区は、昨年8月に区画整理事業の換地処分を迎え、港湾部分では旅客船埠頭の整備が本年度から着手されるなど、魅力ある港やまちづくりを推進する上での準備が整いつつある。また、本地域は近年「新たな観光資源」として注目を浴びつつある、京葉臨海コンビナート工場群の出入り口にもなっている。そこで・・・
千葉ポートタワーの来館者数、千葉港めぐり観光船利用者数のここ5年の推移、本市観光振興計画にある「国道沿道に道の駅のような立ち寄り施設を整備」の検討状況、また、千葉ポートパークを同施設の整備対象とすることへの見解を質問しました。
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施策については計画通り概ね着手したものの、更なる戦略的な取り組みが必要であり、旅客埠頭整備の積極推進、ホスピタリティ向上に向けた新たな仕組みづくりに取り組むとのこと。また、ポートタワー、観光船の利用状況は減少傾向にあり、「道の駅」については県との調整等、課題はあるものの検討する必要があるとの答弁。
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都市間競争が一段と厳しさを増す中にあって、新たな経済効果を生む観光振興について、数値目標を設定するなど、今一度角度をつけた取り組みが必要との観点から、(1)飽くなき来訪者のニーズの探求、(2)ハード・ソフト両面からのコンテンツの品質向上、(3)交流人口を生み出す新たな仕掛け作りの3点を掲げ、全庁的な観光振興推進協議会の設置を提案。また、「道の駅」についての課題の明確化、取り組み内容を質問しました。
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全庁的な協議会の設置、(道の駅等)立寄り施設のあり方について、今後検討していくとの答弁を頂きました。
3.若年者雇用施策の強化について
違法行為が社会問題化している日雇い派遣の問題を始め、若年者雇用には依然として様々な問題がある。
殊に、非正規雇用の問題については、今や従業員500人以上の大企業で、8割近くが派遣を利用。若者の2人に1人が非正規雇用で、派遣は150万人規模とまで言われている。また、本年成人を迎えた実に4割を超える若者が、「親の世代に比べ、自分たちの生活は悪くなる」と将来を悲観的に考えているとのデータも。
若者が光り輝く社会。若者を元気にこの一点こそが社会に活力を与える急所である。
【本市における若年者雇用の状況と支援策は?】
若年者層における近年の雇用状況と課題、フリーター及び非正規雇用の実態、トライアル雇用制度を実施している企業数と常用雇用移行率等を質問しました。
【引きこもり、ニート対策は?】
総務省の統計によれば、引きこもりやニートと呼ばれる若者は、平成18年時点で約62万人いるとされる。
県の支援施設である地域若者サポートステーションを視察したところ、利用者は400名/月を越え増加傾向にあること、その内、本市の若者が3分の1を占めること、利用者の実に3分の1の若者が精神障害や発達障害を抱えており、臨床心理士等、専門的知識を持った人材不足が懸念されていることなどが判りました。そこで・・・
本市における引きこもり・ニートの実態、地域若者サポートステーションへの誘導を含めた普及啓発方法、同様の受け皿の拡充についての見解、未然防止策としてのキャリア教育への取り組みを質問しました。
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雇用状況については、就職氷河期に正社員として就職できなかった「年長フリーター」の問題が顕著であること、引きこもり・ニート対策については、的確な実態把握がなされていないことが明らかになりました。
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雇用対策については、常用雇用の促進を図るべく、産業振興施策と雇用・就業施策を一体化した横浜市の取り組みを踏まえ、経済的な観点から雇用創出策を策定することを提案。また、ニート対策については、「発見と誘導」のネットワークづくり、対応窓口の明確化を進めるべく、庁内横断的な協議会の設置を提案。
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前者については、経済部門・企業・関係団体との連携のもと、実効性のある雇用創出策に取り組む旨、後者については、庁内連絡協議会の立ち上げを検討していく旨の答弁を頂きました。
4.教育現場における学校・地域・家庭の連携について
近年、学校教育においては授業準備等の時間確保に支障を来たすなど、教員の事務負担増加が指摘されている。一方、昨今の青少年の諸問題の背景には、地域における地縁的なつながりの希薄化や、「クレーマー」「モンスターペアレンツ」といった単語の発生に象徴される、いわゆる個人主義の浸透が挙げられ、「地域の教育力の低下」が指摘されている。
「教育の道は家庭の教えで芽を出し、学校の教えで花が咲き、世間の教えで実がなる」とのことわざの通り、今一度それぞれの意識改革と共に、それぞれの良好な連携体制を意識的に整備していく必要がある。
【教員を取り巻く職場環境は?】
子どもにとって、最大の教育環境は教師。教員が子どもとじっくり向き合い、学力向上などに力を注げるような環境づくりが必要。そこで・・・
本市の教員の勤務実態として、教育活動以外にどのような業務に時間が割かれているのか、本来の職務に専念できる環境づくりへの取り組みを質問しました。
【地域との連携は?】
地域の教育の拠点でもあるこれからの学校が、家庭や地域社会とともに子供たちを育てていくという視点に立ち、学校運営を行っていくことは極めて重要。そこで・・・
本市の教育現場において、地域のボランティア、人材をどういった分野で活用しているのか、活用のコーディネートはどのようになされているのか質問しました。
【家庭教育支援は?】
家庭での基本的生活習慣の乱れが、子どもたちの心と体、学力や体力に深刻な影響を与えていると言われる中にあって、今後の家庭の教育力向上に向けた取り組みを質問しました。
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勤務実態については、残業時間が増加傾向にあり、学校運営に関わる業務、地域対応等の外部対応の業務に多くの時間が割かれており、勤務実態の把握と適正化を検討していくとのこと。また、地域との連携においては、更なる人的支援活用のシステムづくりの一貫として、NPOにる支援体制の設立を検討していく、更に家庭教育については、新たに「家庭教育支援チーム」を創設するとの答弁。
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現時点コーディネート役となっている各学校、教員の負担を省き、更なる財政支援と合わせ、より永続的なものとしていく取り組みが必要。
来年度政府予算案では、地域ぐるみで学校運営を支援する体制として「学校支援地域本部事業」の予算が盛り込まれ、中学校区単位に学校を支援する、云わば「ボランティア本部」をつくる事業が始まる。(下表参照。)趣旨は、学校と地域の架け橋を整備することにあり、地域人材や地域資源等を活用するためのコーディネート組織の整備に狙いがある。地域全体で学校教育を支援するため、多様な形態の教員支援を可能とし、子どもと向き合う時間の拡充を図るというもの。
本事業のモデルとなった杉並区の和田中学校では、約70名の大人、約30名の大学生により地域本部を形成。各種学校施設の管理運営の他、授業時間外の時間帯を活用した地域本部主催の学習支援等も行われており、学力面においても大きな成果をあげている。
そこで、将来を見据え、「学校支援地域本部事業」の積極活用を提案。
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本市の各人材活用事業と「学校支援地域本部事業」との整合性を図るなど、導入の可能性について検討をしていくとの答弁を頂きました。