平成31年3月 予算特別委員会意見表明
公明党の藤野勝利でございます。公明党を代表いたしまして、本予算特別委員会に付託された平成31年度予算案並びにその他関連諸案件に対しまして意見表明を行います。
まず、冒頭に、昨日、会派代表者会において、尼崎市立中学校における自死事案に関する調査報告がありました。調査の結果、いじめがあったと認定、また、学校側にも不適切な対応があったといいうことであります。このことを重く受け止め、二度とこのような悲劇が起こらないよう再発防止に取り組んでいただきたいことを申し上げます。
平成31年度予算は、市長3期目 最初の予算であり、任期最終年には、後期まちづくり基本計画の完結を迎えるという意味でも来年度予算は大変重要なものであります。
将来負担に影響を及ぼす質の悪い退職手当債など、減債積立金30億円を取り崩し、早期償還を行う一方で、財政調整基金20億5千万円を充当した上で収支均衡の予算となっています。
あまがさき「未来へつなぐ」プロジェクトでは、平成34年度末の目標管理対象の将来負担1,100億円以下となっていますが、平成31年度当初予算編成時点の取組状況では、かろうじて1,100億円以下の目標を達成できる見込みで、予断を許さない状況は続きます。(今後のファシリティマネジメントによる公共施設の圧縮と再編に係る財源、ファミリー世帯の定住・転入に係る施策の財源確保など財政調整基金による収支均衡が続けられるか心配です。)平成34年度末の将来負担目標を達成できるよう、行財政改革の推進、より有利な市債の活用等、財政管理を進めていただきたい。
加えて、本年10月には消費税率が10%に引き上げられ、全世代型の社会保障の財源に資することとなり、特に幼児教育・保育の無償化は、「小学校・中学校9年間の普通教育無償化以来、70年ぶりの大改革」と、歴史的にも重要な施策となります。
少子高齢化による人口減少到来に対する備えは人材であります。人間であります。そのために、いよいよ教育に光を当て、子どもに光を当てる未来への投資の開始であります。一方、本市においても同様、未来への投資を力強く、大胆に進める必要があります。また、高齢社会における医療、介護、障害福祉施策、災害に対する備えが重要であります。そして、その財源確保は、計画的な土地売払収入、市税収入の確保及び経済の活性化を進め、税源の涵養を図るべきです。
それでは、以下項目ごとに意見、要望を述べてまいります。
【教育関連について】
1 いじめ対策については、
「絶対、いじめを起こさない」「いじめによる不幸な思いはさせない」と、断固たる決意で臨むべきです。「教師こそ最大の教育環境である」との根本的な考えのもと学校現場と各学校に配置するスクールカウンセラーや教育委員会のカウンセラーの連携、体制強化をすること。また、LINEを活用した「ひょうごっ子SNS悩み相談」を効果的に有効に活用すべきです。早期発見のため、いじめ等が起こった場合、学校や教育委員会に相談、通報を行う 有効なストップイットの早期導入をすべきです。経費や体制など課題はありますが、あらゆる対応策を講じるべきです。
2不登校対策事業については、
本市は、小・中学生ともに、全国や兵庫県と比べて不登校出現率が高くなっております。「アセス」やスクリーニングシート等を活用して不登校の要因等を把握し、未然防止、早期発見・早期対応につなげるとともに、子ども 自立支援室 指導員の体制強化、ハートフルフレンド派遣事業の人材確保や拡充、サテライト学習支援など不登校児童生徒の多様な状況に応じたサポートを行い、教育支援室などと連携し徹底して一人に光を当て、効果が現れる手厚い支援をするべきです。また、予てより要望しております、フリースクールなど民間機関と更なる情報共有と連携に努めること。
3学校安全関係事業については、
安全管理員の時間が短縮されますが、新たに小学校、特別支援学校に防犯カメラを主要な門、3門に設置、また、スクール・サポート・スタッフも見守りに加わる安全対策となります。人的抑止力が減少することで市民から不安の声があがっております。更なる学校安全管理体制の再構築をすること。
