カテゴリー(政治)

認知症対策について議論する国際会議が5日から、東京で開かれている。同会議は、昨年12月にロンドンで初めて行われた主要8カ国(G8)の「認知症サミット」に続く国際会議の一つだ。「認知症のケアと予防」をテーマに、世界保健機関(WHO)や各国の政府関係者、医療従事者らが現状や課題を話し合っている。
 認知症患者の増加は日本以外の先進国でも大きな課題となっている。WHOによると、世界の認知症患者(推計)は現在の約3600万人から、2050年には3倍以上の1億1540万人に達する見通しだ。
 既に、認知症の進行を抑える薬は開発されているが、根本的な治療法や治療薬は確立されていない。未解明な部分が多い認知症の研究に国際協力は欠かせない。このため、昨年のサミットでは、25年までの治療法確立をめざし、研究費の大幅な増額や研究データの共有で合意した。さらに来年3月をめどに、WHO主催の総括的な保健相会合を開催することも検討されている。
 日本政府は各国と知見や経験を幅広く共有し、施策の充実につなげるとともに、認知症対策で主導的な取り組みを示してほしい。
 欧米主要国は、国を挙げた対策に乗り出している。英国は09年に「国家認知症戦略」を策定、米国では法律を制定し、国家戦略を発表した。オランダ、フランスも対策を進めている。
 日本は国民全体に対する高齢者の割合が参加国の中で最も高い。本来なら世界をリードすべき立場にあるが、欧米に比べ対策はどれほど進んでいるだろうか。
 厚生労働省は昨年度から、早期診断と患者・家族の支援に力点を置いた「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を進めているが、同省だけで実施する対策には限界があるだろう。省庁の枠組みを越えた施策の充実が求められる。
 政府は今秋、関係府省庁で情報を共有する連絡会議を設置し、連携強化に乗り出した。一定の前進ではあるが、やはり欧米主要国のように、認知症対策を国家戦略として打ち立て、官民を挙げて取り組むべきである。

公明党の山口那津男代表は28日、日本を訪問している韓国国会の鄭義和議長、韓日議員連盟の金泰煥会長代行らと都内で懇談し、両国の関係改善に向けた取り組みをさらに強化することを確認した。
 これには公明党の漆原良夫中央幹事会会長、上田勇国際委員長(衆院議員)、高木美智代女性副委員長(同)、遠山清彦国際局長(同)が同席した。
 鄭議長は席上、両国の関係改善に向け「韓日の議員交流を、若手も含めてさらに多面的に進めることが大切」と提案。文化面での交流の重要性も指摘し、「両国の未来は必ず良い方向に向かうと信じている」と強調した。
 一方、金会長代行は、2年以上も首脳会談が開催されていない現状に触れた上で、「大胆かつ大局的な観点から解決の糸口を見いだすために、公明党の力添えをお願いしたい」と述べた。
 山口代表は、日韓議連と韓日議連が25日にソウルで開いた合同総会で採択した共同声明について、「両国の主要な問題をよくまとめていただいた」と評価。来年の日韓国交正常化50周年に向け、「未来志向の関係を築けるよう努力を重ねたい」と語った。

