昭島市 平成18年12月 定例会(第4回)
12月7日
◆4番(赤沼泰雄議員)
おはようございます。ただいま議長の御指名をいただきましたので、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
教育行政について、まず (1)点目として、いじめ撲滅のための取り組みについてお伺いいたします。
ある教育者が20世紀最後の年に語った言葉を引用させていただきます。「日本人の感覚が麻痺して、いじめと聞いても何となく、またかという感じになっている。そんな危険を感じる。恐ろしいことです。子どもの悲鳴が聞こえなくなっている。いじめは昔もあった、大したことないとか、こんな時代だから少しぐらい仕方がない、などという声がある。とんでもない。だれが何と言おうと、いじめは絶対に悪です。現に、こんなにも苦しんでいる人がいるのだから。どんないじめも断じて許さないという強い強い意思が大人になければいけない。子どもにもなければいけない。それがすべての大前提です」。
さて、21世紀に入って7年がたとうとしている今日、子どもたちを取り巻く環境は改善されたのでしょうか。大人社会も含めて、最近の報道などを見聞きしておりますと、残念ながら悪化していると言わざるを得ません。
先月自殺した男子中学生の同級生は、「いじめられてはいなかったが、いじられキャラで、よくからかわれていた」と語っていました。お笑いブームで、テレビなどでもいじられ役、汚れ芸人といわれるタレントが注目を浴びていて、活躍をしております。テレビを通して、そうした大人たちの姿を見ている子どもは、いじめじゃない、いじられキャラの子をいじっただけ、そのように説明するのかもしれません。
都内の現役高校3年生が執筆した「りはめより 100倍恐ろしい」は、青春文学大賞を受賞しました。このタイトル名は、いつかとまる可能性がある「いじめ」より、悪意のないからかいで際限なく続く「いじり」の方が残酷という意味が込められているそうであります。いじめは悪いということはだれでも知っていますが、その事実や罪悪感を隠すために、「いじる」という言葉が使われているのではないでしょうか。いじめよりいじりの方が残酷であるということの本質を、大人よりもむしろ子どもの方が敏感に感じ取っているのかもしれません。
いじめと友達同士のふざけの境界線をどこに引いたらよいのかは、微妙な問題のようで実は単純なことであります。いじられた子どもが苦痛を感じていたら、それはいじめだからであります。あくまでも相手が嫌がるかどうかということが問題であり、どんな理由があろうとも相手が嫌がることはしてはいけないということであります。そのところを、大人は子どもたちに対してはっきりと教えていかなければならないのではないでしょうか。そこをあいまいにして、加害者も被害者もどっちもどっちくらいに思っている限り、いじめはなくならないと、さきの教育者も指摘しております。
また、いじめられる側にも原因があるという考え方をする人もおります。しかし、完璧な人間なんかいるのでしょうか。私などは欠点だらけの人間であると思っております。しかし、欠点だらけだからといって、いじめていいことになるのでしょうか。勉強ができてもできなくてもいじめられる。太っていてもやせていてもいじめられる。暗いからといっていじめられ、反対に目立つからといっていじめられる。つまり、いじめられる側に責任はありません。いじめられている人は、全然どこも悪くないからであります。いじめている側が、 100%悪いのであります。
また、たとえ相手に原因があったとしても、だからいじめていいんだということにはなりません。相手がうそをついたからといって、それを理由にナイフで傷つけたら傷害罪です。相手の性格が悪かったら殴っていいのか。そんなことは絶対にありません。どんな理由も理由にならないのであります。いじめられる側にも原因があるというのは、いじめる人にとって都合がいいからであり、いじめを見て見ぬふりをしている人が、自分の勇気のなさをごまかす言いわけにしているにすぎないのであります。
文部科学省に設置された有識者会議は、今月4日、学校内外の相談体制の充実など4つの柱から成るいじめ対策の緊急提言を発表いたしました。その内容は、1.子どもがさまざまな大人に相談できる場面をつくる。2.学校の中に新たな子どもの居場所をつくる。3.万が一の場合の初期対応では、専門家が学校をサポートする。4.いじめの実態を正確に把握・分析し、解決方法などよりよい取り組みを共有する、としております。さらに、この4項目の実現のために、休日でも夜間でも相談を受け付けられる体制を整備する。緊急時の学校支援では、精神科医や警察、児童相談所など外部の専門家がチームを組む、などの具体策を挙げております。
