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バックナンバー 2026年 5月 21日

朝霞市総務常任委員会行政視察2日目。

倉敷市「防災危機管理センター」および防災備蓄整備事業について報告します。
岡山県 倉敷市 において整備された「防災危機管理センター」と、防災備蓄整備事業、災害関連死認定体制等について説明を受けました。
倉敷市では、平成30年7月豪雨災害の経験を踏まえ、災害対応力の抜本的な強化を目的として、防災危機管理センターを整備し、令和5年12月に竣工。
施設は本庁舎敷地内に建設され、鉄筋コンクリート造3階建て、延床面積約6,200㎡となっており、1階には会議・研修機能、2階には防災・消防機能、3階には水道局機能を配置しています。
建物は「中間免震構造」を採用しており、一般的な基礎免震とは異なり、2階部分に免震装置を設置することで、地震時の揺れを大幅に低減する仕組みとなっています。
1階部分は、近くを流れる高梁川が氾濫した場合浸水してしまうことを想定している為とのこと。
説明では、震度7程度の揺れを震度2相当に抑制できるとのことであり、災害発生時にも行政機能を維持する強い意志が感じられ、また、ZEB Ready認証を取得しており、省エネルギー性能にも配慮されていると。
事業費は本庁舎長寿命化工事を含め、総額約81億8,000万円とのことで、中間都市の倉敷市は朝霞市とは人口も含め規模が違うことを再認識しますが、今日は謙虚に学ばせていただきます。
1階には8室の会議室が整備されており、平時は職員研修や一般会議等に活用されており、特に特徴的であったのは、災害対策本部会議室を平時から他部署に貸し出し、災害時に必要となる映像機器や音響設備の操作に職員が日常的に慣れる仕組みを構築している点でした。
単に施設を整備するだけでなく、「使いこなせる体制づくり」を重視していることが印象的です。
2階には災害対策本部会議室、オペレーションルーム、情報共有室、司令情報室などが配置されており、オペレーションルームでは、市役所各部局に加え、消防、警察、自衛隊など関係機関が一堂に会し、情報共有と災害対応を行うことに。
特に、12面の大型マルチディスプレイを活用し、全員が同じ情報を共有することで、状況認識の統一を図る考え方は非常に参考になりました。
また、災害対応時の役割分担も細かく整理されており、情報受付、情報分析、避難所対応、物資支援、広報、総合調整など、それぞれの班の役割を明確化しています。
さらに、「誰が指揮命令権を持つのか」を空間設計上も明確にしており、混乱を防ぐ工夫がなされていることは、災害時に大きな意味を持ちます。
執務スペースには「グループアドレス(フリーアドレス)」を導入し、職員が日々の業務内容に応じて自由に席を選択できる仕組みとしていることも画期的です。
机の組み換えも自由であり、横断的なコミュニケーションを促進する設計となっています。
館内は全面Wi-Fi化され、紙資料を極力減らすペーパーレス化も進められおり、情報共有室にのみ書類を集約し、執務室にはロッカーや棚を置かないことで、常に整理された環境を維持する工夫がされています。
さらに、災害対応時には交代要員の引継ぎ専用スペースを別室に設けることで、オペレーションルーム内の混雑や混乱を避ける仕組みも整備されています。
細部まで災害対応の実践を意識した設計であり、「実際に機能する防災拠点」を目指した施設であることを強く感じました。
視察では、実際に実施された災害対応訓練についても説明を受け、電話受付係、情報分析係、広報係などがヘッドセットやホワイトボードを用いながら実践的な訓練を行い、市長・副市長が途中参加する想定で、限られた時間の中で情報を整理し報告する訓練を先日の5月に行われています。
単なる形式的な訓練ではなく、「実際に災害が起きた時」を強く意識した内容です。
また、倉敷市では災害対応体制そのものも見直しており、従来は風水害と地震で異なる名称を用いていたが、若手職員から「注意と警戒の違いが分かりづらい」との声もあり、「1号体制」「2号体制」「非常体制」など数字による分かりやすい表現へ変更したとのことです。