政府・与党は、B級グルメや特産品などの地域資源を生かした、新たな「ふるさと名物」の商品化や販路開拓の支援に乗り出す。地域資源を生かした活性化策に取り組む自治体の事例を紹介する。
 『ワインで人を呼び込む/山梨・甲州市 フルーツマラソンも開催』
 今月19日、晴天に恵まれた山梨県甲州市で、第5回「甲州フルーツマラソン大会」が開催された。県内外約5000人のランナーがゴールした後、提供されたのは「甲州ワイン」と「ぶどうジュース」だ。同大会担当者は「大会を通じて、甲州市の魅力を楽しんでもらえたら」と交流人口の増加にも期待を寄せる。
 「甲州ワイン」は日本固有のブドウ品種「甲州ぶどう」を原料とするワインの総称だ。一大産地の同市では、行政や酒造組合、事業者が力を合わせてブランド化に取り組んでいる。
 2010年には、条例で「甲州市原産地呼称ワイン認証制度」が制定された。品質保証だけでなく、ワインの原料となるブドウのトレーサビリティー(生産・流通の履歴)を徹底することが目的だ。また、市長自ら海外に出向いてトップセールス。一部の事業者から甲州ワインの輸出が始まるなど、新たな販路拡大につながっている。
 このほか、県庁の仲介でベンチャー企業と地元大学が共同開発したワイン酵母で発酵させたヨーグルトや、ワインの精製時に発生するブドウの絞りかすを牛の飼料に使用した甲州ワインビーフなど関連商品への展開も進んでいる。
 先月は甲州種のブドウからつくられたワインの普及を促進するため「乾杯条例」も制定された。市担当者は「和食にも合う甲州ワインは、まだまだ広がりがある」と今後の展開に期待を込める。
 『地元の“資源”を商品化』
 地域資源に着目してヒット商品を生み出し、自治体のPR効果までもたらした事例は少なくない。
 例えば、四国タオル工業組合が外部のデザイナーを起用してブランド化に成功したのが、「今治タオル」(愛媛県今治市)。地元農協が豊富に採れるゆずを加工して開発したドリンク「ごっくん馬路村」(高知県馬路村)も全国的に有名だ。
 過疎地でもユニークな活性化策が展開されている。和歌山県北山村は、人口約460人、高齢化率50%、全国唯一の“飛び地”の村として知られる。この村で行政が旗振り役となって、民間企業感覚で観光いかだ下りや、村内の特産品のかんきつ類「じゃばら」の加工・販売の直営事業を展開。村の税収約6000万円に対し、4億円を超える直営事業の収入を挙げている。
 人口約1800人の山村、福島県三島町。積雪期、農家が日常生活に用いる籠などを製作していた奥会津編み組細工の伝統技術があった。デザイナーの助言で現代風にアレンジされたバッグなどを作ったところ、大きな話題に。都内でも販売されるようになった。
 『需要創生法案』
 『中小企業の受注機会を拡大/市区町村の積極関与促す』
 政府・与党は2007年、地域の「強み」となる資源を掘り起こして活性化を図るため、中小企業地域資源活用促進法を制定した。
 同法は、農作物や観光資源など地域の特産物を「地域産業資源」として都道府県が指定し、中小企業などからの事業計画を国が認定すれば資金面での支援措置を受けられる。しかし、今年9月現在で認定件数が1234件にとどまり、「認定事業のほとんどが個別企業によるもので、地域経済への波及効果が限定的」(中小企業庁)なことが課題だ。
 そこで政府・与党は、創業間もない中小企業の受注機会を拡大するため、関連3法を一括して改正する中小企業需要創生法案を今臨時国会に提出し、成立をめざしている。
 同法案の官公需法改正案では、事業実績の乏しさから受注機会が限られる創業10年未満の中小企業を「新規中小企業者」と定義し、官公庁からの受注を後押しする。
 一方、中小企業地域資源活用促進法改正案は、事業を個別企業だけにとどまらず地域ぐるみの活動に広げるため、「ふるさと名物応援宣言」の形で市区町村が積極関与することで地域経済に広く波及させる。
 中小企業庁は「ふるさと名物をテコに、地域挙げて需要を掘り起こしていきたい」と期待を込める。

2014年10月09日

 参院予算委員会は8日、安倍晋三首相と全閣僚が出席して総括質疑を行った。公明党からは荒木清寛参院政策審議会長、佐々木さやかさんが質問に立ち、外交や「持続可能な開発のための教育(ESD)」、女性・若者の活躍推進などについて政府の見解を求めた。

