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平成25年第1回足立区議会定例会が始まる

未分類 / 2013年2月21日

 平成25年第1回足立区議会定例会が35日間に渡って始まりました。足立区の様々な課題などについて積極的な質疑を展開していこうと思っています。区長の所信の要旨は下記の通りです。

               記

 平成25年第1回足立区議会定例会の開会に当たり、所信の一端を申し上げます。

 平成15年から昨年までの10年間で、外国人を除く足立区の人口は、約2万5千人増加致しましたが、年齢別の人口では、14歳以下の幼年人口が約2千人の減、15歳から64歳までの生産年齢人口が約1万6千人の減であるのに対し、65歳以上の高齢者人口は約4万3千人の増となっております。また高齢化が加速度的に進行していることに伴って、一人暮らし高齢者や高齢者だけの世帯の増加も顕著です。

 社会の構造変化が進む中、区財政は経常収支比率が平成21年度以降3年連続して適正水準である80%を越え硬直化が進んでおります。

 今、区がなすべきことは、区政が本来担う行政サービスは何かを厳しく見極め、課題を先送りすることなく、既存事業の徹底的な検証と見直しを進めて、無駄のない機動的な事業体系を構築する一方で、新たな区民ニーズを先取りし、区民の自己責任だけでは解決できない領域での事業を展開していくことです。

 そこで「明日のために 時代の変化に挑む!」予算とした平成24年度予算に続き、25年度予算は、「確かな明日のために 今、さらなる挑戦」と銘打ち、今なすべきことを迅速かつ着実に実行してまいります。

 平成25年度当初予算案の概要をご説明致します。一般会計総額は2586億円、対前年度比150億円6.2%の増額。国民健康保険特別会計は約846億円で対前年度比7億円0.8%の増額。介護保険特別会計は約452億円で、対前年度比23億円5.3%の増額。後期高齢者医療特別会計は約119億円で対前年度比5億円4.5%の増額となります。一般会計は減債基金を財源とする特別区債の満期一括償還に伴う歳入・歳出の一時的な増減を除いて実質的な比較を行うと、対前年度比で151億円6.2%の増額予算となっております。これは投資的経費が増額したことが主な要因であり、鉄道立体化の促進で50億円、公園等の整備事業で42億円、区立小学校の改築事業で36億円、生活保護費で17億円、地区計画の策定及び整備事業で10億円、特別会計繰出金で9億円などの増額と、こども科学館の改修事業で15億円、土地区画整備事業で8億円などの減額との差し引きによるものでございます。

 政府の月例経済報告によりますと、東日本大震災の復興需要により緩やかな回復を続けていた日本経済は、ここ数か月間、海外経済の減速により弱い動きになっているとされております。新政権の経済対策への期待が高まっておりますが、景気動向は依然として予断を許さない状況です。歳入の根幹をなす特別区民税や都区財政調整交付金は、平成24年度決算見込額と比較すると大幅な増収を期待することはできず、25年度予算は、財源対策としての83億円を含め、185億円の基金を取り崩して予算を編成致しました。

 次に各施策のうち、子ども施策です。これまで、子どもたちの基礎的・基本的な学力の定着を図るため、様々な施策に取り組んでまいりましたが、学力のさらなる定着と向上を目指し、小・中学校や保育園等における効果的な経営の実現に向けた支援を徹底していくため、「教育次長」の組織を新設する予定です。校長・副校長や園長に対して、区や教育委員会の方針を徹底させ、学校・保育園等への個別指導や連携・協力のための体制を整えてまいります。

 一方、足立区が保有する施設の総面積の約6割を占める学校施設の更新問題は、区全体の公共施設更新の中でも大きな課題です。今なお多くの小・中学校は小規模傾向にあり、昭和50年代に比べて約半分に減少している児童・生徒数に見合う学校数に縮減していく必要があります。限られた財源の中で、安全かつ良好な教育環境を提供していくために、適正規模・適正配置事業と施設更新事業とを連動させて取り組んでまいります。

 次にギャラクシティについて、子ども達の成長を支える夢とチャレンジのフィールドとして、この4月に新しく生まれ変わります。最新鋭のプラネタリウムや国内最大級のスペースアスレチックなどが導入されます。世界で一番高い場所にあるチリのアタカマの天文台からの星空映像をはじめ、学校や他の施設では味わえない特別な体験を通じて、子ども一人ひとりの可能性を広げ、夢に出会い、夢に挑戦できる子どもを育ててまいります。

 次に子宮頸がん・ヒブ・小児用肺炎球菌ワクチンですが、予防効果の高いワクチンであり、平成25年度に定期接種化が見込まれています。足立区では4月接種分から、これまでの子宮頸がんワクチンに加え、ヒブ・小児用肺炎球菌ワクチンについても、接種費用の全額助成を開始するための予算を計上致しました。これに伴う予防接種費用の財源の一部を捻出するため、がん検診につきましては自己負担を導入させていただきたいと考えております。