そこでまずお伺いいたしますが、昭島市として教育委員会から学校への対応はどのようにしているのでしょうか。同時に、学校から保護者や児童・生徒への対応はどのようにされているのでしょうか。また、子どもがさまざまな大人に相談できる場面をつくる、初期対応では専門家が学校をサポートするという意味では、これまでもスクールカウンセラーなどがそうした役割の一端を担ってきていると思います。昭島市におけるスクールカウンセラーへの相談実績などを踏まえて、どのように評価をされているのかということについても、ぜひお聞かせください。また、この緊急提言やいじめによる自殺の実態を考えると、今後についてはスクールカウンセラーのさらなる充実が求められると思いますが、その点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
いじめが発見されにくい理由の一つには、いじめられている本人が親や教師に相談しないということが挙げられます。国際いじめ問題研究会によると、いじめを見聞きしたときにどうするかという問いに対して、イギリスでは、中学生になるといじめをやめるように働きかける生徒が増加しておりますが、日本では注意したり先生に助けを求めるという答えが、小学生から中学生へと学年が上がるにつれて少なくなっております。
いじめの相談をしないのは、自分がいじめられていることを人に知られること自体が恥ずかしい、自分のことで心配をかけたくないという気持ちが働くためというのが、主な理由のようです。
また、あってはいけないことですが、報道でも明らかなように、教師がいじめを煽動している例もあり、いじめの早期の段階での教師や大人の対応に対する不信感も無視できません。
同時に、いじめをなくすためのかぎを握っているのは、実は周りで見ている人たちであるという観点も非常に重要になってまいります。いじめている人に対してやめろと言えるかどうか、いじめられている人に対して、自分は何があっても、あなたが何をしてもあなたの味方だと伝えてあげられるかどうか、それとも私には関係ないと見て見ぬふりをするのかで、結果は大きく変わってしまいます。
例えば、池でおぼれている人がいるとします。自分が突き落としたわけではないからといって何もしないで見ていたら、そしてもしもその人が死んでしまったら、突き落とした悪とは同じではないにしても、別の意味でこれも悪ではないでしょうか。つまり、厳しく言えば、いじめを見て見ぬふりをすることは、おぼれている人を見殺しにすることと同じで、いじめている人間の協力者になってしまうのであります。
ちなみに、アメリカでは州によっていじめ防止法を制定しているところや、いじめを軽犯罪として扱う州もあるようであります。
今の多くの学校では、ごく小さないじめは日常茶飯事に起こっているといわれます。早期の段階で気づいて正しい対応をしていくことが大切になってまいりますが、そのための有効な一つの方法として、ピアサポートという取り組みがあります。1990年代にイギリスでいじめ対策の一環として始められたもので、日本でもさまざまな形で実践されているようであります。ピアとは、英語で仲間という意味で、ピアサポートとは仲間同士で支え合いながら、いじめが起こる学校の風土そのものを変えていこうとする取り組みであります。
ピアサポートにもさまざまな実践方法がある中で、紙上相談ピアサポートというものがあります。これは、相談箱に寄せられた相談を、個人情報がわからないように教師が書き直し、子どもと一緒に対処方法を考え、その相談と回答を載せた配布物を全校生徒に配ります。子どもたちはそれを家庭にも持ち帰ります。さらに、それに対して寄せられた意見やアドバイスなどをまた編集してみんなに配り、さらにその問題をみんなで考えていこうとするものです。つまり、いじめならいじめについて、その問題性も解決方法もみんなで共有していこう、だれか個人の問題としてではなく、みんなの問題としてみんなで考え、みんなが変わることでいじめが起こる風土を根本的に変えていこうという取り組みであります。
もちろんいじめには、こうすれば絶対解決するというマニュアルはありませんが、どんな場合にも共通して言えることは、一人で悩まない方がいいということであります。なぜならば、いじめている側はその事実を多くの人に知られることを一番嫌がるからであります。
これまで挙げてきたいじめ対策に必要な観点の多くを網羅していると思われるこの紙上相談ピアサポートを、いじめ撲滅のための一つの方法として積極的に導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、「放課後子どもプラン」についてお伺いいたします。