 荒木氏は、日中関係の改善に向けて「政治、経済、文化などあらゆる分野で官民挙げての対話・交流を深めるべきだ」と強調。安倍首相は「幅広い分野における協力、対話を積極的に進めていく」と述べた。
 併せて、荒木氏が日韓関係について、11月に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)での首脳会談実現を求めたのに対し、首相は「国際会議の機会に首脳会談ができればよいと思う」と答えた。
 続いて荒木氏は、年齢や障がいの有無に関係なく利用できる「共生型福祉施設」に言及。宮城県内の施設で、高齢者、障がい者、子どものそれぞれ独立した部屋を設置しなければならないなどの制約により、運営に支障を来した事例を挙げ、「しゃくし定規な施設基準の適用を改めるべきだ」と迫った。塩崎恭久厚生労働相は、柔軟な運用は可能であるとの認識を示し、「運用方法を周知徹底して、臨機応変にしていけるようにしたい」と表明した。
 また、小児がん対策で荒木氏は、治療後の療養上の相談支援や長期支援体制の整備・拡充、就労支援対策などを「積極的に進めるべきだ」と要請した。
 さらに荒木氏は、環境や他文化理解などを通して子どもたちの地球市民としての価値観を育む、国連の「持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」が今年で最終年を迎えたことから、学校での取り組み推進へ、ESDの意義や指導方法の一層の周知に加えて、「実施促進のための支援の充実を」と訴えた。下村博文文部科学相は「施策の充実に取り組む」と語った。
 『「マタハラ」防止 義務付けよ』
 一方、佐々木さんは、働く女性が妊娠・出産を理由に解雇されたり、退職を勧められるなど、心ない言葉を言われるマタニティー・ハラスメント(マタハラ)の相談件数が増加している点に言及。「今国会で提出予定の『女性の活躍推進法案』で、企業にマタハラ防止の行動計画策定を義務付けるべきだ」と指摘した。
 塩崎厚労相は「各企業が行動計画策定に当たって参考となる指針を定めることを検討している」と答えた。
 また佐々木さんは、女性が暮らしやすい安全な社会づくりに向けてストーカー対策や性犯罪被害者支援策の強化を求めた。
 ニートなどの若者支援に関して佐々木さんは、個別の状況に応じた自立・就労支援を行う「地域若者サポートステーション」(サポステ)の安定財源が確保されていないことを指摘。「法的位置付けを明確にして、専門的な相談支援を安定的に継続するべきだ」と訴えた。
 厚労相は「サポステは若者の職業的な自立を図る重要な事業であり、安定的な運営が必要だ」と述べた上で、支援の充実に取り組む考えを示した。
 このほか佐々木さんは、自宅で働く障がい者への支援について、在宅就業者に仕事を依頼することが企業の利益となる仕組みが必要だと主張。仕事の依頼を企業の障がい者雇用率に反映させる仕組みを提案した。

今国会の最重要法案と位置付けられる地方創生関連法案を審議する衆院特別委員会が、きょうにも設置される。止まらない少子化・人口減少と東京圏への過度な一極集中をどう是正するか。危機感が高まる地方自治体や経済界の関心は極めて高い。徹底かつ迅速な審議を期待したい。
 人口が急減すれば労働力が減り、経済成長が鈍り、医療や介護などの社会保障制度の維持も難しくなる。多くの行政サービスが低下し人々の暮らしに支障をきたすことになれば、日本社会が直面したことのない重大な事態を招く。実際、秋田県では毎年1万人を超える人口減少が続いており、全国知事会が7月、「少子化非常事態宣言」を出すなど、対策の具体化は待ったなしだ。
 閣議決定された地方創生関連法案は、人口減少対策とともに、中央省庁がバラバラに進めてきた地域活性化施策を一括し、地方にとって使い勝手の良い仕組みづくりをめざす。法案成立後、年内にも5年間の総合戦略と50年後の長期ビジョンを国としてまとめる。都道府県、市区町村でもそれぞれ総合戦略を策定し、活性化に取り組む流れが決まる。地域の将来を左右する意思決定だけに、そこで暮らす人々の声をいかに反映できるかが重要なポイントである。
 地方創生に取り組む公明党の姿勢は、山口那津男代表が2日の参院代表質問で言及した「人が生きる、地方創生。」に尽きよう。結党以来、全国の公明党議員は、人が何を望み、どんな不安を抱き、どうありたいと願っているのかを知るために、人のもとにこつこつと足を運び、粘り強くその声に耳を傾けてきた。人と人は時間をかけなければ、分かり合うことはできないからだ。
 地方経済の再生や雇用の確保、少子化対策の環境整備に主軸があるようにとられがちな地方創生だが、公明党の視点は、あくまでもそこに住む「人」にある。人が希望を持ち、生き生きと暮らせる「まちづくり」はどうあるべきか。地域の中に飛び込んで汗をかく「現場主義」を胸に、この直面する課題に挑みたい。
 「人が生きる、地方創生。」の実現に向け、公明党は果敢に挑戦していく。

日米両政府が、日米防衛協力の指針(ガイドライン)見直しの中間報告を公表した。平時、日本有事、周辺有事という現指針の3分類はなくす方向で、より迅速、柔軟で実効性ある日米協力を可能にすることが柱である。