 第2はくらし施策です。現代社会の様々な課題の根底に横たわる社会的孤立に挑む「孤立ゼロプロジェクト推進に関する条例」が、この1月に施行されました。現在、区内の33町会・自治会エリアが先行して、町会・自治会と民生・児童委員の皆様の協働により、介護保険サービスを利用していない70歳以上の単身世帯と75歳以上の高齢者だけの世帯に対する実態調査に取り組んでいただいております。平成25年度は、この先行調査で明らかになった手法上の問題点を修正しながら、本プロジェクトが足立区全域に拡大していくよう、各町会・自治会の皆様に働きかけてまいります。孤立ゼロプロジェクトは、みんなで支えあって暮らすという一つの生き方を提示して、地域のちからを結集して行う「まちづくり」の取り組みです。粘り強く確実に一歩一歩進めてまいります。

 次に防犯対策ですが、昨年の区内の刑法犯認知件数は、37年ぶりに1万件を下回りました。平成21年に警視庁と覚書を交わし、この3年間、犯罪件数の抑制に全力を挙げてまいりました結果、昨年は抑止目標の1万件を大きく下回る9,141件となり、都内ワーストワンを返上することができました。これもひとえに区議会や地域の皆様をはじめ、関係各位のご協力の賜物であり、深く感謝申しげます。本年は国体開催に伴い、全国から多数のお客様がおいでになりますので、「安全で安心なまち、足立」をテーマに引き続き防犯対策に取り組んでまいります。

 足立区の生活保護世帯数は、約1万8千世帯で23区中最多となっております。その内わずか0.7%ではありますが、就労や年金の収入を申告せず、生活保護費を不正に受給しているケースがあり、平成23年度は127件、金額にして約1億3千万円ございました。昨年9月に実施した世論調査でも不正受給に対する不満が指摘されており、この事実は、生活保護制度の信頼を損ない、生活保護の根幹を揺るがす状況につながりかねません。そのため不正受給には厳正に対処する毅然とした姿勢が必要であり、4月から附属機関として「足立区生活保護適正実施協議会」を立ち上げ、実効性あるご提案をいただきながら、適正な生活保護の実施と就労による自立の推進を強化し、区民に信頼される生活保護制度としてまいります。

 第3はまちづくり施策です。東日本大震災の発生から、まもなく2年が経過しようとしています、改めて亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますともに、足立区は今後も被災地への支援を継続してまいります。区は大震災の教訓を踏まえ、地域防災計画の全面改定に取り組んでまいりましたが、その中で「死者をなくす」という挑戦と決意を込めた減災目標を打ち出しております。「死者ゼロ」は、区民の自助、地域の共助、区や消防、警察等の関係機関による公助の3つの連携なくしては達成できません。しかし昨年9月に実施した世論調査では、区に期待する防災対策として8割以上が「非常食・飲料水などの確保」をあげており、区民の自助の意識をさらに高める必要性を痛感いたしました。そこで平成25年度には老朽化した起震車を東日本大震災の揺れも体験できる最新型に更新し、身近な地域での防災訓練等を通じて、「自らの命は自らで守る」という区民の意識啓発を図ってまいります。なお一斉帰宅の抑制や、事業所の備蓄等を努力義務とする「東京都帰宅困難者対策条例」が4月1日に施行されます。足立区でも首都直下地震が発生した際には、北千住駅周辺で3万人余りの駅前滞留者が発生すると想定されておりますので、3月6日に北千住駅 に滞留者が発生したという想定に基づき、現地対策本部等の設置運営、徒歩帰宅者の誘導、バス等による一時滞在施設への移送訓練を行います。多くの区民の皆様にご参加いただきたいと思います。

 次に復興税を活用した事業です。災害に強い道路交通網を維持し、大震災発生後における区民の避難路や緊急車両等の通行機能を確保するため、桑袋大橋を始め主要道路にかかる三橋の耐震補強を前倒しして進めてまいります。

 次に竹ノ塚駅付近鉄道高架化につきましては、昨年11月に起工式を行い工事に着手することができました。新年度は、いよいよ本格的な工事に取り組むため、60億円余の予算を計上させていただいております。継続的な国費の確保に努めるとともに、安全第一で工事を進めてまいります。

 第4は経営改革です。平成26年1月に本庁舎南館1階の戸籍住民課と中央本町区民事務所の窓口を統合し、戸籍届出や証明発行などの窓口業務を民間に委託いたします。この統合と民間委託を実効あるものとするために、4月よりフロア・窓口レイアウトの改修設計と窓口業務のサービス設計に着手し、民間のノウハウを最大限生かしながら、効率的かつ効果的なサービス提供体制を構築していきます。さらに今後は、国民健康保険や会計出納など、他分野の業務につきましても、外部委託化に向けた検討を進めてまいります。また区民の皆様の利便性向上のために住民基本台帳カードをお持ちの方であれば、6月からコンビニエンスストアで住民票の写しや印鑑登録証明書などの諸証明を取得できるサービスが開始いたします。区民の皆様が「住基カード」を取得してコンビニエンスストアでの証明発行が多くなれば、区民事務所の混雑緩和が図られるとともに、地域支援の充実も可能になることから住基カードの利便性を理解していただくよう、様々なキャンペーンを企画し利用促進を図ってまいります。

 次に同時補正予算案です。依然として厳しい雇用情勢が続く中、政府において「日本経済再生に向けた緊急経済対策」が策定され、起業支援型地域雇用創造事業が創設されました。足立区ではこの交付金を速やかに活用し地域に根ざした事業を支援することにより、地域の雇用の受け皿の確保を図るため、総額4億円の同時補正予算を編成致しました。