厚生労働省による放課後児童健全育成事業として、共働き家庭など留守家庭のおおむね10歳未満の児童に対して放課後に適切な遊びや生活の場を与えて、その健全な育成を図ることを目的として、放課後児童クラブがあります。平成18年度における全国の放課後児童クラブ数は1万5857カ所ですが、これは全小学校区、約2万3000校のおよそ3分の2程度になるそうであります。登録児童数は70万4982人で、全国の小学校1年から3年生、約 359万人の2割弱程度が放課後児童クラブに所属していることになります。また、クラブ数9729カ所、登録児童数34万8543人であった平成10年と比較すると、クラブ数では約6100カ所で 1.6倍、児童数では約35万人で2倍の伸びを示しております。
昭島市においても全小学校区において学童クラブが設置されておりますが、近年の社会経済情勢の著しい変化の中、共働き家庭や一人親家庭の増加などにより、学童クラブの待機児童数は年々増加している状況にあります。本年度は待機児童解消策として、4つの学校で昭島市独自のマッテマステーション事業に取り組んでいただきました。しかしながら、玉川学童を含め複数の学童クラブにおいて20名以上の待機児童が生じたことから、せめて夏休みの期間だけでもとの保護者の方々からの強い要請を受け、緊急対応として実施していただいたところであります。そのことに対する多くの感謝の声が聞かれる一方で、来年度の対応に関して希望者全員が入れるのかどうか、2・3年生で入れない子どもが出ないように取り組んでほしいなど、期待と不安が入り交じった多くの切実な声もお聞きしております。
そこで、まず確認させていただきますが、来年度の待機児の見込み、予測はいかがでしょうか。そして、それに対して市としてはどのような対応をお考えでしょうか、お聞かせください。
また、来年度には文部科学省の放課後子ども教室推進事業と、厚生労働省の放課後児童健全育成事業が連携する放課後子どもプランが新たに創設される予定になっております。このプランは、全児童を対象にした放課後の居場所づくりとして、各市町村において教育委員会が主導し、福祉部局と連携を図りながら、原則としてすべての小学校区で総合的な放課後対策として実施することになっております。しかし、文科省と厚労省の資料を見てみますと、放課後児童クラブが実施されていない8142小学校区のうちの5900カ所をふやすための予算と、地域子ども教室の未実施1万6243小学校区のうちの1万カ所をふやすための予算が計上される、というような内容に見てとれます。
そこでお伺いいたしますが、従来から取り組んできた学童クラブに影響はあるのかないのか、また昭島市独自のマッテマステーションはどうなるのかなど、昭島市における学童クラブ、マッテマステーション、そして放課後子どもプランと、それぞれの事業に対する影響や位置づけなどはどのようになっているのか、わかりやすく教えてください。
それから、最近は小学生を対象とした犯罪などがふえていることもあり、多くの保護者たちは学童クラブに限らずすべての児童を対象とするこのプランに対して、大変な期待を寄せております。第3回定例会での稲垣議員の質問に対して、現在、学校教育、生涯学習の両部の職員によるプロジェクトを組み、具体的な連携・方策等について研究中である、国の具体的内容など今後の方向性が示された後、柔軟かつ適切に対応できるよう努めたい、と答弁されておりました。
来年度の実施に向けて、ある程度詳細が明らかになってきていることと思いますので、改めてお伺いいたしますが、全小学校区での実施ということがうたわれておりますが、市として具体的にどのように取り組む予定なのでしょうか。全校一斉の実施が望ましいわけでありますが、もしもモデル的に実施するならば、何校くらいを予定してどの学校で実施する予定なのかなど、可能な範囲で結構ですのでお聞かせください。
私の質問は以上です。
◎木戸教育長
赤沼泰雄議員の一般質問につきましては、私からいじめ問題の対応について御答弁を申し上げ、他の御質問につきましてはそれぞれ担当部長から御答弁を申し上げます。
いじめ問題は、子どもの自殺や不登校の引き金になるなど、大きな社会問題であります。いじめの多くは、自分より弱い立場にある者を対象として、集団で陰湿に攻撃したり無視するなど、人間の尊厳にも大きくかかわる問題であります。本市における過去5年間の発生件数は、平成13年度22件、14年度17件、15年度13件、16年度14件、そして17年度24件であり、依然として毎年発生している状況であります。
まず、個々の行為がいじめに当たるか否かの判断は、表面的、形式的に行うことなく、いじめと感じている児童・生徒の立場に立って行うとともに、苦しみ、傷ついている児童・生徒に、私たちがあなたを守り通しますという姿勢で臨み、慎重かつ速やかに対応することを基本といたしております。いじめは外から見えにくい形で行われることが多く、いじめの兆候を見逃してしまう危険性も高いことから、学級担任を中心に全教職員が自覚と責任を持って、児童・生徒が発する危険信号を見逃さないよう早期発見に努めることが重要であります。