4中学校 部活動 指導員の配置については、
(国は、教員の負担軽減のため、学校教職員の働き方改革として、)学校教職員の生徒への指導、教材研究等に専念する目的として、部活動指導員が5人配置されますが、教師や生徒の実態に即した体制を図ること。また、現在55名いる課外 クラブ活動 技術指導者の処遇改善も検討すること。加えて、小学校から競技を行いながら中学校に技術指導者、指導員がいなくて部活の存続が危ぶまれることを市民の方からお聞きしています。スポーツのまち・あまがさきとして希望する部活動ができるよう技術指導者、指導員の充実と子どもたちの部活動の環境整備をすべきです。
5卒業アルバムの購入については、
国は31年度就学援助の補助対象に『卒業アルバム』が追加されました。準要保護児童は地方の判断によるものとなっています。今後「卒業アルバム」の援助を検討すべきです。
6学力向上については、
学力向上を目指した、学習支援員全校配置や(学力定着支援事業)、多層指導モデル(MIM)研究(小学校6校)など、徹底して個人に光を当てた、きめ細やかな支援体制の充実を図ること。
*市立幼稚園一時預かり事業は
社会情勢や多様化するニーズに応えるため平成31年度から年間通じた一時預かり保育を実施することとなっており非常にうれしい子育て支援ですが、先生や臨時職員の体制や処遇なども考慮し継続していけるよう要望いたします。
【防災・減災対策について】
1防災情報の確実な伝達に向けた取組みについては、
昨年の台風21号の教訓から新たな情報伝達手段としてデジタル機器などに更新しますが、正確に伝わるか検証と対策を講じること。また、人から人への情報伝達についても市職員が地域に出向き、地域の強みや特性に合わせた伝達体制の仕組みづくりをするとなっています。これは時間を要しますが、しっかりと取組む上で、いざというときは、市職員が地域へ出向き、拡声器で情報を伝える、また、車での巡回アナウンスを行うなど、公助としてアナログ的情報伝達の準備体制を整え、実行すべきです。情報がないと本当に不安になります。情報難民を作らないとの強い決意で臨むべきです。
2地域で作成する地区防災計画の作成については、
市が積極的にコディネート役となり推進すること。
3一人一人の防災意識向上のため、予てより提案していましたマイタイムラインについては、
一人一人が作成できるよう、まずは、回覧板や市報で「災害から自分の命は自分で守りましょう」「マイタイムラインの作成から」などのタイトルでお知らせした上で、防災ブックや防災タウンページと一緒に配布した後、多くの市民が作成、活用できるよう推進すべきです。
4避難所となる学校体育館の空調設備の設置は、早期実現に取組むこと。
5災害備蓄として、
長年待ち望んできた液体ミルクが解禁となりました。液体ミルクを災害備蓄として確保すべきです。
【武庫分区雨水貯留管整備事業については、】
行政が市民の生命と財産を守るために、あらゆる想定をしながら防災・減災対策を講じることが必要であります。ゆえに、技術的、専門的見地や根拠に基づき、市民の方の理解と協力を得ながら地域の側に立った防災減災対策をすべきです。
【子育て施策について】
1待機児童対策については、
平成30年度、31年度の2ヵ年で保育施設受け入れ枠1,350人、児童ホームの受け入れ枠500人を確保し待機児童解消と掲げたにも関わらず、保育施設では、330人分が不足する見込みです。保育所等の定員拡大のために、より多くの関係事業者との連携と周知、アプローチの仕方、次期の見直しなど、また、新設のための市有地の更なる活用に力を入れるべきです。また、保育士確保のために新規、復職者などの処遇改善や環境整備の拡充をすべきです。
また、児童ホームと子どもクラブの待機児童解消に向け、建物の整備や環境整備の充実を図るべきです。
2乳幼児等医療助成制度については、
平成31年度の最 重要 課題である「ファミリー世帯の定住・転入促進」に資するものを中心に、施策間連携を強め、重点的に取組んでいく主要 取組 項目として、それまで福祉施策の位置づけから子育て支援として拡充されましたが、満足のいく拡充とは言い難い内容です。財政状況との整合を図り、持続可能で効果的な拡充として平成32年度以降も拡充すべきです。