さらに、市外で大規模災害が発生した場合でも、倉敷市に影響がある可能性を踏まえ、県内だけでなく国内で、震度6弱以上の地震や大津波警報が発表された際には、職員が参集し状況確認を行う体制を新たに設けたとのことで、危機管理体制に感心しました。
これらを体系化した「災害対策本部設置・運営マニュアル」も令和6年4月に策定され、指揮命令系統や各班の役割、参集基準などが整理されているとのことでありました。
続いて、防災備蓄整備事業について説明を受けました。
平成30年7月豪雨災害では、全国から大量の支援物資が届いた一方、仕分けや配送機能が不足し、避難所へ円滑に届けられなかったことが大きな課題となったと。
この経験を踏まえ、倉敷市では物流機能を備えた防災備蓄倉庫の整備を進めているとの説明。
特徴的なのは、市内を3エリアに分けて備蓄拠点を整備している点です。
南海トラフ地震等で橋梁や道路が寸断される可能性を考慮し、複数拠点化を図り、現在、2箇所が供用開始済みで、1箇所が整備中とのこと。
備蓄倉庫は単なる保管施設ではなく、「地域内輸送拠点」としての機能を持っており、大型トラックの乗り入れ、荷捌きスペース、フォークリフト運用、物資仕分けなどを前提とした設計であり、一般的な物流センターに近い考え方で整備されていることに驚きです。
市内3箇所合計で約1,238パレット分の備蓄能力を有し、約3万3,000人分の支援物資対応を想定しているとのことでありました。
また、備蓄倉庫を運営するのは一般行政職員であるため、フォークリフト操作や物資搬出訓練も定期的に実施しているとのことで、災害時だけでなく、平時から物資更新や納品対応を通じて、実際に設備を使用し続けることで「使える備蓄倉庫」を維持している点は非常に参考になりますが、ここも驚きです。
さらに私から事前の質問事項で、災害関連死認定制度についても説明を受けました。
倉敷市では平成30年7月豪雨災害を受け、「災害弔慰金支給審査会条例」を制定し、弁護士、医師、精神科医、大学関係者等による審査会を設置。
県とも協定を締結し、審査基準作成や委員選定支援を受けながら運営しているとのことです。
認定までの流れとしては、遺族からの申し出を受け、医療・介護記録等を確認し、審査会において災害との因果関係を判断する。これまで16回の審査会を開催し、51件中49件を認定したとの説明がありました。
特に印象的であったのは、災害関連死への対応には、危機管理部門だけでなく、福祉部門による見守り支援や生活支援との連携が極めて重要であるとの認識です。
大規模災害では、避難生活の長期化や生活環境の変化が健康状態に大きく影響することから、平時からの連携体制構築の重要性を改めて認識しました。
今回の視察を通じて、倉敷市は平成30年豪雨災害の経験を教訓として、「施設整備」だけでなく、「運用」「訓練」「組織体制」「マニュアル整備」まで、一体的に見直していることがよく分かりました。
特に、防災施設を平時から積極的に活用し、職員の習熟や組織横断的な連携強化につなげている点は、大変参考になる取り組みです。
災害対応においては、立派な施設を整備するだけではなく、それを日常からどのように使い、どう人材育成につなげるかが重要であると改めて感じました。
今後の本市防災施策の検討においても、今回の視察で得た知見を十分に活かしていきたいと強く感じました。
座学終了後、オペレーションルームと災害対策本部を見学させていただきました。
とても綺麗で、指揮命令系統の1本化が見てわかるレイアウトになっていましたが、この部屋を現実に使わないことを願うばかりです。
本日は、朝霞市とは人口も財政規模も比べものにならなく大きな都市であるにもかかわらず、快く行政視察を受け入れていただき、また、丁寧に説明いただきまして大変にありがとうございました。

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