教育委員会といたしましては、すべての学校に、いじめはどの子にも起こり得るものであるという視点に立ち、実情を把握するよう求めるとともに、いじめは絶対に許されないと、このような強い認識に立ち、規範意識を養い、豊かな人間性や社会性を備えた児童・生徒の育成を図り、いじめの未然防止に努めるよう求めているところであります。また、児童・生徒には、悩んでいるとき、困っているときには、迷わずに相談することが大切であることを何度も何度も繰り返し伝えているところであります。
今後も学校と家庭が一体となり、地域の御協力をお願いしながら、いじめ防止に努めてまいる所存であります。よろしく御理解を賜りますようお願い申し上げます。
◎橋本学校教育部長
いじめ撲滅の取り組みの御質問に関連して、スクールカウンセラーについて御答弁申し上げます。
本市では、中学校全校に臨床心理士のスクールカウンセラーを配置しております。また、小学校4校には臨床心理士のスクールカウンセラーを配置し、11校には臨床心理士を目指す大学院修了生を学校教育相談員として配置し、校内の教育相談体制を整えております。スクールカウンセラー及び学校教育相談員を配置することによって、学校の教育相談が専門的な見地により組織的に対応することが可能となりました。また、児童・生徒の心の悩みだけでなく、保護者、教職員相談に応じることもできるようになっております。児童・生徒が明るく生き生きと学校生活を過ごすためにも、スクールカウンセラーの担う役割はまことに大きいものがあります。今後もスクールカウンセラーを有効に活用し、児童・生徒の心の健康に努めてまいりたいと存じます。
次に、質問にございました紙上ピアサポートについて御答弁申し上げます。
いじめを受けている児童・生徒の中には、だれにもこれを打ち明けることができず、その苦悩を一人で抱え込んでしまう子どもも多いと思われます。このような児童・生徒については、いつでも相談することのできる環境が必要でございます。その一方法として、紙上ピアサポートはすぐれた手法と考えます。本市においても、無記名のアンケートを実施するなど、積極的に相談できる体制をつくっております。今後はさらに、いつでも相談できる雰囲気を醸成するとともに、さまざまな児童・生徒の相談に対応していくことができるよう、教育相談室等の充実を含め検討してまいりますので、よろしく御理解を賜りますようお願い申し上げます。
◎金子生涯学習部長
教育行政のうち、「放課後子どもプラン」について御答弁申し上げます。
近年における共働き世帯の増加や核家族化等の進行などから、学童クラブの入会希望者が年々増加し、あわせて待機児童も増加している状況にあります。現在、平成19年度の入会希望者数を把握するために、新入学予定児童に対し、就学時相談の機会をとらえ入会の意向調査を実施したところでございます。この調査結果や、現在の利用者及び待機児童数を加えますと、平成19年度につきましても、待機児童の多い学童クラブが数カ所見込まれるところでございます。
こうしたことから、平成19年度の待機児童への対応といたしましては、現在建築中の拝島第二学童クラブの建て替えに伴い、定員数を拡大するとともに、本年度緊急的に実施し、利用者から一定の評価をいただいております学童クラブ待機児童居場所づくり事業につきまして、待機児童が多く見込まれる学童クラブについて実施する方向で検討しているところでございます。
こうした学童クラブのニーズの増加や子どもの安全で安心な居場所づくりのために、国においては文部科学省と厚生労働省が連携した事業として、平成19年度放課後子どもプランが予定されております。この事業は、放課後子ども教室として、原則、全国のすべての小学校区におきまして、すべての児童を対象に、放課後等に小学校の学校施設を活用し、地域住民の参画を得、子どもたちに勉強や文化・スポーツ活動を行い、地域の方々との交流を図るとともに、学童クラブと連携した取り組みを実施するという内容になっております。
学童クラブは、留守家庭児童を対象に、専門の指導員が一人一人の児童の様子を把握する中で一定の流れをつくり、家庭にかわり保育指導を行っております。また、学童クラブ待機児童居場所づくり事業は、児童が学童クラブに入会するまでの間、専門の指導員が放課後の児童の過ごし方に一定の流れはつくりますが、利用に当たっては保護者と児童が十分に話し合い、あらかじめ利用日、利用時間を決める中で利用していただいているものでございます。
平成19年度においては、放課後における多様な子どもの居場所を提供するために、学童クラブ事業及び学童クラブ待機児童居場所づくり事業の実施とあわせ、放課後子ども教室事業についても学校の理解や地域の方々の御協力をいただきながら、実施校を絞りながら試行的な実施に向け準備してまいりたいと考えているところでございますので、よろしくお願いいたします。