*子どもの育ち支援センター(いくしあ)について、子ども・子育て総合相談として、家庭児童相談支援、教育相談・不登校支援、発達相談支援を総合的に行います。
*発達相談支援は
窓口の相談、医師による診断、医療相談や発達検査、4歳、5歳児の子ども支援教室やペアレントトレーニングなどを行います。
3児童虐待対策については、
本市の虐待相談件数は、連続して増加。県下突出して多い現状です。国も先般の虐待死事件を受け、対策を強化する法整備を今国会に提出されます。経済的な不安を抱えた世帯やひとり親世帯の方など様々な課題からストレスによりネグレクトとなる傾向ですが、心のケアが必要です。その意味からも、妊娠期からの相談窓口、母子包括支援センターなど入り口の手厚い支援が必要です。家庭状況などを丁寧に聞き、課題や悩みを察知し、「早期発見・早期対応」が求められます。子どもの育ち支援センター「いくしあ」は重要な支援拠点です。児童対応のケースワーカ―や専門性の高い人材など体制整備の上、あらゆる機関と連携し児童虐待の未然防止、早期解決を図るとともに、県が設置する児童相談所と連携し、悲惨な事件が起きないよう、寄り添い型、解決型の支援の取組みを行うこと。
【観光のまちづくりについては、】
尼崎版観光地域づくり推進指針では、「観光による、地域の稼ぐ力の向上」を挙げ、そのために観光情報の拡大、観光客数の拡大、観光消費の拡大と3つの拡大をさせていくことを基本に据えて「地域の稼ぐ力の最大化を目指した」取り組みを進めるとあります。
そして、31年度予算では、対象地域の地価や固定資産税、新規開業数などの指標を設けて取り組むとありますが、「地域の稼ぐ力の最大化」を目指すならば経済的効果を明確にすること、観光局の事業内容などを公表しその内容の効果を検証すること。また、尼崎城を起点として、まずは、寺町など周辺地域と連携させる、面的展開を早期に進めるべきです。
【次に、周辺整備については、】
何よりも尼崎城周辺の駐輪問題です。止めるところがなく城址公園内などに止めると、尼崎城、まちの美観、景観が損なわれます。駐輪場整備を早期に進めるべきです。
また、先般、関西空港往復のリムジンバスの乗降案内の方からお声をいただきましたが、関西空港からの旅行客も増えてくる中で、南側にトイレがなく、尼センの商業施設のトイレに行く方が多い。南側に、きれいな公衆トイレが必要と言われておりました。おもてなしの上からも南側トイレも含めた周辺整備をすべきです。
【次に自転車のまちづくりについては】
本市の特徴である自転車政策を推進する上で残るのは、エチケット、マナーの遵守であります。交差点で止まるとポイント加算されるアプリ、盗難防止に有効なアプリがあります。導入を検討すべきです。
そして、コミュニティサイクルの市内全域のネットワークを構築し尼崎城と観光のまちづくりの橋渡しをする「尼崎 観光自転車」と位置づけ、内外に発信すべきです。
【高齢者施策については、】
人生100年時代。健康寿命の延伸を図ることが喫緊の課題です。(加齢とともに筋力や認知機能などが低下し、ストレスの虚弱性が増すフレイル。フレイル状態から要介護になると言われています。)平成31年度から介護予防の取組みをフレイル予防として事業がまとめられますが、フレイルのなお一層の啓発、周知を図り、フレイル予防の効果が出る取組みをすること。
また、地域包括ケアシステムの構築と推進が重要になってきます。現在、本市の認知症高齢者は、年々増加の一途をたどっております。初期集中支援チームをはじめとする相談体制や見守り体制の強化、認知症サポーターが活躍できる環境整備を更に進めるべきです。
【中小企業支援については、】
本市の産業を支える多くの「中小・零細企業」は、「高齢化」、「人手不足」など構造的な問題に直面しております。「補助金の周知」、「事業承継の相談」など「事業所訪問」を積極的に行い効果が出るサポートをすべきです。
【環境について】
