2024年4月5日
公明党の「子育て応援トータルプラン」を反映して政府がまとめた「こども未来戦略・加速化プラン」に基づく少子化対策が大きく動き出す。現在、衆院で審議中の子ども・子育て支援法などの改正案には加速化プランを具体化し、安心して子どもを産み育てられる社会の構築に向けた施策が数多く盛り込まれた。主なポイントを紹介する。
■(経済的支援)児童手当を抜本的拡充
希望する人が将来に安心して結婚や出産、子育てできる環境を整えるには、経済的支援の充実が欠かせない。
その施策の柱として関連法改正案には、児童手当の抜本的拡充を盛り込んだ。10月分から所得制限を撤廃し、高校生年代まで支給対象を延長。第3子以降は3万円に増額する。支給回数も年3回から年6回に変更する。
妊娠期の負担軽減に向けては、妊娠・出産時に計10万円相当の給付と、育児まで継続して寄り添う伴走型相談支援を実施する。
■(サービス充実)「誰でも通園」制度実施
全ての子ども・子育て世帯向けのサービス拡充では、親の就労要件を問わず保育所を利用できる「こども誰でも通園制度」を創設し、2026年4月から全国で本格実施。出産後の母子に対する産後ケア事業の提供体制も強化する。
ひとり親世帯に支給する児童扶養手当は、今年11月分から第3子以降の加算額を月最大1万750円に増額。日常的に家族の世話や介護を担う「ヤングケアラー」を国や自治体の支援対象と明記し、対応強化につなげる。
■(共働き・共育て)育休給付、手取り10割
「共働き・共育て」の推進では、両親ともに14日以上の育児休業を取得した場合、手取り収入を育休前の実質10割に引き上げる「出生後休業支援給付」を25年4月に開始。併せて、2歳未満の子どもを育てる短時間勤務者には、時短勤務中の賃金に上乗せして10%を支給する「育児時短就業給付」を新設する。
一方、自営業者やフリーランスが入る国民年金の保険料(24年度は月額1万6980円)に関しては、26年10月から両親を対象に子どもが1歳になるまで免除する。
■(安定財源の確保)子ども支援金制度を創設
加速化プランを進める財源について政府は、今後3年間で確保する年最大3.6兆円のうち既定予算の活用で1.5兆円、社会保障の歳出改革で1.1兆円を捻出。残り1兆円は、公的医療保険料に上乗せする「子ども・子育て支援金」制度を26年4月に創設し、初年度は0.6兆円、27年度は0.8兆円、28年度に1兆円を段階的に賄う。
一方、子ども・子育て政策の全体像と費用負担の見える化を進めるため、新たな特別会計「こども金庫」を25年4月に創設する。