2024年6月13日
公明党の掲げる「子育て応援トータルプラン」が実現へ大きく動き出した。5日に成立した改正子ども・子育て支援法などは、党プランを反映して政府がまとめた「こども未来戦略・加速化プラン」を具体化。識者からも「全ての子どもや子育て世帯を切れ目なく支える手厚い施策が盛り込まれ、高く評価できる」(学習院大学・秋田喜代美教授)との声が上がる。
支援策全体の規模は、年最大3.6兆円。これにより、子ども1人当たりの家族関係支出は、経済協力開発機構(OECD)トップ水準のスウェーデンに並ぶ。
支援強化の意義について、公明議員の国会質疑に対し政府は「子ども・若者、子育て当事者、ひいては全ての人の幸せのため」(加藤鮎子こども政策担当相)、「社会全体で子ども・子育て世帯を応援する機運を高める」(岸田文雄首相)との考えを明確にしている。
■児童手当、育休給付、「誰でも通園」など経済支援、サービス拡充
改正法の柱は、ライフステージに応じて子育て世帯を経済的に手厚く支えることだ。児童手当を拡充し、今年10月分から所得制限を撤廃するほか、支給期間を高校生年代まで延長。第3子以降は3万円に増額する。
妊娠期の負担軽減に向けては、妊娠・出産時の計10万円相当の給付を恒久化。妊婦らに継続して寄り添う包括相談支援事業を一体的に実施する。
全ての子ども・子育て世帯向けの支援では、親の就労要件を問わず保育所を利用できる「こども誰でも通園制度」を2026年4月から全国で開始。日常的に家族の世話や介護を担う「ヤングケアラー」に対する支援も初めて法制化した。
共働き・共育ての推進では、25年4月から受け取れる育児休業給付金を手取り「10割相当」に引き上げ、2歳未満の育児で時短勤務する場合に賃金の10%を上乗せして支給する。
■「支援金制度」創設、施策の充実に活用
財源確保では、既定予算の活用で約1.5兆円、社会保障の歳出改革などで約1.1兆円に加え、公的医療保険料に上乗せする支援金制度を26年度に創設。初年度に約6000億円、27年度に約8000億円、28年度に約1兆円を段階的に賄う。個人の拠出額は、加入する公的医療保険や年収によって異なる。
政府の試算によると、28年度時点で、主に中小企業に勤める人などが加入する「協会けんぽ」では被保険者1人当たり700円、大企業の会社員らが入る健康保険組合では850円、公務員らが入る共済組合では950円。75歳以上の後期高齢者医療制度では1人当たり平均350円、自営業者らが入る国民健康保険は1世帯当たり600円と試算されている。
支援金制度について、5月23日の参院内閣委員会の参考人質疑では「子ども・子育て支援のため、新しい再分配制度の創設は望ましい。全世代に薄く広く協力してもらい、給付を子育て世代に集中して手厚く行えば大きなプラスになる」(亜細亜大学・権丈英子教授)と評価されている。
さらに、公明議員の国会質疑を受け、加藤こども相は、支援金を充てる施策の実施によって、子ども1人当たり平均約146万円の給付が増えると明言。「子育て世帯にとって、拠出額を上回る確かな支援拡充になる」と強調している。