昭島市 平成17年3月 定例会(第1回)
3月3日
◆4番(赤沼泰雄議員)
ただいま議長の御指名をいただきましたので、通告に従い順次質問をさせていただきます。
まず第1点目に、昭島新時代のまちづくりについてお伺いいたします。
一昨日は、平成17年度施政方針並びに予算編成方針の中で、「これからの時代は、以前のように国が地方を導き、地方を形づくるのではなく、それぞれの地方みずからが進路を定め、みずからのまちをつくり上げていく時代であると考えます。夢を持つ自治体と持たざる自治体、またそれを実現できる自治体とできない自治体の間で、格差はますます広がってまいります。まさに自治体の真価が問われ、力量が試される時代となってまいりました」との、市長のまちづくりに対する並々ならぬ決意をお伺いしましたので、前向きな答弁を期待しながら質問させていただきます。
地方分権一括法によって、形の上では国と地方自治体は対等の関係ということになりましたし、三位一体改革など地方の権限と責任を大幅に拡大しようという時代の流れや、景観法の施行などにより、特色のある魅力ある分権社会にふさわしいまちにしようと、まちづくりに関する条例を策定する自治体がふえてきているようです。
周辺市の中でも、例えば、国分寺市の場合は、本年1月1日からまちづくり条例が施行されましたが、行政主体のまちづくりシステムから市民と市が連携・協働するまちづくりシステムへと移行させるため、また都市計画マスタープランで描かれたまちの将来像を達成する手段として、条例が必要だったとしております。
概略を紹介させていただきますと、まちづくりの基本理念、基本計画のもとに、①「市民と市が力を合わせる協働のまちづくり」において、まちづくり計画の策定から実施までの仕組みを定め、②「市民参画による都市計画の推進で、秩序あるまちづくり」において、都市計画の提案から決定までの手続などを定め、③「開発事業に伴う手続と基準など、協調協議のまちづくり」においては、開発事業に関する基準・手続・調整などを定めております。
また、国分寺市ではこれまで昭島市と同様に、開発事業に対しては宅地開発指導要綱などで都市環境の形成に努めてきましたが、1つには、要綱による開発指導行政は相手の任意の協力を前提としており、協力を拒否された場合に対抗措置を講じられないこと。2つには、建築基準法の改正に伴う建築確認制度の民間開放などによって、開発事業と地域まちづくりとの調整を行う「まちづくりサービス」を行う機会が限定され、開発事業者、地域住民、行政の3者が不要な混乱を招くおそれが生じてきたこと。さらには、地方分権一括法の制定により地方公共団体は、義務を課し権利を制限するには条例によらなければならないことが明確化したことなどから、指導要綱の性格と限界が明らかになってまいりました。そうした社会環境、行政環境の変化を踏まえて、これまでの開発指導要綱などを発展的にまちづくり条例に取り込んだとしております。
昭島市にも都市計画マスタープランというすばらしい構想があり、まちづくりに関する条例についてもさまざまと制定されてきておりますので、ここで他市のものとを比較するつもりはありません。しかし、住民が自分の住む自治体を選択する時代、また自治体が持てる魅力を競い合う時代になると言われている現在においては、行政だけでなく、市民の皆様などの意見を集約しながら、今まで以上に昭島市としての意思を持って、まちづくりにあらわしていくべきではないでしょうか。
立川基地跡地や横田基地などを初め昭島市周辺の環境が、今後10年、20年先にどのように変わっていくのか、今のところ不透明な状況にあります。しかし、だからこそ昭島市として目指すべきまちづくりの方向を条例化することによって、都市計画マスタープランを推進しやすい環境を整えていくことが必要だと思われます。14年後には新たなる都市計画マスタープランを策定することになると思われますが、今後50年、 100年と持続可能な、バランスのとれた魅力あるまちづくりに取り組むためにも、今から景観や環境保全、災害対策、自然生態系の保護や再生なども含む、一体的なまちづくりの推進のための「総合まちづくり条例」とも言うべき条例の策定に取り組むべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
また、同じく施政方針の中で、都市景観づくりに関するワークショップを始めるとありましたが、どのようなものを想定されているのでしょうか。まちづくり条例策定につながることを期待しながらお伺いするものですが、その内容や、目指す方向性など、具体的にお聞かせください。
次に、仮称「自然再生条例」の制定についてお伺いいたします。
