公明党トップ / 私立高校実質無料化/識者の声

私立高校実質無料化/識者の声

私立高無償化の意義/日本大学文理学部教育学科 末冨芳教授に聞く

今月8日に政府が閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」に、公明党の強い訴えで、2020年度までに「年収590万円未満世帯を対象とした私立高校授業料の実質無償化を実現する」と明記された。その意義などについて日本大学文理学部教育学科の末冨芳教授に聞いた。

弱い立場に寄り添う/教育の機会均等進める/貧困層でも公立不合格で私立に

――政府が、年収590万円未満の世帯を対象に私立高校授業料を実質無償化する方針を明示したことをどう見ますか。
弱い立場の人々、特に子どもたちに寄り添う政策として評価している。家計の教育費負担の軽減に向けた大きな前進だ。生徒は安定して勉学に取り組めるようになる。ここまでの公明党の取り組みには大変に心強く感じている。
高校にほぼ全ての子どもが行く中で、年収約910万円未満の世帯で実質無償化されている公立に不合格となり、私立に行かざるを得ない層が明確に存在する。例えば、東京都の高校生への調査では、貧困層でも、公立に通らず私立に行っているケースが確認された。その傾向は公立高校のシェア(占有率)が高い地方ほど強いと見ている。こうした構造がある以上、私立高の無償化は必要だ。

――お金持ちだから私立に行くというわけではないですね。
その通りだ。公立入試は、入試当日の試験結果と同じくらい、中学校での成績(内申点)を重視する傾向が強い。試験問題の難易度は高くないことが多く、内申点で合否を分けることが多い。
その是非はともかくとして、能力があっても公立の入試に合わない子どもがいることは確かだ。そうしたケースも含めて、子どもたちが自身に合った高校を、公私を問わず選択できるようにするのが私立高の無償化である。教育の機会均等を進めることができる。

――今後の課題は。
今回の方針によって、年収590万円未満であれば、国の就学支援金として私立の授業料相当額(全国平均で39万3524円)が支給される。これは非常に重要であり、進めていかなければならないが、一方で、その年収を少しでも超えた途端に公立授業料相当の年11万8800円に減額されてしまう。こうした支援の”崖”をなだらかにする工夫が今後の課題となる。

――私立高校の授業料に関しては、多くの自治体で独自の支援策があります。私立高無償化で国の就学支援金が拡充されると、その分、自治体の費用負担が浮きますね。
自治体では、浮いた分をよそに回すのではなく、無償化の範囲を広げたり、国の無償化制度の対象となっていない世帯を支援するなどして、支援の”崖”をなだらかにしてもらいたい。教科書や制服代といった在学中経費の支援も検討すべきである。
同じ「年収590万円」でも、都市部では相対的に低い層に位置する場合もある一方、地方では中間層かそれ以上に位置する場合もある。地域ごとに異なる実情に応じて、国の制度を自治体独自で”肉付け”していくことが大切だ。そこについても、多くの地方議員を擁する公明党が成果を上げてもらいたい。

ソーシャルメディア