 1997年の現指針に基づいて99年に成立した周辺事態法は、朝鮮半島有事を念頭に、補給、輸送など様々な対米支援を定めた歴史的な安全保障法制だ。だが、周辺事態の認定のハードルは高く、活用しづらいのは否めない。

 北朝鮮の弾道ミサイル発射を、海上自衛隊とともに警戒中の米軍艦船にさえ給油できない、といった問題点も指摘されていた。

 武装集団による離島占拠など、平時でも有事でもないグレーゾーン事態の発生時に、自衛隊と米軍が緊密に連携し、効果的に対応する制度を整えることが急務だ。

 中間報告が具体的な協力として「アセット(装備品等)防護」を明記したのは重要である。

 7月の新政府見解が集団的自衛権の行使の限定容認に加え、グレーゾーン事態での米艦防護を盛り込んだのを踏まえたものだ。海自艦船が攻撃された時と同様の自衛隊法95条に基づく武器使用を、米艦防護にも適用させる。

 日本周辺での日米共同の警戒監視活動を円滑にし、双方の信頼関係を高めると評価できる。

 集団的自衛権の行使に関する詳細は中間報告に盛り込まれず、年末の策定を目指す最終報告に先送りされた。日米同盟の抑止力を強化するための中核的要素であり、新指針では、明確かつ具体的に記述する必要がある。

 中間報告は、アジアと世界における日米協力の強化や、豪州や韓国を念頭に、地域の同盟国やパートナーとの3か国・多国間の安保協力の推進も盛り込んだ。

 現指針の策定後、日米の安保協力は、インド洋での給油、イラク復興支援、海賊対処、災害救援など、世界規模に拡大している。

 新指針にこの実態を反映し、さらに多様な国際平和協力活動を打ち出すことは、地域の平和と安定に貢献する日米同盟の「公共財」的性格を強める意義を持とう。

 米国は中間報告発表に先立って韓国に内容を説明し、理解を求めた。適切な対応だ。日本も、日本側の意図や法整備方針を周辺国に丁寧に説明し、指針改定の透明性を高めることが欠かせない。

いかに抑止力を高め、日本の平和と安全を確保するのか。与野党は、現実に即した安全保障論議を深めるべきだ。

 安倍改造内閣で初めての本格的な国会論戦となる衆院予算委員会での質疑が始まった。

 民主党の枝野幹事長は、集団的自衛権行使を限定容認する新政府見解について「どうにでも読める要件を付け、(容認範囲が)どこまで広がるのか」と批判した。

 特に、中東での自衛隊による機雷除去の事例に関して「(集団的自衛権行使が認められる)他国から攻撃を受けた場合に準ずるケースなのか」と疑問を呈した。

 安倍首相は「例えば、ホルムズ海峡は、日本のエネルギー安全保障の生命線だ。(行使容認の)事態は生じ得る」と主張した。

 様々な危機を想定し、適切に対処できる法制と実施体制を整えるのは、安全保障の要諦だ。民主党も、政権を担当し、その必要性を痛感したはずではないか。

 新見解が停戦前の機雷除去を可能にしたのは、適切である。

 民主党は、日本の安全保障環境の悪化を直視し、先送りしている行使容認の是非の党見解について早急に結論を出すべきだ。

 首相は、新見解について、従来の憲法解釈と一定の整合性が取れていると強調した。イラク戦争のようなケースで軍事的作戦に参加することはないとも明言した。

 新見解で、集団的自衛権の行使は「国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」などに限定されている。首相は、この内容と意義を丁寧に説明し、国民の理解を広げねばならない。

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」について、民主党の前原誠司元代表は「実質賃金が下がり、サラリーマンらの暮らしは苦しくなった」と非難した。

 首相は「(物価上昇に)なるべく早く賃金が追いつくようにしたい。機動的な財政政策、成長戦略を進めていく」と反論した。

 企業の収益増を賃上げや消費拡大につなげる「経済の好循環」の実現には、雇用の拡大や非正規労働者の待遇改善が欠かせない。どんな政策でこれを後押しするか、与野党は議論する必要がある。