欧米諸国の自治体の首長に、「これからのまちづくりのコンセプトは何ですか」と聞くと、異口同音に「持続可能な開発」「持続可能なまちづくり」という答えが返ってくるそうですが、日本の市町村長ではそのように答える人は余りいないようです。持続可能な開発とは、未来の世代を犠牲にすることなく、現在の必要を満たしていくことであると定義され、1992年の国連環境開発会議において、日本も世界 179カ国とともに持続可能な発展を目指すことを約束しております。しかし、現実にはそのような方向には向かえていないのが実情のようです。
そうした中にあって、昭島市は、平成12年3月に昭島市環境基本条例を制定し、平成14年3月には昭島市環境基本計画を策定、また平成15年9月のISO 14001認証取得や、昨年の9月には「奥多摩・昭島市民の森」植樹式を行うなど、これまでの環境保全に関するさまざまな取り組みについては大変評価するものであります。
平成15年6月に実施した昭島市市民意識調査では、「昭島市に今後とも住み続けたい」、そのような回答が63.8%を占めましたが、その理由としては、「昔から住んでいるから」が41.3%、「便利で暮らしやすいから」の23.3%に次いで、「緑が多く自然環境がよいから」が23.1%を占めております。このことは、市長が掲げる「人・まち・緑の共生都市 あきしま」に対する市民の期待の高さを示していると言えるのではないでしょうか。
それでは、将来にわたって緑が多く自然環境がよい昭島を築いていくためには何が必要か。持続可能な発展、持続可能なまちづくりのために必要となる具体的要素は何か。まず、ベースとして最も重要なものは、人間の生存基盤である太陽、大気、水、地下資源を含む土壌、それと野生の生き物といった自然生態系であることは間違いありません。しかしながら、その自然生態系が健全であるかどうかは、野生生物の状態が正常であるかどうかで判断できるそうでありますが、日本では既に3000種類を超える野生生物が絶滅寸前であり、非常に危うい状態と言われております。
1つの例を挙げてみますと、自然の一部を開発した後に、仮に9割の緑が残ったとします。それを食べる草食昆虫、そしてまた、それを食べていた肉食昆虫もまだ残ります。さらにそれを食べている野鳥も少し残っている。しかし、そのような開発を何度か繰り返すうちに、野鳥などを食べていた高次消費者と言われるタカやフクロウは、えさが減り、すむところを追われていなくなります。結果として、カラスなど特定の生物が異常にふえるという現象が起こります。さらに対症療法として、ふえてしまったカラスの捕獲などを行うと、今度はハトがふえて、人間に害を及ぼすという問題が起こっているのが今の東京の実態であります。
そのように、現代を生きる私たちは、これまでに地下資源を大量に掘り出し、野生生物を初め多くの自然を破壊しながら、第1次産業、第2次産業で大量生産し、大量流通、大量消費してきました。言い換えれば私たちの生存基盤をみずから壊しながら発展をしてまいりました。もちろん対症療法も短期的には重要ですが、長期的・根本的な解決方法は、タカやフクロウが生存できる環境を再生して、自然と共存したまちづくりをすることであります。それが持続可能な発展であり、持続可能なまちづくりであります。
また、自然生態系には地域特性がありますので、どこかに残しておけばよいというものではありません。昭島には昭島の生態系があり、私たちはそれを守り、未来の世代へ残していかなければなりません。自然生態系を守るためには、より広い面積をより円形に近い形で塊として残し、それらを緑道でつなぐのが最も効果的と言われております。したがって、土地の確保が基本になります。この考え方を都市計画、地域計画に反映させなければなりません。
そうした意味から考えると、昭島市環境基本条例や、昭島市の緑を守り育てる条例など、すばらしい条例もありますが、自然生態系の上に私たち人間が存在するのと同様に、あらゆる条例のベースとして、自然生態系の再生・保護を中心に据えた仮称「自然再生条例」をあえて制定すべきと考えますが、いかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。
次に、学力向上への取り組みについてお伺いします。
個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する戦後の教育制度ができてから半世紀以上が過ぎ、その間、教育の普及は日本人の学力を全体的に向上させ、戦後の日本経済の復興に大きく寄与してきたことは疑いのないところであります。しかしながら、1970年代に入ると校内・家庭内暴力、いじめ、不登校などの問題が深刻化し、その原因が学習指導要領の詰め込みにあると指摘されるようになりました。それまでの偏差値教育からの脱却、そしてゆとりを持つことで創造性を高め、個性を育成しようと、いわゆるゆとり教育の推進が図られ、平成14年4月には学習項目が3割削減された新学習指導要領に基づく教育がスタートし、公立小・中・高校では、土曜日がすべて休みとなる学校週5日制が導入されました。