1クールチョイスを選択した場合の「地域通貨ポイント」については、
「通貨の流通量」と「インバウンドの拡大」に繋げ「稼ぐ力」に寄与させる効果を同時に狙うべきです。そのためには、通貨を使える店舗を市内全域に広げるべきです。また、小売りサービス業に限定されていますが、 製造業や建設業などの事業所やお城の入場料などに広げることも提案・要望します。また、地域通貨の付与を、クールチョイスに限定せずスマートハウス、スマートコミュニティ等普及促進事業にも広げ、CO2削減と同時に「稼ぐ力」に少しでも寄与する、より効果的な取り組みを検討すべきです。
2「スマートハウスとスマートコミュニティ等普及促進事業」は、
ゼロエネルギーハウスの条件が厳しい為、大きな普及は期待できません。広く普及させるためには、「創畜エネルギーハウス」を前面に押し出した方が有効と考えます。しかし、創畜機器の費用は高額あり、普及促進の為に、補助金の積み増しを検討すべきです。
また、「環境モデル都市」として、CO2削減の目標達成のために、特に、家庭部門以外の比重の高い、「産業」「業務」「運輸」部門の取組みが不可欠です。政府の複数の補助金や「省エネ支援」の為の「プラットフォーム事業者」などを取り入れるべきです。
【住宅施策については、】
平成30年度、ファミリー世帯の定住・転入促進、また、環境に配慮した住まい、まちづくりの推進のため空家利活用推進事業が年間100件を目標に進めましたが、平成30年7月からの実績は、ファミリー世帯の改修で4件、エコリフォーム2件、アドバイザー6件と主要事業として、どのように取組んだのか甚だ疑問となります。31年度、密集 住宅 市街地 整備促進事業として老朽住宅の防災性の向上を目指した取組みとなっていますが、空家利活用推進事業と同様にファミリー世帯の定住・転入のための主要事業として結果のでる取組みをすべきです。
次期 住宅マスタープランでは、これまでの取組みを総括し、ニーズに応じた住環境整備、対策など、効果が現れるための計画を策定すべきです。
【プレミアム付き商品券については】
10月の消費税10%に引き上げられ、消費税の逆進性の対策として、住民税非課税世帯、
0歳~2歳の子を持つ、子育て世帯向けの対策です。対象者への早急な周知徹底とともに、交通弱者でもある低所得者、子育て世帯が購入しやすいよう、実際に商品券を販売する場所や方法について工夫を凝らし全ての対象者に効果が現れるような取組みをすべきです。
【財政部門と政策部門の連携については】
まちづくりの施策を推進し、市政の総合企画、総合調整をする総合政策局と公共施設マネジメント計画を推進し、歳入、歳出、予算を所管する資産統括局と密に連携しながら、4つのありたいまちの実現を果たすことを強く要望します。
【市民の理解を得たファシリティマネジメントの推進については】
持続可能な行財政基盤の確立と市民サービスの維持向上を目指す「公共施設マネジメント計画」は、その意義、目的を達成するよう、福祉、健康づくり、生涯学習、地域コミュニティなど、所管部局との連携を綿密に、市民の声を聞きながら推進すべきです。
【動物愛護関連については】
多頭飼育崩壊に対する取り組みについて、制度の徹底した周知、そして、効果の出る内容にすべきです。ボランティアの方々にこれ以上負担を強いらない寄り添った対策や動物愛護センターの体制、管理など重点を置いた取り組みをすべきです。
【武庫川周辺阪急新駅設置及び大庄武庫線の分断の解消については】
市民の7万筆を超える要望 署名に応え、まちを大きく変える新駅と大庄武庫線の分断解消の早期実現を強く要望します。
以上、意見、要望をしてまいりましたが、3月29日、いよいよ尼崎城が開宴です。観光のまちに生まれ変わる新たな扉を開く尼崎城の開城です。「住みたいまち」、「住み続けたいまち」、住んでよかったまち」尼崎の実現を目指し、市長が尼崎城の城主として、市民に希望と勇気を与えるリーダーシップを発揮していただくことを要望いたしまして、公明党の意見表明とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。