2024年5月4日
こどもホスピスの建設支援を厚労省に求めた佐藤さん(右から2人目)と竹谷氏(左から3人目)ら=21年4月 厚労省
小児がんや難病などを患う子どもと家族を支える「こどもホスピス」。穏やかな終末期のための大人のホスピスと違い、子どもの成長に応じて遊びや学びの場などを提供することが特徴だ。欧米で広く普及しているが、日本にはまだ少ない。
NPO法人・東京こどもホスピスプロジェクト代表理事の佐藤良絵さんは2017年、息子を骨肉腫で亡くす数週間前、こどもホスピスの存在を知った。「亡くなるまで子どもが自分らしく過ごし、家族と楽しい思い出を残せる居場所をつくりたい」。東京都内での建設をめざし、20年6月に同法人を立ち上げた。
当時、国に担当部署はない。相談先を探す中で「福祉に強い公明党に相談すると良い」と親戚から助言が。公明党の竹谷とし子参院議員や都議とつながることができ、21年4月には共に厚生労働省を訪問し、建設に向けた支援などを要望した。
公明党女性委員会は、その前年の20年10月、こどもホスピス設置への支援を政府に提言していた。22年3月には、参院予算委員会で竹谷氏が「こどもホスピス整備へ、ご家族が中心となり、賛同者を増やしながら活動している」と国の支援を訴えた。首相は「(23年4月の)こども家庭庁発足を待たずに検討を進める」と答弁した。
こうした取り組みが政府を動かした。22年6月には、関係省庁連絡会議が発足。こども家庭庁には、こどもホスピス専門官が配置され、国の担当部署が明確になった。
さらに「こども大綱」(23年12月閣議決定)には「こどもホスピスの全国普及に向けた取組を進める」と記された。24年度予算には、医療・福祉・教育などのニーズの把握を含む緩和ケアが必要な小児の実態調査が盛り込まれた。
「公明党に相談するとすぐに結果が見える」と信頼を寄せる佐藤さん。現在、医療機関や保育園、企業の敷地の一部を借りて、こどもホスピスと同様の役割を担う「ドリームルーム」を都内で5カ所開設しているが「東京に常設の施設を」と心に期す。「しっかり後押ししたい」と、竹谷氏は決意している。