しかし、学習内容を簡素化したことによる学力低下が叫ばれるなど、ゆとり教育と学力低下との関係について十分な吟味がなされないまま、ゆとり教育の見直しが声高に叫ばれるようになってきております。特に、昨年末に公表された経済開発協力機構の学力調査と国際教育到達度評価学会による国際比較調査結果で、日本の学力低下を示す数値が出されました。そうしたことを背景にしながら、現在、第三期中央教育審議会で学習指導要領の見直し論議が進められております。
そこで、まずお伺いいたしますが、昭島市の学力低下の実態についてはどのように把握されているのでしょうか。国全体あるいは東京都との比較など、わかる範囲で結構ですので、お聞かせください。
また、昭島市の中学生、高校生の高校・大学への進学率についてはいかがでしょうか。把握されているようでしたら、教えてください。
また、現在は教育だけでなく経済や環境、そしてかつてない少子高齢社会の到来など、あらゆる分野で過渡期を迎えております。そうした中、時間的、精神的にもゆとりを持って教育活動ができるという期待のもと、三学期制から二学期制に移行している自治体がふえております。平成13年度に仙台市が導入したのを初めとして、昨年9月の時点では、東京都だけを見ても、23区のうち10区で、また多摩地域でも26市3町1村のうち、7市1町で実施されております。
二学期制の主な効果としては、第1に、時間的ゆとりが生まれることにより、充実した学習活動の実践が可能となり、基礎・基本の確実な定着を図ることができるということです。各学期前後に行われていた始業式などの行事による授業の短縮が減り、授業時間は従来の三学期制よりも小学校で20から24時間ほどふえ、中学校では30時間程度ふえると言われております。第2に、1つの学期が長くなることにより、連続性のある学習活動が展開できます。夏季休業中が前期の途中にあるため、3者面談や補充教室などを実施し、一人一人にきめ細かな教育、指導ができ、前期の後半につなげる学びの継続、学びの定着、個性の伸長を図ることができます。そして第3に、児童一人一人の学習内容の理解や達成度などをより客観的に見ることができ、指導に生かすことができるということであります。
児童・生徒も満足しているという声が多く、教員にとっても指導や評価のための時間が十分とれ、児童一人一人に対してじっくりと指導ができるなど、肯定的であるようです。また、保護者からも教員と連絡が密にとれ、以前より学校生活や状況がよくわかるようになったという声など、全体的に二学期制を評価する声が多いようであります。
逆に、テストの回数の減少による学力低下を心配する保護者の声などもあるようですが、そうした声に対しては、従来の固定的な授業時間、小学校では45分、中学校は50分を改めて、15分または30分を1単位とするモジュール方式、または2単位時間をブロックとするブロック方式、あるいは時間の区切りチャイムをなくしたノーチャイム制の導入などで弾力的な時間割の運用を図り、学力低下に対して各校が工夫を凝らしているようです。
いずれにしましても、既に多くの自治体が二学期制を実施しており、評価するためのサンプルには事欠かない状態であると言えるのではないでしょうか。
昭島市として、そのメリット・デメリットについてどのような評価をされておりますか。また、導入の可能性も含めた今後の市の取り組みについてお聞かせください。
私の質問は、以上です。
◎北川市長
赤沼泰雄議員の一般質問につきまして、私から1点目の昭島新時代のまちづくりについて問うのうち、まちづくり条例の制定について御答弁申し上げ、他の質問につきましては担当部長から御答弁を申し上げます。
昭島市の将来を見据えたまちづくりにつきまして、これまでの利便性、また経済性に偏りがちなまちづくりから、利便性や経済性に加えまして、時間軸に幅を持たせたまちづくりが必要となりますために現在、課題の整理、また研究を行っておるところでございます。これからのまちづくりは、地域特性や景観への配慮、自然保護や環境の保全、災害に対する配慮などを加味したものにする必要がございます。まちづくりは人づくりとも言われておりますが、私もそのとおりだと思っております。市民や事業者の方にも御協力をいただきながら、市が調整役、連携役となって、協働して推し進めるまちづくりが最も望ましい形であると考えております。
まちづくりの指針となるべき総合まちづくり条例につきましては、その必要性は認識をいたしておるところでございますので、引き続き調査、検討をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。
続きまして、都市景観づくりに関するワークショップの内容、また方向性についてお答えをさせていただきます。
事業内容につきましては、一般公募の市民の方々にワークショップへ6回程度参加をいただき、会議とは別に市内踏査についても実施をする予定をいたしております。会議での御意見をもとに整理、集約をしていただきまして、これからの景観について、整備事業やまちづくりのための参考資料とさせていただきたいと存じます。