 首相は、消費税率の10%への引き上げについて「デフレ脱却を優先しており、生き物である経済を見ながら判断する」と語った。

 首相は年内に、消費増税の是非について政治決断が求められる。民主党も、増税の民自公3党合意の当事者である以上、責任ある議論を国会で展開してほしい。

 「地方創生」や「女性の活躍」といった異論をはさみにくいテーマを前面に掲げる一方で、集団的自衛権の行使容認や消費税率の再引き上げなど国民の間でも意見が分かれる課題には触れたがらない。そんな姿勢が鮮明な安倍晋三首相に対して野党がどう論戦に挑むのか。臨時国会の焦点はそこにある。

衆参両院での代表質問で目を引いたのは、民主党の海江田万里代表が「アベノミクスの企業利益最優先の政策は間違い」と断じて政権との対決姿勢を一段と強めた点だ。また新たに発足した維新の党の江田憲司共同代表も歩調を合わせるように政権批判を展開した。この結果、今後の論点が見えてきたのは確かだろう。

 例えば地方創生。海江田氏は「首相は『バラマキ型の投資をしない』というが、来年度予算の概算要求では各府省が縦割りの水膨れ要求をしている」と追及。これに対して首相は「効果の高い施策を集中的に実施する」などと答えただけだった。

 また海江田氏は女性の活用に関して非正規雇用で子育てしているシングルマザーを例に挙げ、「輝きたくても輝けない、生活に追われて苦しんでいる女性にどんな施策を講じるのか」とただした。地方創生も含めて、「やればできる」と首相が力説するだけでは進まない深刻な現実がある。その指摘には私たちも同感であり、首相は謙虚に耳を傾けるべきだ。そして、こうした課題については野党も具体策を積極的に示し、政治全体で取り組んでもらいたい。

 所信表明演説で首相が触れなかった憲法解釈変更問題を各党が追及したのは当然だ。首相の答弁は従来の説明をなぞるだけだったが、今回の解釈変更には、さまざまな疑問点や問題点が置き去りになったままだ。

 首相は「建設的な議論を行いたい」とも答えた。そのためには今国会の予算委員会などの場で集中審議を改めて行う必要があろう。無論、この問題では民主党も党内意見を早急にまとめないといけない。そうでないと首相との議論は進まない。

 もう一つ、見逃せない問題も代表質問で取り上げられた。山谷えり子国家公安委員長が2009年、在日韓国・朝鮮人の排斥を訴える「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の関係者と一緒に写真を撮っていた一件だ。さらに高市早苗総務相や自民党の稲田朋美政調会長らが、ナチスの思想に同調しているとみられる極右団体の代表と以前、写真撮影をしていたことも明らかになっている。

 山谷氏らはこうした団体の関係者とは知らなかったと説明しているが、安倍内閣の人権意識や歴史認識にもかかわる重大な問題だ。国会の場できちんと説明する必要がある。

 臨時国会が29日召集され、安倍晋三首相による所信表明演説が行われた。首相は地方と女性の活躍を重視しつつ経済成長を目指していく姿勢を強調した。

野党と対決色の薄そうな課題を主軸に据える一方で、消費税の再増税や集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈変更などの問題にはほとんど言及しなかった。臨時国会のテーマと頼む「地方創生」も構造的に人口減少に取り組む本気度が伝わったとはいいがたい。改造内閣の掲げる「実行実現」の中身が問われよう。

 通常国会が閉幕して3カ月を経てやっと始まる論戦だ。首相が演説で日中関係で「安定的な友好関係」を掲げ、首脳会談の早期実現に意欲を示したことは評価できる。

 だが、全体としてみれば、演説は内外の課題への方針を率直に訴えかけるものではなかった。

 さきの国会の閉幕後に行われた集団的自衛権行使を可能とする閣議決定について直接の言及はなく「切れ目のない安全保障法制の整備に向けた準備」を表明するなどにとどまった。いくら法整備を来年に先送りしたからといって、解釈改憲の具体的な中身の説明を進んでしないようでは、議論なき既成事実化を図ったとすら取られかねない。

 税率を10%に引き上げるかの判断を12月に迫られる消費増税問題も、さきの引き上げに伴う影響への「目配り」の指摘にとどめた。自民党の谷垣禎一幹事長は再増税をしない場合の財政への危険を強調するが、一方で先送り論も根強い。首相の基本姿勢を示すべきではないか。

 地方創生にも不安がある。首相は「人口減少は避けられない」との見方を悲観的だとまで言い切った。「次元の異なる大胆な政策をまとめる」と説明、各地で展開する地域再生の取り組みを紹介した。