市民プラン策定後、ワークショップ各グループの代表の方々や、学識経験者、市の職員で構成するまちづくり検討委員会の発足を予定いたしております。この委員会では、ワークショップでの議論をもとに、景観整備事業の検討と景観に関する各分野での議論を進めていただくことを考えておりますので、よろしく御理解のほどをお願い申し上げます。
◎石川環境部長
1点目の昭島新時代のまちづくりについてのうち、仮称「自然再生条例」の制定について御答弁申し上げます。
都市化の進展に伴い、生活の身近なところから自然が失われ、地球規模での自然環境の破壊といったさまざまな環境問題が顕在化してきております。特に、都市部においては自然環境の衰退に伴い、都市環境の悪化や都市防災の面での大きなマイナス要因になるなど、自然としての緑の保全等が、まちづくりを形成していく上で大きな課題の一つとなっております。国においては、過去に失われた自然環境を取り戻すことを目的に、平成15年1月から自然再生推進法が施行されるなど、自然環境の保全などを行う動きが各自治体にも派生してきている状況にもございます。残された生態系の保全の強化に努めることはもちろんのこと、失われた自然環境を積極的に再生することは、自然と共生する地域社会を実現するためにも重要な課題であると、十分認識いたしておるところでございます。
本市では、御質問の中にもございました環境行政の新たな出発点として、環境基本条例を制定し、環境基本計画や緑の基本計画など各種計画を作成する中で、環境への影響に配慮した各事業に取り組んでいるところでございます。また、本市における公共施設の整備に当たりましては、環境保全への配慮をする中で、これまでも公共施設緑化等を推進してきているところでございます。また、一定規模以上の開発行為に伴う事業者に対しては、開発指導を行う中で緑の確保など、自然環境に配慮した取り組みが行われてきております。
自然環境の保全等は地域住民等の理解が深くかかわりますので、環境学習講座の開催など、市民みずからが環境教育の効用を図っていく場のすそ野を広げていくことも重要であると考えております。また、新年度から景観まちづくり事業が端緒についたところでもございます。
いずれにしても、こうした状況等の整合性を勘案し、緑を守り育てる条例の改正も視野に入れていく中で、環境基本計画等のさらなる着実な推進を図ることで、御質問の趣旨を反映していきたいと考えておりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。
◎木戸学校教育部長
学力向上への取り組みについて御答弁を申し上げます。
まず、昭島市の児童・生徒の学力問題についてでありますが、昨年2月に都内の公立中学校2年生に対しまして、5教科のテストが実施されました。その結果では、いずれの教科も東京都の全体平均を下回ってしまいました。この数値のみをもって学力低下と決めつけるわけにはいきませんが、結果は結果として受けとめなくてはならないと存じております。教育委員会といたしましては、学力向上のための指導方法の工夫、改善に役立てるよう調査結果を各学校に示し、自分の学校の授業改善推進プランを立案するよう求めたところであり、各学校においては、プランを立て授業改善を進めているところであります。今後も個に応じた指導を通して、児童・生徒が基礎・基本を確実に習得できるよう最大限努力してまいります。
また、昭島市の生徒の進学率についての御質問がありました。大学への進学率につきましては把握が困難でありますが、高校への進学率につきましては、約96%というようになっております。
次に、二学期制についてでありますが、学校完全週5日制の実施により窮屈になったと言われる授業時間の確保に、ゆとりを持たせる一つの方策として、二学期制を導入する学校が出てきております。二学期制とは、1年間の区切りを前期と後期の2つに分け学校教育を行うもので、利点がある反面、課題も挙げられております。その利点といたしましては、学期の前後に行われる始業式、終業式や定期テストの回数が減り、その分、授業時数を確保することができる。また年間の指導計画において、前期はすべての基礎づくり、後期は充実、発展、高まりを目指すことができることなどが挙げられております。また課題といたしましては、定期テストの回数が減ることで、児童・生徒の学習意欲の持続について心配がある。評価の回数が3回から2回に減ることにより、学習成果の把握がしにくくなり、入学者選抜への不安が出てくることなどが挙げられております。
現在、市内の学校でも実施に向けた検討が行われておりますが、教育委員会といたしましては、二学期制への移行につきましては各学校の意向を尊重することといたしており、実施に当たっては、こうした課題を解決し、児童・生徒や保護者に十分な説明をするなど、不安解消に努めるよう求めてまいる所存であります。
以上、よろしく御理解を賜りますようお願い申し上げます。