 地方の人口減少問題が注目された端緒は民間研究機関による「消滅可能性自治体」の公表だった。人口減少の流れ自体は不可避だとしても地方での減少を可能な限り食い止めることが議論の主眼だったはずだ。

 首相も「地方が直面する構造的な課題は深刻」だと語った。だが、その背景以上に演説では「若者がチャレンジしやすい環境」「発想の転換」が強調された。国会に提出された基本法案は具体的な施策の中身まで示したものではない。「やれば、できる」と地方を督励するのであれば、それを裏付ける「異次元」政策のイメージをもっと語るべきだった。

 地方創生、女性の進出ともに政策に十分な中身が伴わなければ論戦の主役たり得ない。位置づけがあいまいな国会とならぬよう、野党も論点の提示に努めなければならない。

次の50年へ勇躍前進!
―公明党全国大会を開催―

○皆さん、こんにちは!こちらは公明党でございます。公明党は去る9月21日に結党50年を記念する公明党全国大会を開催し、再任した山口那津男代み表を中心に「次の50年」へ力強く出発いたしました。政党の離合集散が激しい中で、50年の節目を迎えられたのは、公明党に期待し、ご支持くださった国民の皆さまのご支援の賜物であります。心より感謝申し上げます。

〇公明党は「大衆とともに」の立党精神を不変の原点とし、「中道」の旗を高く掲げ、常に庶民・大衆の側に立った政治の実現をめざしてきました。「中道主義」を実践していくキーワードは「合意形成」です。国家や国民にとって何がプラスになるのか。世界の中で日本がどう貢献していくべきか。国民の意見が多様化すればするほど、それらをまとめ上げ合意を図る政党の役割は極めて重要になってきます。

〇その上で、公明党には、一人一人の議員が地域に深く根を下ろした現場第一主義と、草の根の対話で国民のニーズをつかむ力があります。さらに議員同士の、また議員と支持者の皆さまによる連携、ネットワークの力は党の誇るべき最大の財産と言っても過言ではありません。時代の要請に柔軟に対応し、調和のとれた合意形成の軸となって政治の舵取りをリードする役割を今後も担い続けてまいる決意です。

○さて、公明党が自公連立政権に再び参加し、1年9か月が経ちました。この間、東日本大震災からの復興加速、経済再生、社会保障と税の一体改革を最重要課題に掲げ、真正面から取り組んでまいりました。これら三つの最重要課題は、いずれも今が確実な成果を国民に示す正念場であり、さらに党の総力を挙げてまいります。

○復興加速については、「人間の復興」を最終目標に掲げ、発災から3年半が過ぎた今もなお避難生活を送る24万人以上の方々が、安心して暮らせる町づくりを目に見える形で仕上げてまいります。原発事故に見舞われた福島についても、帰還・復興計画を確実に実行し、帰還困難区域も「5年後には住めるまち」をめざしてまいります。

○経済再生については、景気回復の流れを確かなものにするため、さらなる賃金引き上げによる「経済の好循環」を一段と強くしていかなければなりません。そのためにも経済再生のカギを握る、国内総生産(GDP)や雇用の約7割を占める地方経済圏の活性化を進めてまいります。経営、金融支援を強化し、一人当たりの生産性を高める施策や女性や高齢者、若者や障がい者の就労を促してまいります。

○社会保障と税の一体改革では、年金・医療・介護に子育て支援を加えた持続可能な社会保障制度の構築へ全力を挙げます。特に、住み慣れた地域で医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを一体で受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を全国各地で進めてまいります。

○持続可能な社会保障制度を確立するための財源に係る消費税率の引き上げについても、経済状況を十分に考慮し、税率引き上げの可否を判断する環境を整えるためにも経済に勢いをつける必要があります。併せて国民の約8割が支持する軽減税率の導入を強く求めてまいります。

○公明党は、これらの最重要課題に全力で取り組んでいくとともに、今後避けることのできない人口減少下での地方創生、女性・若者の活躍の促進、防災・減災対策、さらに隣国である中国や韓国との関係改善に向けた外交面も力強く推し進めてまいります。

○結党50年を越え、新たな飛躍をめざし、次代を担う党の揺るぎない基盤を築くためにも、明年春の統一選に完勝し、衆望を担う公明党としての役割を存分に発揮してまいる決意です。今後も公明党への力強いご支援、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

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愛西市 竹村仁司
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